はじめに
2021年の米銀ストレステスト結果の概要と、結果発表翌日の米銀株価については
2021年6月24日のFRB米銀ストレステスト結果発表まとめ
2021年米銀ストレステスト後の米銀株価の動き(2021/6)
で整理したが、2021年6月28日(月)の米国市場閉場後に主要な米銀がストレステストの結果を受けて今後の四半期配当についての発表をしている(取締役会の承認等も必要なのでまだ確定ではない。
以下に自分の所有しているシティグループ(C)とJPモルガン・チェース(JPM)、そして比較の対象としてよく使っているバンク・オブ・アメリカ(BAC)とウェルズ・ファーゴ(WFC)の今後の配当について整理しておくことにする。
2021年ストレステストを受けての米4銀行の四半期配当方針
以下はいずれも各企業のサイトより引用・抜粋。
シティグループ(C)
現在の一株当たり四半期配当:@0.51ドル
今後の一株当たり四半期配当:不明(@最低0.51ドル)
- We look forward to continuing with our planned capital actions, including common dividends of at least $0.51 per share, and to continuing share repurchases, which are particularly attractive when our stock price is below tangible book value per share.
我々は1株あたり少なくとも0.51ドルの普通配当を含む計画された資本行動を継続し、株価が1株当たりの有形簿価を下回っている場合に特に魅力的な自社株買いを継続します
JPモルガン・チェース(JPM)
現在の一株当たり四半期配当:@0.90ドル
今後の一株当たり四半期配当:@1.00ドル(11%増、2021年第3四半期より)
- JPMorgan Chase’s Board of Directors intends to increase the quarterly common stock dividend to $1.00 per share (up from the current $0.90 per share) for the third quarter of 2021.
JPモルガン・チェースの取締役会は、2021年の第3四半期に四半期の普通株式配当を1株あたり1.00ドル(現在の1株あたり0.90ドルから増加)に増配する予定です
ウェルズ・ファーゴ(WFC)
現在の一株当たり四半期配当:@0.10ドル
今後の一株当たり四半期配当:@0.20ドル(50%増、2021年第3四半期より)
- The Company expects to increase its third quarter 2021 common stock dividend to $0.20 per share from $0.10 per share, subject to approval by the Company’s Board of Directors at its regularly scheduled meeting in July.
当社は、2021年第3四半期の普通株式配当を1株当たり0.10ドルから0.20ドルに引き上げる予定です。これは7月に定期的に開催される取締役会の承認を条件としています - Additionally, the Company’s capital plan includes common share repurchases of approximately $18 billion for the four-quarter period beginning third quarter 2021 through second quarter 2022.
加えて当社の資本計画には、2021年第3四半期から2022年第2四半期までの4四半期で約180億ドルの普通株式の買戻しが含まれています
バンク・オブ・アメリカ(BAC)
現在の一株当たり四半期配当:@0.18ドル
今後の一株当たり四半期配当:@0.21ドル(17%増、2021年第3四半期より)
- In April, we announced a plan to repurchase up to $25 billion of common stock over time, and today we are also announcing that we expect to increase the quarterly common stock dividend by 17 percent to $0.21 per share, beginning in the third quarter of 2021.
4月に時間をかけて最大250億ドルの普通株を買い戻す計画を発表し、また本日四半期の普通株配当を17%増やして2021年第3四半期から1株あたり0.21ドルにすることを発表しました
まとめ
ということで自分の所有銘柄で投資額の大きいシティグループ以外は、取締役会の承認が必要なため確定ではないがいずれも2021年第3四半期から増配予定。シティは下手をすると据え置きになる可能性がある。
2021年米銀ストレステスト後の米銀株価の動き(2021/6)で
「銀行株は1年間配当据え置きだったのでそれなりの配当増を期待したい気もするが、現在シティの税引前配当率が2%台後半、JPモルガンが2%台前半と銀行株にしてはそれなりの配当率の気もするので、過度な期待はしない方がいい様な気もする」
と書いたものの、まさかシティに配当据え置きの可能性があるとは予想外。据え置きと明言はしていないがat least $0.51 per shareとの表現は、その可能性もあるということだし、他の銀行が明確に第3四半期配当を数値で発表しているのに比べると見劣りがする。
そんな発表を受けての上記4行の昨日の株価がどうだったかというと
まさかのいずれも前日比マイナス。最初に自分のポートフォリオ銘柄であるシティとJPモルガンの株価のみを確認したので、これは配当の違いが株価に影響したものと思っていたのだが、ウェルズ・ファーゴとバンク・オブ・アメリカが増配を発表したにも関わらず割と大きく下落しているのが意外だった。
以前にも以下で触れた
2021年6月の米10年債と2年債長短金利差と所有米銀行株価
6月に入ってから顕著な米国債の長短金利差が縮小している傾向が影響しているのだろうか。
6月1日:10年債金利1.62、2年債金利0.16、金利差1.46
6月29日:10年債金利1.49、2年債金利0.27、金利差1.22
この傾向がいつまで続くのかは分からないが、7月に予定されているシティとJPモルガンの決算発表も以前にまとめたようにパッとしないことが予想されるので、しばらく銀行株はさえない動きが続きそうだ。
ストレステストを無難に乗り切って、配当増が解禁されたにもかかわらず好材料が思ったほど銀行株上昇の助けになっていないのは予想外。もっと銀行株の株価上昇に貢献してくれると期待したのだが・・・。