はじめに
昨日2021年1月5日の米国市場は、ダウ工業平均が0.55%、S&P 500が0.71%、NASDAQが0.95%それぞれ上昇していたのだが、そんな中自分の所有銘柄の一つであるエクソン・モービル(XOM)が、
4.82%と大幅上昇。掲題の発表が原因だった様なので、以下にその内容について整理・確認しておくことにする。
2021年1月5日サウジアラビアの減産発表
以下は各種報道より引用。
- 既にOPECプラスは2021年1月の減産規模を720万バレルにすることで合意している
- OPECプラスは2021年1月4日から2月以降の協調減産体制を巡る協議を開始
- 1月5日にサウジアラビアのAbdulazizエネルギー相は、自国経済の支援と原油市場の安定化の双方に向けこれまでの確約以上の減産を行うと表明
- 具体的には2月と3月の産油量を追加で日量100万バレル自主削減
- 一方でロシアとカザフスタンは合計で2月に日量7万5000バレル、3月にさらに日量7万5000バレルの増産が認められた
- その他の国は現行水準を維持
- 今回の決定に伴い全体の減産規模は2月に812万5000バレル、3月に805万バレルとなる見込み
以下はサウジのAbdulazizエネルギー相(Princeでもある)のコメント。
- “We are the guardian of this industry,”
「私たちはこの業界の守護者です」 - ”We have the responsibility of looking after the market, and we will take all necessary actions. I have said this repeatedly and even advised that no one should bet against our resolve,”
「私たちには市場の世話をする責任があり、必要なすべての行動を取ります。私はこれを繰り返し言い、誰も私たちの決意に反対してはいけないとさえ忠告しました」 - “Those who have listened are now bearing the fruits; the others — good luck with their ouching.”
「(私たちの見解・アドバイスを)聞いた人たちは今、実を結んでいます。他の人たち — 痛みと共に頑張ってください」
まとめ
この発表を受けてニューヨーク原油先物は、
一時50ドル台まで上昇。ニューヨークの原油先物が50ドル台だったのは2020年2月以来の事。この原油価格上昇を受けて冒頭の様にエクソン株が上昇した。
ただ、今後については個人的には若干懸念が残る。というのも
- これまではすべてのOPECプラスメンバーが減産の負担を公平に分担すべきという考えに基づいて調整してきたのが、今回ロシアとカザフスタンは減産幅を縮小
- 以前にはナイジェリア、イラク、アラブ首長国連邦などは減産幅の縮小要求を拒否されている
- 今後OPECプラスの協調性が損なわれる可能性があるのでは?
という点。元々
- サウジアラビアは価格の上昇と引き換えに販売量を犠牲にする意向
- ロシアは米国に市場を奪われる前に生産を増やしたい(米国はOPECプラス非加入)
という方向性のズレがあり、2020年3月にロシアが減産拒否をして原油価格が暴落している。それ以来OPECプラスがそれなりに協調してきた様に見受けられていたのだが、今回は総量で言えば減産幅が広がっているものの協調性は損なわれている。
それを考えると今後の原油価格の安定という観点からは不安がある気がするのだがどうだろう。今後のOPECプラス、原油価格については注意深く情報を確認していくことにしよう。