ワーナーブラザースがパラマウント買収提案を再検討(2026/2)

はじめに

自分が所有しているワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)は2025年6月にワーナーブラザース(WBD)が分社化を発表(2025/6)

でまとめた様に2026年半ばの分社化を発表したのだが、2025年8月の決算では

ワーナーブラザース・ディスカバリー2Q25決算(2025/8)

と大幅下落して先行きが不安な時期が続いていた。

しかし2025年9月にパラマウント・スカイダンスによるワーナーブラザースの買収準備が報じられると株価は急上昇。その後ワーナーブラザースは

ワーナーブラザースが戦略的代替案の検討開始(2025/10)

と買収を否定しない発表をしていた。

そして2025年12月にはネットフリックスがワーナーブラザース買収を発表したのだが、買収の有力候補であったパラマウント・スカイダンスがワーナーブラザース買収の再提案を実施。しかしワーナーブラザースはパラマウントの提案を買収資金の裏付けがないことを理由に拒否したのだが、パラマウントは買収資金の裏付けとなる提案を提示した。

その後もワーナーブラザース買収を巡っては

ワーナーブラザースの買収を巡るアップデート色々(2026/1)

でまとめた様に様々な動きがあった(ネットフリックスが取引条件を現金買収+株式付与から現金買収のみに変更など)のだが、基本的にはネットフリックスによるワーナーブラザース買収をパラマウントが阻止するためワーナーブラザース株の公開株式買付を2月20日まで行うという状況であった。

その後2月10日にパラマウントはワーナーブラザースがネットフリックスとの契約を破棄した場合に発生する28億ドルの違約金を負担し、加えてワーナーブラザースの債務借り換えを資金面で保証し、必要とあれば関連費用として15億ドルを支払う修正提案を提示している。

そして2026年2月17日にワーナーブラザースから掲題の発表がなされた。以下、その内容について確認しておくことにする。


2026年2月17日(火)のワーナーブラザース・ディスカバリー発表

以下はワーナーブラザース・ディスカバリーの企業ページより引用・抜粋。

  • Warner Bros. Discovery, Inc.(WBD)は本日、Netflix, Inc.(Netflix/NFLX)との合併に関する議決権行使のための特別株主総会を2026年3月20日午前8時(東部時間)に開催し、特別総会に関連して株主への正式な委任状の郵送を開始すると発表
  • またWBDは本日、Netflixとの合併契約に基づき、NetflixがWBDに限定的な免除を与え、WBDがParamount Skydance(PSKY)と2026年2月23日までの7日間にわたり協議を行い、WBD株主にとって明確な情報を提供するとともに、PSKYが最善かつ最終的な提案を行う機会を提供することも発表
    • この期間中、WBDはPSKYと協議を行い、未解決の問題点について協議するとともに、PSKYが提案する合併契約の特定の条件を明確にする
    • Netflixは、合併契約で定められたマッチング権を保有する
  • WBD取締役会は、引き続き全会一致でNetflixとの合併を推奨。またWBD取締役会は、本日SECに提出した修正資料に記載されている理由に基づき、株主の皆様に対しPSKYの買収提案を拒否することを全会一致で推奨
  • PSKYからの最新の修正提案(2月10日、Netflixとの違約金28億ドルの負担する条件の追加など)を受領後、PSKYの上級代表者はWBDの取締役に対し、WBD取締役会が協議を承認した場合、PSKYは1株あたり31ドルを支払うことに同意する旨、また、この提案はPSKYの「最善かつ最終的な」提案ではない旨を伝えた
    • この価格は、他のいくつかの事項と同様にPSKYが提案した最新の合併契約には反映されていない
    • この点について明確な説明を行うため、WBDは本日、PSKYに対し、PSKYが未対応の主要な問題点を記載した書簡と、PSKYが提案条件を確認するための取引契約書案を送付した
  • 「PSKYが未対応の主要な問題点を記載した書簡」の主な項目
    • PSKYの最新の修正提案はWBDが数ヶ月前に特定していた懸念事項の一部に対処するものだが、PSKYが2025年12月4日と2025年12月22日に提出し、当社取締役会で2度にわたり全会一致で否決された契約案に記載されていた不利な条件の多くが依然として含まれている
    • 2月11日、貴社のファイナンシャルアドバイザーの上級代表者が当社取締役会のメンバーに口頭で、当社が貴社と交渉する場合、PSKYはWBD株1株あたり31ドルを支払うことに同意すること、そして31ドルはPSKYの最善かつ最終的な提案ではないことを伝えた
    • NetflixがWBDに対し、Netflixとの合併契約の一部条項を免除することに同意したため、2月23日までPSKYと協議を行い、貴社の提案について明確化を図ることが可能になる
    • 貴社の提案には、WBDの1株当たり株価が31ドルを超えるものと理解しており、貴社からの最良の最終提案をお待ちしている
    • なお、取締役会は貴社の提案がNetflixとの合併よりも優れた取引につながる可能性が合理的に高いと判断したわけではなく、当社は引き続きNetflixとの取引を推奨し、全力で取り組んでいく

