シスコ(CSCO)2026年第4四半期決算発表(2026/8)

はじめに

2026年8月12日(水)の米国市場閉場後には自分の所有銘柄の一つであるシスコ・システムズ(CSCO)の2026年第4四半期決算発表があった。今回のシスコの決算対象期間は、他の所有銘柄の多くが2026年4~6月で2026年第2四半期決算であるのに対し、シスコは2026年5月~7月が対象となり2026年第4四半期決算となる。

前回2026年5月の決算では売上、EPSは市場予想を上回り、通期見通しも引き上げたことなどから13.41%の大幅上昇。ただその際には

「今後のシスコ株だが、決算での好調なAI需要見込みとそれに伴う通期見通しの引き上げが経営陣の期待通りに進めば、堅調な株価推移が望めるだろう。ただし旺盛なAI需要に陰りが見える様になった場合には、大きく値を下げる局面もあるのではないかという懸念もある。自分の懸念が単なる杞憂に過ぎなければいいのだが。」

と決算を受けて大幅上昇となったものの、やや先行きを懸念する旨も書いていた。

シスコの今回決算及びそれを受けて株価はどうなったのか。以下に確認し整理しておく。


シスコ2026年第4四半期決算概要

以下はシスコ・システムズの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2026年第4四半期のNon-GAAPベースでの売上高(Revenues)は172億5200万ドル、前年同期は146億7300万ドルで前年同期比18%の増加
  • 2026年第4四半期のNon-GAAPベースでの粗利益率(Gross Margin)は66.3%、前年同期は68.4%
  • 2026年第4四半期のNon-GAAPベースでの純利益(Net Income)は48億6800万ドル、前年同期は39億5100万ドルで前年同期比23%の増加
  • 2026年第4四半期のNon-GAAPベースの一時項目を除く一株あたり利益(EPS diluted)は1.22ドル、前年同期は0.99ドルで前年同期比23%の増加

製品カテゴリ毎売上

売上全体に占める割合は製品78.0%、サービス22.0%となっている。

2027年通期及び2027年第1四半期見通し

2027年通期及び2027年第1四半期の見通しは以下の通り。

  • 売上(Revenues):722億~734億ドル
  • Non-GAAPベースでのEPS:5.05~5.11ドル
  • GAAPベースでのEPS:4.00~4.06ドル

前提としてGAAPベースの実効税率は約14.5%、Non-GAAPベースの実効税率は約18.5%。

2027年第1四半期(2026年8月~11月)の見通しについては以下の通り。

  • 売上(Revenues):180億ドル~182億ドル
  • Non-GAAPベースでの粗利益利率(Gross margin):65%~66%
  • Non-GAAPベースでの営業利益率(Operating margin):35.5%~36.5%
  • Non-GAAPベースでのEPS:1.32ドル~1.34ドル
  • GAAPベースでのEPS:1.08ドル~1.10ドル

