はじめに
本日何となく自分の米国株ポートフォリオを眺めていたところ、いつの間にか所有しているGEベルノバ株が
240ドル台を突破していることに気が付いた。7月のGEベルノバの第2四半期決算をまとめた際には200ドル台だった記憶はないし、大きな上昇、大きなニュースも覚えがないのでかなりの驚き。
以下、GEベルノバの第2四半期決算以降の株価の動きと期間中の出来事を確認して、なぜGEベルノバ株が大きく上昇しているのかを考えてみる。
2024年7月24日の第2四半期決算から9月20日現在のGEベルノバ株
2024年第2四半期決算以降のGEベルノバ株の推移(2024/9/20(金)まで)
2024年第2四半期決算を含めた過去3ヶ月のGEベルノバ株の推移をS&P 500と比べてみる。
S&P 500の4.39%上昇に対して、GEベルノバは37.97%上昇。
GEベルノバの2024年第2四半期決算が発表されたのは7月24日(水)で、8月下旬まではS&P 500とそれ程変わり映えのしない動きをしていたのだが、そこから上昇傾向が顕著となり8月末には初めて1株@200ドルを突破、そして9月に入ってから上昇幅を伸ばして9月20日(金)には先述の通り1株@245.46ドルを超えている。
2024年第2四半期決算まとめ時点での自分のGEベルノバ株の今後見通し
2024年7月のGEベルノバ第2四半期決算まとめ時に自分は
「決算自体は悪くなくフリーキャッシュフロー見通しも引き上げたのだが、北米のヴィンヤード風力発電プロジェクトでのタービンブレード事故がGEベルノバの製造上の欠陥であったことが重しになったのだろう。」
「(決算後アナリストが目標株価を引き上げており)ヴィンヤード風力発電プロジェクトにおける事故の影響は短期的なものであり、それにもかかわらず見通しを上方修正しているのを評価している点が共通している。これらアナリストの見解/GEベルノバの経営陣の見通しが正しく、今後も堅調な業績/株価を維持してくれることを望みたい。」
と書いており、今一つ自信は持てていなかった様子がうかがえる。
2024年第2四半期決算以降のGEベルノバ株関連報道
【洋上風力発電ブレードの不具合】
上述した自分がGEベルノバ株の今後に今一つ自信が持てていなかった原因の一つであったGEベルノバの洋上風力発電タービンブレード事故がある。以下第2四半期決算以降の主な情報アップデートをまとめておく。
- 7月24日のGEベルノバ第2四半期決算前後
- 決算の前週7月13日に北米のヴィンヤード風力発電プロジェクトでGEベルノバ製のタービンブレードの事故が発生(負傷者は無し)
- 現時点では設計上の問題ではなく、製造上の欠陥がタービンブレードの破損につながったとみている
- これによりヴィンヤード風力発電プロジェクトの発電と建設は一時停止
- 8月13日
- ヴィンヤード風力発電プロジェクトの限定的な建設再開が許可される
- さらなるブレードの設置や発電は許可されない
- 現時点でプロジェクトで計画されているタービンの約3分の1が設置
- 依然として米国安全環境執行局(BSEE)が損傷したブレードの原因を調査中
- 8月23日
- イギリスのヨークシャー近郊ドッガーバンクの洋上風力発電プロジェクトでGEベルノバ製のタービンブレードが故障
- 負傷者の報告はなく、ブレードの故障については調査中
- 8月30日
- GEベルノバは最近のアメリカとイギリスにおける洋上風力発電のタービンブレードの故障は無関係であり、イギリスの事故は強風が原因と発表
- 今月の故障はタービンのローターが固定され、ローターを風に向けるシステムが機能しなくなったために発生し強風の際に脆弱な状態になった
【第3四半期の見通しアップデート】
- 9月12日に最高経営責任者(CEO)のScott Strazik氏が12th Annual Morgan Stanley Laguna conferenceで講演を実施
- 2024年通期の見通しは全体では第2四半期決算時と変わらず
- 第3四半期の風力発電部門の中核損失は3億ドルに達する見込み(第2四半期は1億1700万ドルの損失)
- 電力事業と電化事業の双方がガイダンスの上限に向かって増加しており、最近の洋上風力ブレードの事故による風力発電部門の追加コストを相殺すると予想
- 風力発電部門は第4四半期に小幅な黒字になると予想
【複数のアナリストが目標価格アップデート】
上記見通しアップデートを受けてか、主に電力事業と電化事業の需要拡大が価格上昇と継続的なマージン改善に寄与して、2024年下半期、2025年もその傾向は続くとして直近では以下の証券会社が相次いでGEベルノバの目標価格を引き上げている。
- RBC Capital(9月17日):192ドルから246ドル(Outperformで変わらず)
- BofA Securities(9月17日):200ドルから300ドル(NeutralからBuyへ上方修正)
- Mizuho Securities(9月16日):208ドルから241ドル(Outperformで変わらず)
- JP Morgan(9月13日):216ドルから240ドル(Overweightで変わらず)
- Morgan Stanley(9月13日):220ドルから256ドル(Outperformで変わらず)
まとめ
最近、特に第2半期決算以降GEベルノバ株が大きく上昇している原因であろう情報を整理してみた。
8月に発生したイギリスでのタービンブレード故障の問題が、7月の米国での故障と同じであり問題が長期化する可能性もあったのだが、原因は異なるとされたことでその懸念は一応取り除かれた。9月の上昇と比べると8月のGEベルノバ株の上昇は大したことではないように見えるが、実際には月間で10%を超える上昇となっている。
そして9月第1週の市場の大幅下落時もGEベルノバはほぼ横ばいで乗り切り、市場の回復と共に再び上昇、上述したCEOの見通しアップデートを経て複数のアナリストが目標株価を引き上げたことで更なる上昇となっているのだろう。
個人的にはやはり未だ原因が特定されていないヴィンヤード風力発電プロジェクトのブレード破損原因の影響/風力事業の赤字が気になるのだが、それを電力/電化事業が補って余りあるとアナリスト及び市場は見ているのだろう。アナリスト/市場の見方が正しく自分が考えすぎであって、ここ最近の状況が続いてくれることを期待したい(でも流石に短期間で株価が上昇し過ぎている気がする・・・)。