同日のネットフリックス発表

以下はネットフリックスの企業ページより引用・抜粋。

  • Netflixは、厳格かつ競争の激しい戦略検討プロセスを通じて、WBDに対し一貫して建設的かつ迅速な対応を示してきた。これはパラマウント・スカイダンス(PSKY)とは対照的である
  • 今回の取引は優れた価値と確実性をもたらすと確信しているが、PSKYの行動(antics)によってWBDの株主とエンターテイメント業界全体が混乱を招いていることを認識してる
  • そのため、WBDに対し合併契約に基づく特定の義務を7日間のみ免除し、PSKYと協議してこの問題を完全かつ最終的に解決できるよう支援した
  • これは、当社がWBDとの間で締結した唯一の取締役会推奨契約であり、当社の契約がWBDの株主に価値を提供する唯一の確実な道であるという事実に変わりはない
  • WBDは本日のプレスリリースにおいて、WBD株主に対し、WBDの臨時株主総会においてNetflixとの取引を承認する投票を行うことを改めて推奨している
  • PSKYは、自社の提案が問題なく承認されるだろうと示唆することで、規制審査プロセスを繰り返し誤解させており、WBDの株主に対し世界中で発生する規制上の課題の真のリスクについて誤解を招いている
  • WBDの株主は、PSKY社の方が規制承認を得るまでの道のりが容易で迅速であるなどと誤解すべきではないし、実際そうではない
    • PSKYの背後にある外国からの資金提供は、すでに深刻な国家安全保障上の懸念を引き起こしている
    • 米国のCFIUS(Committee on Foreign Investment in the United States:対米外国投資委員会)やTeam Telecom、欧州当局を含む世界中の政府審査機関が、PSKYコンソーシアムの中東投資家を精査し、彼らが純粋に受動的な投資家であるという主張に懐疑的になると予想される
    • 反トラスト法の観点から、PSKYの提案はハリウッドの5大スタジオのうち2つ、2つの主要な劇場配給チャネル、2つの大手テレビスタジオ、2つの主要ニュースネットワーク、2つの大手スポーツ配信の重複を招くことが懸念される
  • PSKYは提案された取引に続いて迅速に負債を減らすことを約束したが、これは前例のない人員削減を通じてのみ達成できる
    • Netflixの強力なキャッシュフロー創出は、当社の全額現金取引構造を支え、健全なバランスシートと将来の戦略的優先事項を活かす柔軟性を維持する

同日、ワーナーブラザース・ディスカバリーとネットフリックスの発表を受けてのパラマウント・スカイダンス発表

以下はパラマウント・スカイダンスの企業ページより引用・抜粋。発表は現地時間15時過ぎ。

  • パラマウントは、ワーナーブラザース・ディスカバリーがNetflixと協議の上、パラマウントに7日間の交渉猶予を与えることを決定したと発表したことを承知している
  • WBD取締役会はNetflixの合併契約に基づく慣例的な判断を避けることを選択したが、パラマウントの1株当たり30ドルの全額現金による提案は、より優れた提案に「合理的に結びつくと予想される(could reasonably be expected to result in)」と判断され、期限なしに自由に交渉する権利が与えられていたはず
  • WBD取締役会の行動は異例ではあるが、パラマウントそれでもなお、誠意を持って建設的な協議を行う用意はできている。同時に公開買付けを継続し、Netflixとの合併案に対する反対の要請を維持し、来たるWBD年次総会で取締役候補者を指名するという意向を進めていく

同日の3社の株価の動き

ワーナーブラザースを中心に同日の3社の株価推移(PSKYが黄色線、ネットフリックスが青色線)を見てみると

米国株式市場開場前のワーナーブラザース、ネットフリックスの発表はを受けて、ワーナーブラザースは約2.7%上昇、ネットフリックスはほぼ横ばい、パラマウントは約5%の上昇で取引を終えている。パラマウントの発表は3社の株価にあまり大きな影響は与えず。


まとめ

以上、ワーナーブラザースがパラマウントの買収提案を再検討するという発表とネットフリックス、パラマウントの発表、そして株価の動きについて整理してみた。

一言付け加えると、ワーナーブラザースとパラマウントの交渉期間終了後にパラマウントの提案がより優れた内容だと取締役会が判断した場合、Netflixは既存契約を維持するためパラマウントの最新の提案と同条件で対抗する権利を持っているため、パラマウントが本当に1株あたり31ドルの買収価格を提示(現時点ではあくまで口頭で31ドルの可能性を示唆)して受け入れられた場合は、ネットフリックスが買収金額を引き上げる可能性もある。

3社の発表をまとめた際にはそれぞれ言い分がある様に思われ、どういう結果となるのかは全く判らない。2月23日の交渉期限にどの様な結論が出るのかを期待半分/不安半分で待つことにしたい。ただ、2月23日に決着がつくのかどうかは定かでなないのだが。

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