前提としてGAAPベースの実効税率は約15%、Non-GAAPベースの実効税率は約18.5%。

その他

その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 2026年度総括
    • 2026年度を非常に好調に締めくくった
      • 売上高が630億ドルを超え、前年比12%増という記録的な年
      • 2026年度は、売上高、営業利益率、従業員一人当たりの利益が30年ぶりの高水準
      • 2027年度には、ガイダンスに示されているように指標すべてが引き続き改善し、卓越した生産性と収益力を発揮すると予想
  • 2026年第4四半期概要
    • 四半期売上高は173億ドルと過去最高を記録し、前年同期比で18%増
    • 製品売上高は前年同期比で24%増
    • 第4四半期の非GAAPベースのEPSは23%増、通期では14%増
    • 四半期および通期ともに、最終利益が売上高よりも速いペースで成長していることから強力な営業レバレッジを示しており、収益性の高い事業成長は引き続き強力なキャッシュフローを生み出し、一貫した資本還元を実現するという当社のコミットメントを支えている
    • 第4四半期に自社株買いと配当を通じて株主に32億ドルの資本を還元し、2026会計年度の総還元額は127億ドル
    • 自社株買いプログラムには81億ドルが残っている
  • ハイパースケーラー向けのAIインフラストラクチャ
    • 第4四半期に40億ドルの受注を獲得し、2026会計年度の合計は93億ドルとなり、2025会計年度の合計の約4.5倍
      • シリコンワンベースのシステムが約60%、光(ontic)が約40%
    • 第4四半期にハイパースケーラーから3件の新規設計採用を獲得
    • 今後6ヶ月以内に、G300、G200、P200 Silicon Oneチップ設計、光関連製品において複数のAI設計案件の獲得が見込まれる
    • 全体として、当社のハイパースケール事業は引き続き好調で、AIインフラストラクチャの収益は需要の増加と市場シェアの拡大に支えられ、2027会計年度には75億ドルに達すると予測
  • イノベーションパイプラインについて
    • 6月に開催されたCisco Live USにおいて、Cisco Cloud Controlを発表
      • 人間とエージェント向けに設計された、すべてのCisco製品に対応する単一の管理プレーンと統合データレイヤー
      • Cisco Cloud Controlには、AI CanvasやCisco IQといった主要なイノベーションが組み込まれている
      • 発表以来、約4500社の企業がCisco Cloud Controlに登録し、AI Canvasをはじめとする様々なインサイトから得られる価値を高く評価している
    • オープンウェイトの小型言語モデル群であるAntaresを発表
      • Antaresは、サイバーセキュリティ専門家向けの実用的で信頼できるAIツールを定義し、AIセキュリティの導入を支援する標準の開発を支援
    • 先月、Cisco IQを搭載したResilient Infrastructure Servicesも発表
      • お客様が脆弱性を特定し、対策の優先順位付けを行い、継続的な保護を自律的に、かつ機械の速度で実装するのに役立つ
      • 現在、8600社以上のお客様にご利用いただいている
  • 財務関連
    • 第4四半期末時点で現金同等物と投資の合計は159億ドル
    • 営業キャッシュフローは54億ドルで、売上高の力強い成長と営業レバレッジにより27%増加
  • 戦略的投資と補完的なM&A機会
    • 第4四半期には、オブザーバビリティとセキュリティ製品の提供をさらに拡大するため、Galileo Technologies, Inc.とAstrix Security Ltd.の買収を完了
    • 投資はすべて、規律ある支出管理への当社の取り組みによるもので、この強力な組み合わせこそが、引き続き力強いキャッシュフローと株主への大きな価値還元能力を支えている
  • 質疑応答
    • 2027年度のAI売上高を75億ドルと予測している点
      • まず念のため申し上げるが、これは受注ではなく売上高
      • AIベースのスケールアクロスに関連するネットワークトラフィックは、従来のデータセンター相互接続と比較して、約14倍になると考えている
      • そのため通信事業者はそれに備えて構築を進めている
      • 今後しばらくの間、このスーパーサイクルは続くと考えており、その点について非常に自信を持っている
      • AIベースのスケールアクロス(実質的にはかつてのデータセンター相互接続)分野では、当社は独自の優位性を持っている
        • P200は、すでに3つの異なるハイパースケーラーで3件の受注を獲得
    • 第1四半期と通年で粗利益が若干縮小すると予想している点について
      • 粗利益率について考えると、我々はネットワークのスーパーサイクルの非常に初期の段階にあり、大量のハードウェアを出荷しているため、ハードウェアの売上構成比が大幅に増加している
      • 従って、これらの非常に高い成長機会に取り組むにつれて、2027年度を通じて粗利益率に若干の逆風が吹くことが予想されている
      • 営業利益率は当社の収益性を示すより良い指標であり、当社のガイダンスでは、2027年度通期の営業利益率が約35%であることを示唆しており、これは当社にとって最高水準となる
      • ネットワークのスーパーサイクルは、その規模と成長率の高さから、粗利益率の観点からは利益率が低いように見える場合でも、実際には非常に収益性の高い事業となる可能性がある
        • なぜなら、事業獲得のために追加費用をかける必要がないため
        • 第4四半期は好例で、粗利益率は前年同期比で2.1%減少したが、売上高に対する営業費用も3.7%減少した。その結果、営業利益率は34.3%から35.9%に上昇している
    • 部品供給環境について
      • 当社には世界クラスのサプライチェーンチームがあると自負しており、実際、長年にわたりそのように評価されてきた
      • 多くの競合他社が指摘しているような、リードタイムに関する重大な問題は一切ない
      • 当社は、2027年度の目標供給量を満たすのに十分な供給量を確保しているだけでなく、需要が実際に増加して目標を上回った場合でも、それにも対応できる十分な体制が整っていると考えている
    • 値上げ戦略とその影響について
      • 全体として2027年度も4~5ポイント程度のインパクトを想定して計画を立てている
      • しかし価格引き上げはあくまで最終手段
      • 適切な価格で適切な供給を確保し、必要に応じて戦略的な在庫を積み増し、購入契約を前倒しで締結するために、あらゆる努力を尽くし、、社内でも多くの取り組みを行っている
      • もう一つ覚えておいていただきたいのは、当社の値上げ幅は一桁台にとどまっている点
        • 他社のように製品の大部分がサーバーであるのとは異なり、当社の製品の約95%はサーバーではない
        • そのため、部品表の2/3がメモリ関連であるのではなく、当社の製品では部品表の15%~20%程度がメモリ関連となっている
        • 当社の値上げはハードウェアに特化したものであり、値上げは主にメモリ使用率の高い製品を対象としており、コストがかかっている箇所を的確に把握し、必要な部分のみを価格に転嫁するようにしている
      • 我々はその価格をうまく転嫁できていると考えている。お客様はそれを好ましく思っていないかもしれないが、これはシスコの問題ではなく、業界全体の問題だと理解してくださっていると思う
    • Mythos(米Anthropic社が2026年4月に発表したサイバーセキュリティに特化した最強クラスのAIモデル。このAIの登場によって古いネットワーク機器が使い物にならなくなり、世界中で買い替え特需が起きている)の影響、予算について
      • 予算の出所についての議論は、もはや問題ではない
      • 企業は「我々には選択肢がない」という前提から始めて、それから資金調達の方法を考え出しているのだと思う
      • 現在Cisco IQを使用しているお客様は8000~9000社に上り、実際にインフラストラクチャを評価して、何を持っているか、何がパッチ適用可能で何がそうでないかを正確に把握している
      • 考えておくべきことは、弊社はサポート終了日を過ぎたお客様の機器をターゲットにできるだけでなく、競合他社のサポート終了日も弊社にとって市場機会になり得るということ

