はじめに
2026年7月28日(火)には自分が所有しているボーイング(BA)の2026年第2四半期決算発表があった。
前回2026年第1四半期決算時は市場予想よりも売上が多く、中核事業一株当たり損失、フリーキャッシュフロー流出が大幅に少なかったことが評価されたのか5.53%の上昇。その際には
「今後のボーイング株だが、予想外の第1四半期の好結果、言及された今後の見通しを考えると、堅調な株価推移が期待できるかもしれない。ただ不安定な中東情勢が長引いた場合や、機体製造に関する課題解決や認証が期待通りに進まなかった場合(ボーイングの場合割とよくある)を考えると確信を持てるほどではない。決算発表での経営陣の見通し通りに物事が進むことを願いたい。」
と書いていた。
しかしその後はやはり中東情勢が長期化し、6月に一時停戦枠組み合意に至ったものの、その後7月には再び衝突が続くなど不安定な状況が続いており、それに応じてボーイング株も方向感が掴めない動きをしていた印象がある。
以下、今回のボーイング決算内容及びそれを受けての株価はどうだったのかを確認し整理しておく。
ボーイング2026年第2四半期決算概要
以下の内容はボーイングの企業サイトより引用・抜粋。
- 2026年第2四半期の売上高(Revenues)は245億6000万ドルで、前年同期比8%増加
- 2026年第2四半期のGAAPベース純損失(Net loss)は4億2800万ドルの損失、前年同期は6億1200万ドルの損失
- 2026年第2四半期のGAAPベース一株当たり損失(Diluted loss per share)は0.67ドル
- の損失、前年同期は0.92ドルの損失
- 2026年第2四半期のNon-GAAPベース調整後中核事業一株当たり損失(Core loss Per Share)は0.76ドルの損失、前年同期は1.24ドルの損失

- 2026年第2四半期の営業キャッシュフローは13億6400万ドル、前年同期は2億2700万ドル
- 2026年第2四半期のフリーキャッシュフローは6億3100万ドル、前年同期は2億ドルの流出

- 2026年第2四半期の総債務(Consolidated Debt)は459億ドル、前四半期から12億ドル減少

事業部別業績
【Commercial Airplanes(商用機部門)】

- 2026年第2四半期の商用機の引き渡しは171件、前年同期は150件で14%増加
- 売上は117億5100万ドルで前年同期比8%増加
- 営業損失は3億2200万ドルの損失で、前年同期は5億5700万ドルの損失
- 営業マージンはマイナス2.7%、前年同期はマイナス5.1%
- 受注残は6200機以上で5970億ドル
【Defense, Space & Security(防衛・宇宙・セキュリティ部門)】

- 売上は74億8300万ドルで前年同期比13%増加
- 営業利益/損失は1500万ドルの損失、前年同期は1億1000万ドル
- 営業マージンはマイナス0.2%、前年同期は1.7%
- 受注残は850億ドル。うち27%は海外からの注文
【グローバルサービス部門】

