はじめに
昨日の米国市場は欧州でのコロナ第三波の懸念(フランスが3回目のロックダウン)もあり、ダウ工業平均が0.46%、S&P 500が1.48%、NASDAQが3.02%いずれも下落していたが、自分の米国株資産は、
とダウ工業平均と同じ下落で許容できる範囲に落ち着いていた(寝る前はプラスだったのでそれはそれでガッカリだが)。
個別の銘柄に問題が無いかを確認していたところ、掲題のアルトリア・グループ(MO)株に対して3日前にアナリストが格付けのアップデートをしていたことが分かったので、その内容について整理しておく。
2021年3月16日(火)Citigroupのアルトリア・グループ株に関するアップデート
【Citigroup】
投資格付け:BuyからNeutralへ格下げ
目標株価:46ドルを維持
以下はCitigroupのアナリストAdam Spielman氏の見解要旨。
- リスク低減製品がニコチン市場で大きな割合を占めるにつれて、アルトリアは市場シェアを失うだろう
- さらにフィリップ・モリス(PM)が米国に進出し、アルトリアとかなり積極的に競争するようになるリスクも(50%を大きく下回るものの(albeit well below 50%))あり得ると考えている
- 米国の紙巻タバコの出荷量は、COVIDのパンデミックと財政刺激策の恩恵を大幅に受けているが、12ヶ月以内には消費習慣が通常に戻り出荷量は大幅に減少すると予想される
- 物品税や法人税などの増税のリスクもあり、物品税上昇により数量減少が加速する可能性が高く、2018年の法人税減税で恩恵を受けたアルトリアは他の企業より大きな影響を受ける可能性が高い
まとめてはみたものの正直微妙な内容。
1、2番目については確かにアルトリアのリスク低減タバコ製品はIQOSで、フィリップ・モリスが米国外、アルトリア傘下のフィリップ・モリスUSAが米国に展開しているので、フィリップ・モリスが米国に進出すればそれは問題だろうが、その論拠が説明されておらず可能性に触れているのみ。
3番目はまあそうかもしれないとは思うが、具体的な数値がなく大幅に減少するだろう(will weaken substantially)と言われても納得感に欠ける。
4番目もバイデン大統領の経済刺激策の財源として増税はあり得るが、物品税はこれまでの様にタバコ価格の調整で相殺できる気がするし、法人税についてもアルトリアが他企業に比べて大きな影響を受ける根拠が今一つよく分からない。
まとめ
この投資格付けのアップデートを受けてアルトリア・グループ株がどうなっていたのか確認してみると、
前日比0.8%のマイナスと小幅だが一定の影響があったのかもしれない。
と思ったら同日のダウ工業平均が0.39%、S&P 500が0.16%それぞれ下落、NASDAQが0.09%上昇という状況であったことを考えると、市場がいずれも大きく上昇している中での下落ではないのでこの投資格付け更新がアルトリア株に影響を与えたとは考えにくい。
逆にここひと月で見ると以下の様に
市場を上回る株価推移になっているので、その理由について言及して欲しかった。
というのも昨日米国市場閉場時点で自分の所有するアルトリア株は
と1月の2020年第4四半期決算を受けての株価が@42.65ドルと平均取得価額を下回っていた時からプラス17%となっているのだが、その理由が今一つ判然としていないため。
どの所有銘柄でも基本的には株価上昇は嬉しいのだが、その上昇理由が判らないと逆に理由が判らない下落が起こる可能性もある気がして、ここ最近のアルトリア株はどうも落ち着かない。
今回のSpielman氏の分析はもしかすると長期的には起こり得る可能性もあるかもしれない、といった程度で頭に入れておきつつアルトリア株がここ最近上昇している理由については引き続き気に掛けておこう。