米証券取引委員会(SEC)がエクソンの調査?(2021/1)

はじめに

2021年1月15日(金)は自分の所有株シティグループ(C)とJPモルガン・チェース(JPM)の決算発表がありその内容の確認をしていたのだが、同日15日には自分の主力株であるエクソン・モービル(XOM)に関するウォール・ストリート・ジャーナルの報道があった。

以下にその報道の内容と、その報道に対するエクソンの発表について確認し整理しておく。


ウォール・ストリート・ジャーナルの報道要旨

以下は15日のウォール・ストリート・ジャーナルの報道より引用・抜粋して要旨をまとめたもの。

  • エクソン・モービル社は、パーミアンの主要資産を過大評価しているとの内部告発を受けて米国証券取引委員会(SEC)によって調査されている
  • 2019年のエクソン内部評価中にパーミアンの資産を評価することに関与した何人かの人々は、従業員は会社がより高い価値に到達するため、どれだけ早く掘削できるかについて非現実的な仮定を使用することを余儀なくされていた、と述べた
  • 2018年一部のエクソンのマネージャーは、当初パーミアンのデラウェア盆地の正味現在価値を約600億ドルに固定していた(WSJの2020年9月報道)。しかし、エクソンの年間開発計画に関与した数人の従業員は、2019年の価値は400億ドルに近いと見積もっていた
  • 従業員が新しい数値を提供したとき、掘削時間を改善する速度を推定するより楽観的な「学習曲線(learning curve)」など、さまざまな仮定を使用して失われた価値の一部を「取り戻す(claw back)」よう求められた
  • 一部の従業員は、新しい学習曲線は非現実的であると見なしその使用に反対したが、価値は最終的に約500億ドルに調整された
  • 昨年不満を述べた従業員の少なくとも1人が解雇された

同日のエクソンの発表

以下はエクソン・モービルの企業サイトより引用・抜粋。

タイトルは

  • ExxonMobil issues statement on Wall Street Journal report
    エクソン・モービルがウォール・ストリート・ジャーナルのレポートで声明を発表

というダイレクトなもの。内容は、

  • 内部告発者によって主張され、ウォール・ストリート・ジャーナルにが報じたクレームは明らかに誤りです(demonstrably false)
  • 実際の証明可能なパフォーマンスはパーミアンの掘削計画を上回り、それらのパフォーマンスは投資コミュニティに正確に提供されています。ウォール・ストリート・ジャーナルは9月以来これらの事実を認識しています
  • 当局からこの件について質問された場合、同社のパーミアン資産の評価の正確さ、および実際の掘削性能が計画を上回ったことを示す情報を提供します
  • エクソン・モービルには、多くの感応度(sensitivities)と結果の範囲を考慮した、広範かつ厳密な計画と予算編成のプロセスがあります。これは7ヶ月間の数百の掘削曲線を含む数千のインプットを考慮に入れています
  • 学習曲線は、現在の掘削性能に最も精通した作業を実行する掘削チームと、他の非慣例的なプロジェクトで実証された学習曲線性能からのデータを活用した開発チームとの間の共同作業として開発されました。プロセス全体では検討および評価された複数の学習曲線がありました
  • 虚偽の主張をしたとされる従業員は、技術が向上し、資源基盤への理解が拡大するにつれて、掘削曲線が定期的に改訂される方法と理由を理解するための幅広い経験が不足していることは明らかです

まとめ

ウォール・ストリート・ジャーナルの報道を受けて2021年1月15日のエクソンの株価は、

4.81%と5%近い大幅下落。

個人的なポイントとしては、

  • エクソンの発表がいつあったのか(米国市場閉場前か閉場後か)
  • WSJの報道とエクソンの発表のどちらが正しいのか
  • 米証券取引委員会(SEC)の関与具合

の3つ。

エクソンの2021年1月15日の株価の動きを見ると、

時間前にあったWSJの報道がエクソンの株価に影響を与えたことは明白だが、その後株価は低調なままだったので、エクソンの発表は恐らく時間外になされたと思われる。エクソンの発表を市場がどのように受け止めるか。一段と下がるのか、それとも持ち直すのか。

また、このまとめのタイトルを「米証券取引委員会(SEC)がエクソンの調査?(2021/1)」と「?」を付けているのはWSJの報道に対して、エクソンが真っ向から否定している事がある(あとは個人的に誤報であって欲しいという期待も)。個人的にはエクソンの主張は一応筋が通っている様に見えるのだが。

また、エクソンの発表には米証券取引委員会(SEC)による調査が進行中であることを認めもせず否定もしていない。現時点ではSECは特段のコメントを発表していないので、実際に調査が行われているかどうかは不明。SECの関与具合がこの問題の深刻さを判断する大きな材料となるだろう。

1月に入ってからのエクソン株は

1月14日までは9連騰。

エクソン(XOM)の投資格付けアップデート(2021/1/12)

で11日までのエクソン投資格付け上方修正についてまとめたが、その後もJPモルガンとバークレイズの2社がエクソンの格付けを上方修正している。

1月に入ってからのエクソン株への期待がこのWSJの報道によって冷や水を浴びせられた格好となったが、今後この問題がどうなるか、どの程度の影響を及ぼすかについて十分に気を付けておきたい。

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