ワーナーブラザースがNBA放映権更新に失敗し控訴(2024/7)

はじめに

今週7月22日(月)にワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)傘下のTNTスポーツがNBA放映権に対するマッチングオファーを提示したことをまとめたが、掲題の通りNBAの放映権更新に失敗し、NBAを控訴したとの報道があった。

以下に現在の状況について確認し、整理しておく。


ワーナーブラザースのNBA放映権更新失敗

7月24日(水)のNBA(全米バスケットボール協会)発表

  • Disney、NBCUniversal、Amazonとの新しいグローバルメディア契約は、米国と世界中のファンにとってNBAの試合へのリーチとアクセシビリティを最大化する
  • これらのパートナーは、私たちのコンテンツを幅広いプラットフォームで配信し、今後10年間のファン体験の変革に貢献するだろう
  • ワーナーブラザース・ディスカバリーの最新の提案はアマゾン・プライム・ビデオの提案条件と一致しなかったため、アマゾンと長期契約を結んだ

この発表は水曜日の米国株式市場閉場後に行われ、報道によるとこの3社との契約は770億ドル相当の11年契約とのこと。

NBA発表を受けてのTNTスポーツの声明

  • 我々は契約上の権利があるアマゾンの提案と同額をオファーした。NBAが拒否できるとは思わない
  • 我々は、NBAが2025/26シーズン以降に関する我々の契約上の権利を著しく誤解していると考えており、適切な措置をとる

7月25日(木)のCNBC報道

  • ワーナーブラザース・ディスカバリーは、NBAが放映権の同額入札を拒否したことを受け、ニューヨークで同協会を訴える予定だと事情に詳しい関係者が木曜日に明らかにした
  • ワーナーブラザース・ディスカバリーとNBAは、現時点ではロイターのコメント要請に応じていない

Macquarie US Equity ResearchのアナリストTim Nollen氏の投資格付けアップデート

投資格付け:OutperformからNeutralに下方修正

目標株価:9ドルに下方修正(以前は13ドル)

以下はTim Nollen氏の投資格付けアップデートの要旨。

  • NBAの放映権は、(ワーナーブラザースの)Maxストリーミングサービスの将来の成功にとって重要だと我々は考えている
  • NBAの重要性はおそらく過小評価できないと思うので、今後(ワーナーブラザースにとって)NBAがなくなるのは大きな打撃だ。
  • この重要な権利を失うということは、同社のリニアネットワークとMaxストリーミングサービスの両方にとって中核的なコンテンツ資産を失うことを意味し、今後の加入者数に影響するかもしれない

まとめ

この様な状況を受けてワーナーブラザース・ディスカバリー株は

前日比5.67%の下落。同日の米国市場が

大型ハイテク銘柄を中心に下落してS&P 500、NASDAQ総合が前日比マイナス、ダウ工業平均がややプラスに終わったのと比べるとWBD株の下落はやはり際立っている。7月10日にジ・アスレチックがワーナーブラザースが外れた報道をした際(その時点では合意)にはそれ程株価に大きな影響は無かったが、今回は正式にNBA放映権の喪失となりWBDにとって大きな悪材料と判断されたのだろう。

年初来のWBD株の推移を市場(S&P 500)と比べてみると

年初来右肩下がりであった株価が7月に入ってから、Bank of America Securitiesの投資格付けアップデートやその後のフィナンシャル・タイムズ紙でWBDの資産売却などが報道されたことで少しだけ上昇したのだが、今回のNBA放映権喪失で再び年初来で約30%の下落となってしまった。

今後のWBD株だが、報道にあった控訴結果次第ではあるが基本的にはNBAの放映権を失ったと認識すべきだろう。そうするとやはり加入者への悪影響は避けられまい。報道にあったような資産売却などのドラスティックな施策が取られない限りは大きな上昇は望めない気がする。8月7日に予定されている第2四半期決算発表で、NBA放映権の喪失を受けてどのような説明がなされるのかを注意しておきたい。

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