- 売上は53億4400万ドルで前年同期比1%増加
- 営業利益は9億6800万ドルで前年同期比8%減少
- 営業マージンは18.1%、前年同期は19.9%
2026年通期見通し
2026年の業績や納入見通しは資料では提示されず。
その他
その他決算資料及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 今年も半分が過ぎたが、2026年計画の実行における進捗状況に大変満足している
- 今年の重点課題である商用機認証プログラムは計画通りに進んでいる
- 今月初め、FAAはボーイングに対し、すべての737MAXおよび787型機の耐空証明書の発行を再開することを承認
- 防衛および宇宙分野では、ポートフォリオのリスクに対処しつつ、今日の業務を遂行しつつ、将来に備える能力に投資を行い生産量を増やし続けている
- サービス事業はマクロ経済の不確実性にもかかわらず力強い成長
- 今年上半期に築き上げた勢いは、下半期の業務遂行において、より安定したパフォーマンスを実現する基盤となる
- 今年の重点課題である商用機認証プログラムは計画通りに進んでいる
- 商用機部門
- 開発プログラムの認証作業を完了することは我々の最大の目標の一つであり、計画に沿って引き続き多くの進歩を遂げている
- 737-7については試験が完了しており、FAAから修正型式証明を間もなく取得できる見込み
- 737-10については先日最終試験飛行を完了し、737-7に続いて認証を取得する予定
- これらの認証により、両機種とも2027年に納入を開始できる見込み
- 777-9については2027年の初納入に向けて計画通りに進捗
- 6月にはTIA 4Bと呼ばれる認証飛行試験の次の段階についてFAAから承認を獲得
- これにより飛行試験の残りの部分の大部分が解放され、現在までに認証飛行試験の55%以上を完了
- 段階的TIAに基づく認証飛行試験に加えて、今年後半にはETOPS試験の開始が承認される見込み
- 生産プログラム
- 737については、5月の最終レビューが成功したことを受けて現在生産を加速しており、今夏には工場出荷が月47機に達する見込み
- このプログラムにおける以前の生産量増加と同様、工場の主要業績指標を綿密に監視しており、これまでのところ工場の健全性に対する根本的な改善により、初期の結果は予想の範囲
- 今月初め、ウィチタのラインでMAXの低率生産を開始し、これにより次の計画である月52機に到達できる見込み
- 当四半期には129機を納入し、今年500機を納入する計画は順調に進んでいる
- 787プログラムにおいては現在月産8機で安定
- 4月には、サプライチェーンの一部が回復するまで、生産システムを一時的に数日間減速するという決定を下した
- 安全・品質計画に基づいて作業を進めており、システムとサプライチェーンの準備が整った場合にのみ生産を進める
- 当四半期には6月の13機を含む25機を納入し、今年90~100機を納入するという目標は順調に進んでいる
- 4月には、サプライチェーンの一部が回復するまで、生産システムを一時的に数日間減速するという決定を下した
- 商用機市場全体では、6200機を超える記録的な受注残高と、今後20年間で約44000機の新規航空機が市場に投入されるという見通しからも明らかなように、引き続き非常に高い需要と市場環境が見られる
- 737については、5月の最終レビューが成功したことを受けて現在生産を加速しており、今夏には工場出荷が月47機に達する見込み
- 開発プログラムの認証作業を完了することは我々の最大の目標の一つであり、計画に沿って引き続き多くの進歩を遂げている
- 防衛・宇宙・セキュリティ部門
- 着実に進歩を遂げており、業績強化、顧客との約束の履行、プログラムへの計画的な投資、規律ある実行に引き続き注力している
- 当四半期には、T-7とMQ-25の両プログラムでマイルストーンCを達成し、低率初期生産開始の承認を獲得
- T-7については、積極的な経営努力の結果、リスクをさらに低減し、今後の納入を加速させる生産準備完了構成を提供
- 最近、米空軍と覚書を締結し、これによりKC-46Aの任務遂行能力が強化され、リモートビジョンシステム2.0の改修で提携し、これらの機能アップグレードをより迅速に全機に導入することが可能となった
- コスト増加が見られた固定価格開発プログラムの1つがVC-25B(いわゆるエアフォースワン)だが、今朝発表したように、VC-25Bの製造および試験スケジュールをサポートするために、大幅なリソースを追加することを決定した
- このプログラムは将来的な損失となっているため、これらの追加投資により、当四半期に2億8000万ドルの費用が発生
- スケジュール遵守がお客様にとってどれほど重要であるかを認識しており、2028年にこの航空機を納入するという約束を維持するために相応の投資を行った
- VC-25B調整の影響を除くと、BDSの営業利益率は当四半期に3.5%となり、事業の残りの部分で営業成績が向上したことを示しており、10年以内に営業利益率が1桁台後半に戻る道筋に引き続き自信を持っている
- 防衛および宇宙製品に対する需要シグナルは依然として非常に強く、ミサイルおよび弾薬、セキュア通信衛星プログラムに対する需要が著しく増加している
- 着実に進歩を遂げており、業績強化、顧客との約束の履行、プログラムへの計画的な投資、規律ある実行に引き続き注力している
- グローバルサービス部門
- 当社のサービスチームが堅調なアフターマーケットを背景に引き続き好調な業績を上げている
- 営業利益率が18.1%で前年を下回ったのは、主にDigital Aviation Solutions社売却の影響、コストの上昇などによるもの
- これまでのところ、中東紛争による商業サービス事業への重大な影響は見られず、政府サービス事業では、継続中の業務を支えるための需要が増加している
- 10月に現在の契約が期限切れになる前に、ピュージェットサウンドエンジニアリング組合SPEEAと早期の契約交渉を行っている
- 第2四半期業績
- 売上高は246億ドルで8%増加
- 商用機の納入増加と防衛関連事業の好調な販売量を含む、3つの事業セグメントすべてにおける堅調な成長によるもの
- Spirit社の買収と2025年のDigital Aviation Solutions社の売却による売上高への影響は、ほぼ相殺された
- 営業利益率は0.6%に上昇
- コア1株当たり利益は、主にセグメント利益の増加と企業経費の減少を反映して、0.76ドルの損失に改善したが、VC-25Bプログラムの損失によって部分的に相殺された
- フリーキャッシュフローは6億3100万ドルのプラスとなり、前四半期にお伝えした予想よりも、入金時期が好調だったため高くなった
- 前年と比較すると、フリーキャッシュフローは商用機の納入増加と顧客からの入金増加により改善したが、セントルイスとチャールストンでの成長投資の進捗に伴う計画的な設備投資の増加によって部分的に相殺された
- 売上高は246億ドルで8%増加
- 財務関連
- 債務残高は459億ドルで期を終了し、当四半期で13億ドル減少、年初来では満期を迎える債務の返済により82億ドル減少
- 100億ドルの信用枠へのアクセスを維持しており、これらはすべて未使用のまま
- フリーキャッシュフローに関しては、10億ドルから30億ドルの見通しを達成する見込み
- 2026年下半期に予定されている司法省への7億ドルの支払いは、第3四半期に支払われる予定で、この影響を考慮すると第3四半期のフリーキャッシュフローは、数億ドル台前半のプラスになると予想
- 全体として、キャッシュフローの改善により今年の見通しに自信を持つことができ、100億ドルのフリーキャッシュフローという目標は十分に達成可能であり、記録的な受注残高の処理と継続的な強い市場需要の恩恵により、今後10年間でさらに大幅な成長が見込まれると考えている
- 質疑応答
- 下半期のキャッシュフロー見込みの詳細について
- 既に説明した様に第3四半期は司法省への支払7億ドルが発生を含めてもプラスのフリーキャッシュフローが見込まれ、第4四半期はかなり好調になると予想される
- 好調と見込まれる下半期のキャッシュフローには以下の様な要因がある
- 商用機プログラムの納入率の上昇と改善
- VC-25Bを除いたBDSの継続的な改善
- 通常、第4四半期に受け取るKC-46の前払い金
- 商用機の納入量をさらに増やすことができれば、より良い数字につながる可能性もある
- 商用機プログラムのマージンについて
- 現在737と787の両方で損益分岐点をわずかに上回る程度で、低迷している
- これは主に以前に話した価格の低迷が原因
- これらの低迷が完全に解消されるまでには時間がかかるが、納入ペースのメリットが低迷が縮小していくだろう
- また料金改定もマージン改善に寄与するだろう
- 総合すると、737型機の利益率は今世紀末までに2018年と同水準に達する見込みで、787型機についても今世紀末までに2018年を上回ると予想している
- 現在737と787の両方で損益分岐点をわずかに上回る程度で、低迷している
- 787型機の座席認証とその影響について
- 座席認証はまだすべて完了しておらず、座席認証は年末まで続くだろう
- ただ座席認証は航空機のロールアウト能力に実際には影響を与えていないので、納入できるように認証書類を完成させることが主な課題
- 我々はその問題と戦っており、年末まで作業を続けるので、まだ勝利を宣言することはできない
- 787型機のGEエアロスペースからのエンジン納入について
- 787のエンジン納入に関しては上半期の納入が遅れている
- 先ほど説明したように、サプライチェーンの回復を図るため、生産ラインを数日間停止した
- GEエアロスペースと協力して是正措置計画、つまり復旧計画を進めており、GEも復旧計画の達成に自信を持っている
- 787のエンジン納入に関しては上半期の納入が遅れている
- 現在始まったばかりのSPEEAとの交渉について
- 交渉に伴うストライキを避けるため、早期に交渉を開始し、現在その真っ只中にいる
- 現時点で交渉の行方を予測するのは適切ではないと思うが、我々はこの交渉に全力で取り組んでいる
- 交渉は今から10月頃までに進展する見込みで、できれば重大な問題が発生するような節目を迎える前に、合意に達することができればと思っている
- 万が一ストライキが発生した場合にどう対処するか、どのような対策を講じることができるかを真剣に検討し、計画を立てている
- 事態がどうなるかは様子を見るしかないが、こうした問題は双方の協力があってこそ解決するものであり、我々はストライキを回避するために最善を尽くす
- 下半期のキャッシュフロー見込みの詳細について
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2026年第2四半期の売上高(Revenues)は245億6000万ドル、市場予想の242億4500万ドルを上回っている
- 2026年第2四半期の調整後中核事業一株当たり損失(Core loss Per Share)は0.76ドルの損失、市場予想は0.30ドルの損失
- 2026年第2四半期のフリーキャッシュフローは6億3100万ドル、市場予想は3億3000万ドルの流出
となっている。
まとめ
上記の様な決算結果を受けてボーイング株は

