はじめに
現地時間2025年6月27日(金)の米国市場閉場後16:30に2025年の米銀ストレステスト結果が公表された。
2025年1月にトランプ氏が大統領に就任した際には金融業界に対する規制緩和が期待されていたのだが、現時点では具体的な施策まで結びついてはいない。
そんな状況の中、今回2025年の米銀ストレステストが良好であればトランプ政権が推し進めようとしている規制緩和の裏付けとなるのでは、という見方もあり、その結果が注目されていた。
以下、2025年度の米銀ストレステストの結果について確認し整理しておく。またストレステストの結果発表が金曜日の閉場後であったため、手持ちの銀行株が実際にどう動いたかは別途整理したい。
2025年6月27日のFRBの米銀ストレステスト結果まとめ
以下はFRBのサイトの発表文より引用・抜粋。
- 連邦準備制度理事会の年次銀行ストレステストの結果は、大手銀行が最低資本要件を上回り、家計や企業への融資を継続しながら、厳しい不況を乗り切る態勢が整っていることを示した
- 今年の想定される景気後退シナリオ下では、損失に対するクッションとなる普通株等Tier 1(CET1)資本比率の総額は1.8パーセントポイント低下する
- 2025年4月に金融商品取引委員会は、企業の資本要件の算出においてストレステストの変動性を低減するため、連続する2年間のストレステスト結果を平均する規則を提案した。提案通りにこの規則が最終決定された場合、今年の結果は2024年の結果と平均され、総額は2.3パーセントポイント低下することになる
- 今年のテストにおける資本比率の減少は近年の全体的な減少よりも小さく、ストレステストに使用したモデルにおける意図しない変動を一部反映している。理事会は、今年後半にモデルとシナリオ設計フレームワークに関する情報を開示し、パブリックコメントを求める際にこの問題に対処する予定
- 監督担当副委員長のミシェル・W・ボウマン氏のコメント
- 大手銀行は依然として十分な資本を有しており、様々な深刻な事態に対して耐性がある
- ストレステストの結果とそれに伴う資本要件の過度な変動に対処する一つの方法は、4月に発表された2年間連続のストレステスト結果を平均化する提案を理事会が最終決定すること
- 調査対象となった22行の銀行はすべて、5500億ドルを超えると予想される仮想損失総額を吸収した後、ストレスシナリオ中最低CET1資本要件を上回った
- 5500億ドルを超えると予想される損失総額には、クレジットカード損失の約1580億ドル、商業/工業ローンの損失1240億ドル、商業用不動産の損失520億ドルが含まれる
同時に公開されたテスト詳細(PDF)中でのシナリオの詳細と資本要件
- GDPが約8%縮小し、失業率がピーク時に10%に急上昇、商業用不動産価格は30%下落、住宅価格が33%下落し、株価が50%下落するというシナリオ
- このシナリオ下で、全体の普通株等Tier1資本比率は11.6%で、最低必要額の4.5%を大きく上回っている
まとめ
以上、2025年の米銀ストレステストの概要を確認し整理してみた。
発表が金曜日の米国株式市場閉場後、そしてFRBは各銀行に対してストレステスト結果を受けて株主にどの程度資金を還元する予定かについて来週初めまで発表しないよう要請しているため各銀行のストレステストに対する発表はまだなく、各銀行の株価がどう変動するかは不透明。全体ではテスト対象22行が全てストレステストをパスしたことから、自分の所有米銀株であるシティグループ(C)、JPモルガン・チェース(JPM)共に上昇してくれることを期待したいが、パスしても市場の予想を下回っていた場合には下落することもあるのが不安材料。
そして冒頭に挙げた規制緩和についてだが、ストレステスト発表と同じ週6月26日に7月22日に開催される大手銀行の自己資本規制に関する会議の議題を公表している。その議題はバーゼルIII最終段階の規制、ストレステストの枠組み、大手銀行に対する資本サーチャージ、レバレッジ要件など、複数の資本要件に関するものであり、今回のストレステスト結果を受けて規制緩和が進む可能性もある。
年初来のシティ株の推移は
米国の4月の関税措置で一時年初来15%を下落する局面もあったものの、現時点では約20%上昇。
JPモルガンも
シティと同様の推移でやはり年初来20%の上昇。ちなみにS&P 500は同じ期間中約5%の上昇に留まっている。
今回の米銀ストレステストの結果を受けて金融機関への規制緩和が進み、それに伴い自分が所有している米銀株がこのまま更に上昇してくれることを願いたいが、どうなるだろうか。