米個人消費支出(PCE)価格指数と市場の動き(2025/12)

はじめに

米現地時間2025年12月5日(金)には、2025年9月の米個人消費支出(PCE:Personal Consumption Expenditures)価格指数(Price Index)が米商務省の経済分析局(Bureau of Economic Analysis)から発表された。

元々9月のPCE価格指数は10月31日に発表される予定だったが、つなぎ予算案が不成立で政府機関が閉鎖されていたため度々延期されていた。現時点では10月のPCE価格指数は発表されず、11月のPCE価格指数は12月19日発表予定となっている。

12月9、10日開催予定の2025年最後のFOMCがあるため、2025年12月第1週はそのインプットとなる経済指標の動向が非常に注目されていたのだが、

12月3日の

米雇用統計遅れで注目の米ADP雇用統計と市場(2025/12)

12月4日の

先月市場に影響を与えた米企業人員削減数と市場(2025/12)

と2日連続で無難に乗り切った中で、今回12月5日のPCE価格指数の発表を迎えている。

以下、今回発表された9月の米個人消費支出(PCE)価格指数の内容を確認しておくと共に、それを受けて市場がどう反応したかを整理しておくことにする。


2025年12月5日米商務省経済分析局(U.S. Bureau of Economic Analysis)発表の2025年9月米個人消費支出(PCE)価格指数

以下の情報は米商務省経済分析局の発表資料より引用・抜粋。

  • PCE価格指数は前年同月比2.8%、前月比では0.3%上昇で、いずれも市場予想と同じ
  • 変動の大きい食品とエネルギーを除いたPCEコア価格指数は前年同月比2.8%、前月比では0.2%上昇で、いずれも市場予想と同じ

  • 現在のドルベースでの個人消費支出(Current-dollar personal consumption expenditures(PCE))は前月比0.3%増、市場予想も0.3%増
  • インフレ調整後の実質個人消費支出(Real PCE)は前月比変わらず、市場予想は0.1%増


同日のその他発表等

米ミシガン大が12月の消費者信頼感指数(速報値)を発表

  • 12月の消費者信頼感指数(速報値)は53.3、市場予想は52.0。11月確報値の51.0から上昇

消費者調査ディレクターJoanne Hsu氏のコメント。

  • 11月と比べるといくつかの面で控えめな改善が見られるものの、全体的な見方は概して暗く、消費者は物価高騰の負担を引き続き指摘している
  • 同様に、労働市場への期待もわずかに改善したものの、依然として比較的暗い状況が続いている

同日の市場の動き

米国株式市場

米個人消費支出(PCE)価格指数、ミシガン大消費者信頼感指数はいずれも米国株式市場開場後の現地時間10:00。

前日比やや上昇で取引が始まり、PCE及びミシガン大消費者信頼感指数を受けて上昇傾向に。しかし勢いは1時間程しか続かず、結局最終的には前日比やや上昇で取引を終えている。

PCEはほぼ市場予想通り(しかもデータは9月分)、ミシガン大消費者信頼感指数もやや改善が見られた(ただディレクターは慎重な見方をしている)ことで来週12月のFOMCでの利下げが有力視される状況に変わりが無かったために小幅な変動に留まったのだろう。

CMEフェドウォッチツールによると

  • 12月5日の12月FOMCでの0.25%利下げ確率:86.2%
  • 1日前の12月FOMCでの0.25%利下げ確率:88.0%
  • 1週間前の12月FOMCでの0.25%利下げ確率:86.4%
  • 1ヶ月前の12月FOMCでの0.25%利下げ確率:69.6%

となっている。

米国10年債

米国市場が開場する米国東部標準時9:30は上記チャートのCST(米国中部標準時)では8:30。

前日比ほぼ変わらずで取引を開始して小幅な変動が続いていたが、PCE及びミシガン大消費者信頼感指数を受けて利回りは上昇傾向(債権売り)に。それでも次回FOMCでの利下げが有力視される状況に変わりがあった訳ではないので、限定的な上昇幅で取引を終えている。

ドル円為替

米国株式市場が開場したのは上記チャートのGMT(英国標準時)では14:30。

1ドル=154円台前半で方向感に欠ける神経質な動きが続いていたが、PCE及びミシガン大消費者信頼感指数を受けてややドル高傾向に。しかし結局は株式/債券市場と同様、変動幅は非常に限定的で1ドル=154円台前半のまま週の取引を終えている。


まとめ

以上、9月の米個人消費支出(PCE)価格指数及びミシガン大消費者信頼感指数(12月)の結果、そして市場がどう反応したのかについてまとめてみた。

12月3~5日の3日間に経済指標の発表が相次ぎ市場がどう反応するかを注目していたのだが、結果的には冒頭の3、4日、そして5日も市場は大きな変動をすることなく終えることが出来て一安心。

これで12月9、10日のFOMCでの利下げがほぼ既定路線となった感じがするが、実際に利下げが行われるか、また行われたとしてもFRBパウエル議長が会見でどういうコメントをするか、そして市場がそれらにどう反応するのかにはまだまだ注意が必要だろう。何とか12月FOMCも大きなサプライズ無く穏当に乗り切って欲しいものだ。

補記

ちなみに同日2025年12月5日(金)には自分の所有銘柄であるワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)がネットフリックス(NFLX)に買収されることが発表されている。これについては別途まとめることにしたい。

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