はじめに
昨日2021年3月3日の米東部時間午前9時から、先日のエクソン新任取締役発表まとめの際にも少し触れた2021 INVESTOR DAYがバーチャル会議形式で開催された。
以下にその内容をまとめ、併せて昨日のエクソン株の動きについても確認しておく。
2021 INVESTOR DAYまとめ
以下はエクソンの企業サイトより引用・抜粋。
プレゼンテーションスライドは74ページ(タイトルスライドや補足含む)あったが、その中で
このスライドがオープニングとクロージングで使われており、この5点に焦点を当てた内容となっている。
- Committed to delivering sustainable shareholder value
持続可能な株主価値の提供へのコミット - Competitively advantaged assets and investments drive strong cash flow to sustain dividend, reduce debt, and invest in the future
競争力のある資産と投資により、配当を維持し、債務を削減し、将来に投資するための強力なキャッシュフローを推進します - Significant cash Opex savings and flexible Capex resilient to price cycles
大幅な現金運用コストの節約と価格サイクルに強い柔軟な設備投資 - Focused on industry-leading safety, reliability, and environmental performance; executing plans to deliver aggressive 2025 emission reductions
業界をリードする安全性、信頼性、および環境パフォーマンスへの焦点: 2025年の積極的な排出削減を実現する計画の実行 - Strategy leverages experience and competitive advantages to deliver value while transitioning to a lower-carbon future, consistent with the goals of the Paris Agreement
戦略は、パリ協定の目標と一致しながら、経験と競争上の優位性を活用し、低炭素の未来に移行しながらも価値を提供します
ちなみに先月の2020年第4四半期決算発表資料では類似するスライドとして、
としていた。
決算発表資料時の資料に比べると内容自体はほぼ同じだが、今回のInvestor Dayの資料はより詳細化している印象。
特に低炭素化(Lower-Carbon)やパリ協定に関するスライドは以下に代表されるような新規スライドで四半期決算時に比べてより詳細に説明されていた。これは先日にも言及したがESG(Environment、Social、Governance)重視のヘッジファンド/投資家グループの意向を反映しているのだろう。
また設備投資に関しては2019年のInvestor Dayで2020年~2025年は年間300億ドル~350億ドルとしていた(2020年のInvestor Dayでも同じ)のを、2020年11月末に発表した2025年まで年間200億ドル~250億ドルとすることを再確認している。
そして自分が一番気にしている配当だが上述のプレゼンテーションでは、
- sustain dividend(配当を維持する)
となっているのだがプレスリリースの方では表現が少し異なっており、
- Plans through 2025 increase earnings, cash flow to sustain and grow dividend, reduce debt and advance advantaged projects
2025年までの計画は、収益を増やし、配当を維持および拡大し、債務を減らし、有利なプロジェクトを進めるためのキャッシュフローを増やします
と今後の配当増に含みを持たせる表現になっている。時期や規模については触れられていないが、これが実現してくれると完全リタイアしては配当金生活を送っている身としては有難いけれども、過度な期待は抱かないでおこう。
まとめ
以上エクソンの2021 INVESTOR DAYをまとめてみたが、これを受けて昨日のエクソンの株価はどうなったかというと、
0.80%の上昇。同日のダウ工業平均が0.39%、S&P 500が1.31%、NASDAQが2.70%いずれも下落したのに比べると落ち着いた結果。
ただこれはエクソンの2021 INVESTOR DAYの内容が市場に好感された訳ではない。
同日の同業シェブロン(CVX)の株価が
1.12%増、そしてニューヨーク原油先物の動きを見てみると、
原油価格の動き(水色)とエクソンの株価は概ね連動しているので、原油価格の上昇がエクソンの株価上昇に寄与しただけに過ぎないようだ。踏み込んだ説明ではあったが、ほぼ既に明らかになっている情報が多かったので、株価への影響は軽微だったと思われる。
Investor Dayは可もなく不可もなく乗り切った感があるが、日本時間の本日3月4日夜にはOPECプラスの会合が行われるので今度はその結果・内容に注目。1年前のOPECプラス会合は酷い結果に終わり、COVID-19も相まって以降のエクソンの株価・業績悪化に拍車をかけたので、今回は予想される範囲内に収まってくれると良いのだが。