ボーイング777型機、787型機にそれぞれ不具合(2024/8)

はじめに

ここ最近の米国市場は8月初めの急落から反発し、S&P 500、NASDAQ総合は昨日まで8営業日連続で上昇、ダウ工業平均は5営業日連続上昇となっていた。昨日は下落したもののその幅は

小さく、ダウ工業平均は7月末と同等、S&P 500、NASDAQ総合は7月末水準を上回っており、ある程度市場は落ち着いてきた感がある(ただしドル円為替はドル安となっているので自分の円ベース資産は減っているのだが・・・)。

そんな今後に期待を持たせる状況の中で、自分の所有するボーイング(BA)株は昨日

市場に比べて大きく下落。確認してみたところ、8月19日(月)米国株式市場閉場後の2つの報道が下落を加速させたようだ。以下に内容を確認し整理しておく。


2024年8月21日のボーイング株下落に影響を与えた報道

以下は主にロイター通信、ブルームバークの報道より引用・抜粋。

米連邦航空局(FAA)がボーイング787型機に対して耐空性改善指令を採択

  • FAAが、2024年3月にラタム航空の飛行機が突然空中急降下して50人以上の乗客が負傷した事故を受け、ボーイングの787ドリームライナーに対する耐空性改善指令(airworthiness directive)を即時発行(effective immediately)した
  • FAAは、急降下の明らかな原因は機長席が無操作で動いたために自動操縦装置が切り離されたことだと指摘
  • また787型機で機長と副操縦士の座席に関する同様の問題が計5件報告されていると説明
  • 787‐8型、787‐9型、787‐10型機を使用している航空会社にシートスイッチを点検するよう要請

ボーイングが777Xの飛行試験を停止

  • ボーイングは開発中の大型ジェット旅客機777Xの飛行試験を一時停止した
  • 試験飛行後の通常の整備作業中、777-9型機のエンジンを主翼に取り付ける重要な構造部品に破損した部品が見つかったため
  • ボーイングの発表資料によると、部品を交換する予定で準備が整い次第飛行試験を再開する、とのこと
  • また問題の部品は777-9型機に固有のものであるが、777Xの他の飛行試験機も問題がないか点検中。これらの試験機については当面の飛行試験は予定されていない

まとめ

787ドリームライナーに対する耐空性改善指令は全世界で合計737機に影響し、30日以内に検査を完了しなければならないとされているが、その影響度合いは必要な是正措置を含めまだ不透明(ボーイングのコメントは今の所なし)。

また777X型機については当初の計画から既に約5年遅れていた中、7月の決算発表でようやく規制当局者を交えた飛行試験を開始したと発表していただけに出鼻をくじかれた格好。777Xの納入は2025年と見込まれていたが、今回の不具合により承認プロセスにより時間がかかり納入開始が遅れるとの見方も出ている。

過去1ヶ月のボーイング株の動きを市場(S&P 500)の推移と比べてみると

7月31日の第2四半期決算では新CEOの発表などもあって無難に乗り切ったが、8月の市場急落に伴い大きく下落。その後市場の戻りに比べて弱いながらも少し持ち直してきた中で、この新たな不具合2つは今後の業績/株価に懸念を抱かせる。

それにしても改めて思うが、ボーイング商用機に製造に関する問題がここ数年多過ぎる。737MAX型機の墜落事故を契機として様々な施策/改革がなされているのは事実なのだろうが、それが結果に結びつくのはいつのことになるのやら。とりあえずはこれらが直近の業績にどれくらい影響を与えそうか、追加の報道/発表に注意しておきたい。

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