ダウ・インク(DOW)2024年第2四半期決算(2024/7)

はじめに

2024年7月25日(木)には自分の所有銘柄であるダウ・インク(DOW)の2024年第2四半期決算発表があった。

前回2024年第1四半期決算は無難に乗り切り、

「決算で特段の悪材料があった訳ではなくマクロ経済改善の兆しが見られるとしている点を期待したいところだが、個人的にそこまで確信は持てない。ダウ・インクの想定通りに物事が進むといいのだが。」

と書いていたのだが、その後はあまりパッとしない値動きだった印象がある。今回のダウ・インクの決算内容及び株価はどうだったのか。以下に確認して整理しておく。


ダウ・インク2024年第2四半期決算概要

以下の情報はダウ・インクの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2024年第2四半期の総売上(Net Sales)は109億1500万ドル、前年同期は114億2000万ドルで前年同期比4%減
  • 2024年第2四半期の一時項目を除く一株当たり利益(Operating Earnings Per Share)は0.68ドル、前年同期は0.75ドルで前年同期比9.3%減

事業部別業績

包装・特殊プラスチックの売上高は前年同期比7%減の55億1500万ドル、営業EBITマージンは前年同期比280bps減の12.7%。出荷量は3%減少し、価格(Local Price)が4%下落している。

素材・インフラストラクチャの売上高は前年比7%減の29億5100万ドル、営業EBITマージンは前年同期比130bps増の0.2%。価格(Local Price)は7%下落し、出荷量は1%増となっている。

パフォーマンスマテリアル・コーティングの売上高は前年同期比2%増の22億4300万ドル、営業EBITマージンは前年同期比350bp増の6.5%。価格(Local Price)が4%下落し、出荷量は7%増となっている。

2024年通期見通し

2024年通期の考慮要因(FY2024 MODELING CONSIDERATIONS)は以下の通り。

主な項目:

  • Net Interest Expense(純支払利息):~5.5億ドル(前回と変わらず)
  • D&A(Depreciation and Amortization:減価償却費):~29億ドル(前回と変わらず)
  • Dividends from Equity Companies (出資会社からの配当):~2.5億ドル(前回の~2億ドルから上方修正)
  • CapEx(設備投資):~30億ドル(前回と変わらず)

2024年第3四半期の見通しは以下の通り。

  • 全体の売上:~111億ドル
    • Packaging & Specialty Plastics:前四半期に比べて0~+2%の売上
    • Industrial Intermediates & Infrastructure:前四半期に比べて+1~+3%の売上
    • Performance Materials & Coatings:前四半期に比べて₋2~0%の売上

その他

その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 配当と自社株買いを通じて第2四半期に株主に6億9100万ドルを還元(配当4億9100万ドル、自社株買い2億ドル)
  • 第2四半期に、包装・特殊プラスチックポートフォリオの一部であるラミネート接着剤事業をアルケマ社に売却することで合意。この取引は2024年第4四半期までに完了する予定
  • 短期的にはマクロの動向はほぼ変わらないと予想しているが、世界経済の回復ペースは若干減速している。これは主に中国によるもので第2四半期の経済成長は市場の予想を下回っている
  • 特に建築・建設や耐久消費財などの分野で、世界的なマクロ経済の回復が予想よりも遅い
  • 包装・特殊プラスチックの需給ファンダメンタルズは引き続き改善すると予想しており、金利引き下げサイクルの始まりはポリウレタン事業の需要を加速させるだろう
  • 第3四半期の売上は第2四半期の業績をわずかに上回り引き続き改善が続くと予想しており、(7月上旬の)ハリケーン「ベリル」によるアメリカの混乱は最小限(テキサス州フリーポートに工場があり1週間程操業を停止している)

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想を比較してみると、

  • 2024年第2四半期の総売上(Net Sales)は109億1500万ドル、市場予想の110億1000万ドルを下回っている
  • 2024年第2四半期の一時項目を除く一株当たり利益(Operating Earnings Per Share)は0.68ドルで、市場予想の0.72ドルを下回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算を受けてダウ・インク株は

前日比0.88%の下落。同日の米国市場が

大型ハイテク銘柄を中心に下落してS&P 500、NASDAQ総合が前日比マイナス、ダウ工業平均がややプラスに終わったのと比べると大型ハイテク銘柄でもないダウ・インクの下げ幅は大きい。やはり売上、EPS共に市場予想を下回ったことが嫌忌されたのだろう。とはいえ開場直後に前日比4%超の下落からは回復して終えているのでその点は良かったとも言える。

決算発表後数日を含めた年初来のダウ・インク株の推移を市場(S&P 500)と比べてみると

特段のニュースがあった訳ではないのだが、5月中旬以降は市場が7月半ばまで上昇基調だったのに対してダウ・インクはそれに反して下落傾向が続いていた。7月9日に年初来安値となった以降はやや上昇したが一時的なもので、決算が振るわなかったこともあって決算後もパッとしない動きが続いている。

今後のダウ・インク株だが、決算内容からするとここ数ヶ月の下落傾向を覆す様な内容ではなく今後の見通しも明るいものではないため、残念ながら期待できそうもない。第3四半期中は年初来安値を更新する可能性もあると考えておいた方がいいだろう。

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