2025年1月発表の米消費者物価指数と市場(2025/1)

はじめに

米国時間2025年1月15日(水)に2024年12月の米消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)が米労働統計局から発表された。

前回2024年12月発表のCPIは市場予想通りでCPI結果では各市場とも大きな変動は無かった(債券は同日の入札が堅調だったこと、為替は中国当局の発表があったことで少し変動はした)。

CPI後の12月のFOMCでは0.25%の利下げが有力視され(CMEのフェドウオッチで約96%)実際0.25%の利下げとなったものの、経済予測要旨で2025年利下げ予想回数が2回だったことやパウエル議長が追加利下げを慎重に検討すると発言したことを受けて市場は大きく変動(株式市場は下落)することになった。

そして年が変わって2025年になってから発表された米雇用統計では、堅調な労働市場を受けてインフレ再燃の懸念が強まり株式市場は大きく下落し、債券利回りは上昇している。

そんな中で今回のCPI結果は非常に注目されていたのだが、その結果そしてそれを受けて市場がどう動いたのか。以下に確認して整理しておく。


2025年1月15日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2024年12月消費者物価指数(CPI)

以下の情報は米労働省労働統計局の発表資料より引用・抜粋。

  • 2024年12月の前月比消費者物価指数(季節要因調整済)は前月比0.4%の上昇、市場予想も0.4%の上昇

  • 2024年12月の前年比消費者物価指数(季節要因調整済)は全品目では2.9%上昇、市場予想も2.9%の上昇。変動の大きい食品及びエネルギーを除いたいわゆるコアCPIは前年比3.2%上昇、市場予想は3.3%の上昇、前月比では0.2%の上昇、市場予想は0.3%の上昇

  • 家庭用食品(Food at home)は前年比1.8%上昇。2024年11月は前年比1.6%上昇
  • 電気代(Electricity)は前年比2.8%上昇。2024年11月は前年比3.1%上昇
  • 住居費(Shelter、主に家賃。サービス分野で最大の構成要素でCPI全体の約3分の2を占める)は前年比4.6%上昇。2024年11月は4.7%上昇

全品目の指数(総合CPI指数)よりも市場に重視されるコア指数(エネルギーと住居費を除く)の前月比コアCPIは6ヶ月振りに鈍化。サービス分野で最大部分を占める住居費が前回に続き前月比0.3%上昇と比較的低い伸びだったことがコアCPI鈍化に寄与したのだろう。

ブルームバーグの算出によると住宅とエネルギーを除いたサービス価格は0.2%上昇(前月は0.3%上昇)となっており、2024年7月以来の小幅な伸びとのこと。


同日の市場の動き

米国株式市場

冒頭に述べた様に先日の米雇用統計がインフレ再燃の懸念を強めるものだったのだが、今回のCPIは全品目の指数(総合CPI指数)は上昇したものの市場予想と同じで、より市場に重視されるエネルギーと住居費を除くコアCPIが6ヶ月振りに鈍化したことでインフレ懸念が和らぎ市場は大きく上昇。前日発表された卸売物価指数(PPI)も上昇率が市場予想を下回ったことやガザ地区での停戦合意なども上昇に寄与したのだろう。

米国10年債

CPIの発表を受けて利回りは前日の4.78%から4.65%まで大きく低下している。これは一日では2024年11月下旬以来の低下幅。それでも利回りは高水準で、年明け1月2日の10年債利回りは4.57%だったことは認識しておくべきだろう。

ドル円為替

CPIの発表があった米ET8:30は上記ドル円チャートのGMT13:30。CPI発表直後にドル安となり1ドル=157円台から一時1円以上のドル安となる155円台となったものの、その後は1ドル=156円台前半~半ばの推移が続いた。意外にもドルが底堅い動きだったが、日本時間の16日9時半ぐらいからは再び155円台となり、155円台後半から160円台前半の推移と方向感が定まらない動きとなっている。


まとめ

今回のCPIは意外にもコアCPIの伸びが半年振りに鈍化したことで、株式、債券、為替共に大きな動きとなった。

前日の卸売物価指数(PPI)の上昇率が市場予想を下回ったことに続きコアCPIが鈍化したことで、1月10日の米雇用統計で再燃したインフレ懸念が和らぎ、昨年12月のFOMC経済予測要旨で有力とされた年内2回の利下げが再び有力視されることになったことが主な要因だろう。

とはいえ来週1月20日にはトランプ氏が大統領に就任となりどのような政策を実行していくのか、そして1月28、29日に開催されるFOMC会合では政策金利据え置きの公算が極めて高いが、FRB/パウエル議長がこの状況をどう判断しているのか次第では大きな変動もあるのだろう。

今回は自分の資産にとっては上手く働いたが、まだまだ経済指標やFOMCでの変動に備えて気が休まらない日々は続きそうだ。

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