はじめに
2022年5月3日に自分の持ち株であるデュポン・ドゥ・ヌムール(DD)の2022年第1四半期決算が発表された。
以下決算内容を確認し整理しておく。
デュポン・ドゥ・ヌムール2022年第1四半期決算概要
以下の情報はデュポン・ドゥ・ヌムールの企業サイトより引用・抜粋。
まず最初に前四半期まではMobility & Materials部門が決算発表に含まれていたのだが、2022年2月に同部門の大部分をCelaneseに売却することを発表している関係で、今四半期からは同部門の業績をRetained Businessとして取り扱っている。そのため前年同期比の前年分にはMobility & Materialsの数値は含まれていない。なお売却は2022年末完了の予定。
- 2022年第1四半期の総売上(Net Sales)は32億7400万ドル、前年同期は30億1700万ドルで前年同期比9%増
- 2022年第1四半期の継続事業による1株当たり利益(Earnings per common share from continuing operations – diluted)は0.42ドル、前年同期は0.64ドルで前年同期比34%減
- 2022年第1四半期のNon-GAAPベース調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.82ドル、前年同期は0.69ドルで前年同期比19%増
事業部別業績
【Electronics & Industrial部門】
売上は前年同期比18%増の15億3600万ドル。事業の買収・売却や為替の影響を除いた既存事業売上高(Oragnic Sales)が9%増。前年比でOperating EBITDAが増加した一方で、Operating EBITDA marginが減少しているのは前年の事業売却に関係している。
【Water & Protection部門】
売上は前年同期比8%増の14億2900万ドル。既存事業売上高は10%増。Operating EBITDA、Operating EBITDA marginが減少しているのは主に原材料コスト及び輸送、エネルギーコストのインフレーションによるもの。
2022年通期見通し
2022年通期及び第2四半期見通しは以下の通り。これには上述した2022年2月発表のMobility & Materials部門売却が反映されている。
【2022年通期】
- 総売上(Net Sales):133億ドル~137億ドル
- 営業EBITDA(Operating EBITDA):32億5000万ドル~34億5000万ドル
- 調整後一株当たり利益(Adjusted EPS):3.20ドル~3.50ドル
【2022年第2四半期】
- 総売上(Net Sales):32億ドル~33億ドル
- 営業EBITDA(Operating EBITDA):7億5000万ドル~8億ドル
- 調整後一株当たり利益(Adjusted EPS):0.70ドル~0.80ドル
その他
決算発表資料には掲載されておらずアナリストとのカンファレンスコールで説明・質疑のあった主な項目は以下の通り。
- 前四半期に2023年3月末までに新規10億ドルの自社株買戻しプログラムが承認されたことを発表したが、前倒しして2022年中に完了する予定に変更
- ウクライナでの戦争により、この四半期中世界的なサプライチェーンの課題とコストのインフレは継続しさらには激化している。当社はインフレに対応して戦略的な価格設定措置を継続し、原材料、ロジスティクス、およびエネルギーに関連する四半期中のコストの上昇を完全に相殺することができた
- (COVID-19の影響で)中国での政府による追加の封鎖により、サプライチェーンの制約がさらに強まり第2四半期の販売量の増加に影響を与える可能性がある
- デュポンとサプライヤーの製造及び出荷が集中していることを考えると、封鎖が深センと珠江デルタ地域に広がるにつれさらなる見通しのリスクが引き起こされる可能性もある
- 中国でのCOVID-19の影響で3月中旬以降フル活動していない工場があり5月中旬に完全に再開される予定。これにより約2000万ドルの売上逸失が想定される
- ロシアでの事業停止は通期のOperating EBITDAで3500万ドル、第2四半期以降の売上に約8000万ドルの悪影響が想定される
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2022年第1四半期の総売上(Net Sales)は32億7400万ドル、市場予想の32億5000万ドルを上回っている
- 2022年第1四半期のNon-GAAPベース調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.82ドル、市場予想の0.67ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算を受けてデュポン・ドゥ・ヌムールの株価は
0.73%の上昇。同日の米国市場が
前日よりやや上昇だったのと比べるとやや上昇幅は大きい。ただし決算発表資料が開示され、アナリストとのカンファレンスコールがあった開場前の時間外取引では一時5%近く下落したことを考えるとかなり持ち直したと言える。
同日のデュポン株の動きを見てみると
午前中は上下動が激しく、午後になってからは市場と類似した動きとやや落ち着いている。
中国でのCOVID-19が第2四半期の業績に影響を及ぼしそうな事が懸念される一方で、自社株買い戻しの前倒しは予想外の好材料であり決算内容をどう判断するかは難しかった事が伺える。
年初来の株価を見てみると
市場(S&P 500)が12.4%下落しているのに対してデュポンは17.8%の下落と市場より大きい下落幅で冴えないパフォーマンスとなっている。
気になる今後のデュポン株だが、上記の市場との対比や決算発表を受けて特に上昇した訳でもない事を考えるとあまり期待はできないのだろう。何とか市場と同程度のパフォーマンスに落ち着いてくれるといいのだが。