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2026年第4四半期のNon-GAAPベースの売上高(Revenues)は172億5200万ドル、市場予想の168億2300万ドルを上回っている
  • 2026年第4四半期のNon-GAAPベースの一時項目を除く一株あたり利益(EPS diluted)は1.22ドル、市場予想の1.17ドルを上回っている
  • 2027年通期のNon-GAAPベースEPS見通しは5.05~5.11ドル、市場予想は4.80ドル

となっている。


まとめ

上記の様な決算結果を受けてシスコの株価は

前日比8.40%の大幅下落。同日の米国市場が

ハイテク銘柄を中心にやや上昇していたのと比べると、シスコ株は急落と言っても差し支えない下落幅となっている。

市場予想を上回る売上、EPS、そして2027年見通しも市場予想を上回っていただけにこの大幅下落は納得感が薄い。調べてみると粗利益率の低下や市場が通期見通しに対してより高い期待値を抱いていたことが理由付けとして挙げられていた。また決算前までの株価が年初来60%を超えており、決算を受けての利益確定売りが進んだ可能性もある。

決算後数日を含めた年初来のシスコ株の推移を市場(S&P 500)と比べると

前回5月の決算以降は、6月上旬に年初来70%近くまで上昇したのだが、その後7月半ばまでは下落傾向となり、年初来42%程度上昇の水準まで下がっていた。その後は再びやや上昇傾向となり年初来60%上昇を超える株価で迎えた今回決算で大きく値を下げ、その後数日も市場が低調だったこともあり低調な株価推移となっている。

今後のシスコ株だが、今回決算を受けての8.4%下落、その後数日の株価も市場が低調だったこともあってパッとしない株価推移となっていることを考えると、あまり期待出来そうにない気がしている。だが一方で決算内容自体は悪くなかったことを思うと、何かのキッカケで上昇に転じる可能性も全くない訳ではない。とりあえずはここから明確な下落傾向にならず、次回決算でも好結果を出して株価上昇につなげてもらいたい。

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