はじめに
2024年4月30日(火)には自分が所有しているマクドナルド(MCD)の2024年第1四半期決算発表があった。
前回の2023年第4四半期決算時には3%超下落し
「問題は今回の決算及び翌日の下落で、マクドナルド株が悪材料を株価に吸収したのか、それともここから下落傾向に転じてしまうのかが不明な点。ここ3ヶ月の好パフォーマンスは期待しないが、下落傾向とはならないことを願いたい。」
と書いていたが、その後2024年3月の経営陣の講演での発言で第4四半期でも言及されていたインフレ、中東情勢、中国経済といった悪材料が再認識されて再び下落するなど、あまり良いパフォーマンスではなかった印象がある。
そんな状況で今回の2024年第1四半期決算はどうだったか。以下にその結果・内容を整理しておく。
マクドナルド2024年第1四半期決算概要
以下の情報はマクドナルドの企業サイトより引用・抜粋。
- 2024年第1四半期の総売上高(Total Revenues)は61億6900万ドルで、前年同期比5%増加
- 2024年第1四半期の純利益(Net Income)は19億2900万ドルで、前年同期比7%増加
- 2024年第1四半期のTotal operating costs and expenses(総営業コスト及び経費)は34億3300万ドルで、前年同期比2%増加
- 2024年第1四半期のGAAPベース希薄化後1株当たり利益(Earnings per share-Diluted)は2.66ドルで前年同期比9%増加(恒常為替ベースでも9%増加)。Non-GAAPベースでは2.70ドルで、前年同期比2%増加(恒常為替ベースでも2%増加)
既存店売上
2024年第1四半期の既存店売上は以下の通り。
今四半期の米国既存店売上は前年比2.5%増。世界全体では1.9%増。国際開発ライセンス市場(IDL:International Developmental Licensed Markets)は戦争の影響を受けた中東地域をが振るわず0.2%減。
2024年通期見通し
2024年通期の見通しは以下の通り。
- 営業利益率(Operating margin):40%半ば~後半(前回と変わらず)
- 資本的支出(Capital Expenditure):25~27億ドル(前回と変わらず)
その他
その他決算及びカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 2024年第1四半期は既存事業売上高が13四半期連続でプラス成長を記録し、過去4年間で30%の成長となった
- 2024年第1四半期を振り返ると広範な消費者への圧力が世界中で続いていることは明らか。消費者は日々の支出において価格の高騰に直面し、支出する金額をさらに厳しく選別し続けており、それがQSR(Quick Service Restaurant)業界に圧力をかけている
- 経済状況が圧迫される中で顧客は引き続きより意図的な支出を行うため、今年の売上高の伸びは緩やかになると予想される
- マクロ的な逆風が今年に入って予想していたよりも大きかったことは確かであり、第2四半期が始まった現在もマクロ的な逆風は続いている
冒頭に挙げた3月の講演での悪材料3つのうちインフレについては言及されたが、中東、中国に関してはカンファレンスコールの質疑を含め特に無かった。
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2024年第1四半期の総売上高(Total Revenues)は61億6900万ドル、市場予想の61億6000万ドルをやや上回っている
- 2024年第1四半期のNon-GAAPベース希薄化後1株当たり利益(Earnings per share-Diluted)は2.70ドル、市場予想の2.72ドルを下回っている
- 2024年第1四半期の世界の既存店売上高は1.9%増、市場予想の2.35%増を下回っている
- 2024年第1四半期の米国の既存店売上高は2.5%増、市場予想の2.55%増をやや下回っている
- 2024年第1四半期のIDL部門の既存店売上高は0.2%減、市場予想の0.98%増を下回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算内容を受けてマクドナルドの株価は
前日比0.19%の下落。同日の米国市場が
同日発表された米雇用コスト指数の上昇や米消費者信頼感指数の低下により大きく下落したことを考えると、下落はしたものの悪くない結果だったと言える。ただ日中の動きを見てみると
開場直後は前日比4%近く下落し265ドルを割る局面もあり、その後持ち直した理由も今一つ不明でスッキリしない感じ。
決算後数日を含めた年初来のマクドナルド株の推移を見てみると
冒頭に挙げた様に前回決算以降冴えない動きが続いていたが、今回決算で下げ幅は少なかったもののその後はほぼ横ばい。市場(S&P 500)が年初来6.2%上昇しているのに対して、マクドナルドは7.8%の下落となっている。
今後のマクドナルド株だが、他の自分所有米国銘柄の決算ではインフレ/経済が底を脱しつつある旨に言及する企業が多かった印象があるのに対して、マクドナルドはそれらとは異なり決算からまだインフレ/経済の状況が改善しているとは言い難そうなことを考えると軟調な展開が続きそうだ。何とか踏みとどまって次回四半期決算で改善の兆しを示してくれるといいのだが。