前日比4.76%の上昇。同日の米国市場が

ダウ工業平均が1%を超える上昇で、S&P 500、NASDAQ総合はほぼ横ばいだったことを考ええると、ボーイング株の上昇はかなり大きい。
VC-25B(エアフォースワン)に関する追加費用計上があったが、売上は市場予想を上回り、コアEPSもVC-25Bの影響を除くと市場予想よりやや悪い程度、そしてフリーキャッシュフローが予想外にプラスに転じたことが評価されたのだろう。
決算後数日を含めた年初来のボーイング株の推移を市場(S&P 500)と比べると

前回決算以降は概ね冒頭に書いた印象の通り、上下動が激しく方向感が掴めない動き。そして今回決算で大きく上昇したものの、翌日は下落、翌々日は上昇、そしてまた下落となって相変わらず方向感がはっきりしない状況に変化は見られない。
今後のボーイング株だが、今回決算内容自体はVC-25B(エアフォースワン)への費用計上を除くと市場予想を上回り株価も上昇したものの、決算以降に続伸とならず、下落/上昇が交錯する状況になっていることを考えると、中東情勢、商用機の認証、生産台数拡大、労使との交渉などを睨んで引き続き方向感がはっきりしない展開が続きそうな気がする。何とかこれら市場の懸念材料が着実に解消され、株価上昇へつながることを望みたいが、しばらくは我慢の時が続くのだろう。