はじめに
2024年4月25日(木)には自分が所有しているアルトリア・グループ(MO)の2024年第1四半期決算発表があった。
前回決算では自社株買いの発表などもあって5%を超える上昇となったが、
「今回の決算を受けて上昇したものの、その翌日は市場が上昇しているにもかかわらずアルトリア株は下落していることを考えると、今後の株価にはそれ程の期待は持てそうにない。」
とその後の株価上昇には期待していなかった。今回の決算結果及びそれを受けての株価はどうだったのか。以下に決算内容を確認し情報を整理しておく。
アルトリア・グループ2024年第1四半期決算概要
以下の内容はアルトリア・グループの企業サイトより引用・抜粋。
- 2024年第1四半期の売上高(Net Revenues)は55億7600万ドル、前年同期比2.5%減
- 2024年第1四半期の物品税控除後の売上高(Revenues net of excise taxes)は47億1700万ドル、前年同期比1.0%減
- 2024年第1四半期の1株当たりの調整後利益(Adjusted diluted EPS)は1.15ドル、前年同期比2.5%減
- 2024年第1四半期のタバコ製品の出荷量は前年同期比9.9%の減少
- 2024年第1四半期の売上高(Net Revenues)に占める割合
- タバコ製品(紙巻きタバコ、葉巻):87.98%
- オーラルタバコ製品(電子タバコ、経口タバコなど):11.67%
- その他:0.34%
- 2024年第1四半期の営業損益(Operating Companies Income(Loss))に占める割合
- タバコ製品(紙巻きタバコ、葉巻):86.70%
- オーラルタバコ製品(電子タバコ、嗅ぎタバコなど):15.46%
- その他:‐2.16%
2024年通期見通し
2024年通期の見通しは以下の通り。
- 2024年通期の調整済み希薄化後EPS見通し:5.05~5.17ドル(前回の5.00~5.15ドルから上方修正)
- 2023年実績(4.95ドル)比成長率:2%~4.5%(前回の1%~4%の成長率から上方修正)
その他
その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 2024年第1四半期に既存の10億ドルの自社株買いプログラムに24億ドルの増額を承認
- 2024年第1四半期に所有するアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABI)の普通株3500万株を売却し、ABIはアルトリアから約330万株の普通株を買い戻し
- 昨年買収したNJOYは好調を維持
- 違法フレーバー付き使い捨てe-vapor製品については引き続き関係当局と連携しながら対処していく
- 当局による電子蒸気関連の輸入拒否件数は450件を超え、昨年通年の348件から増加した。また引き続き民事罰金を課し、違法製品の製造業者、小売業者、卸売業者に警告書を送り続けている。これらの措置は進歩の兆しを示しているが、まったく不十分であると私たちは考えている
- 2024年第1四半期の紙巻きタバコ製品価格は8.5%上昇(2023年第4四半期は5.5%上昇)
- 2024年第1四半期の1株当たりの調整後利益(Adjusted diluted EPS)は前年同期比2.5%減だったが、下半期の方が期待できる
- NJOYの買収完了が2023年6月であった
- 下半期の営業日が昨年比2日増加する
- (紙巻きタバコの数量減少を上回る価格設定で営業利益を最大化するという貴社の戦略は変化する経済状況の中で持続可能であると思うか)正確に言うとマールボロと成長分野に適切な投資を行いながら、長期的に収益性を最大化するというのが我々の戦略。第1四半期の価格設定効果には満足しており、まだ価格設定の余地は残っている(価格を店舗レベルで管理している)
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2024年第1四半期の物品税控除後の売上高(Revenues net of excise taxes)は47億1700万ドル、市場予想の47億1000万ドルをやや上回っている
- 2024年第1四半期の1株当たりの調整後利益(Adjusted diluted EPS)は1.15ドル、市場予想も1.15ドル
となっている。
まとめ
上記の様な決算発表を受けてアルトリア・グループの株価は
前日比1.44%の上昇。同日の米国市場が
いずれも下落して終えていることを考えるとまずまずの結果だったと言える。第1四半期決算は市場予想とほぼ同等だったものの、通期見通しを引き上げたことが評価されたのだろう。
年初来のアルトリア株の推移を見てみると
前回決算以降は冒頭に書いた様に冴えない動きが続いていたのだが、3月に入ってから上述したABIや自社株買い(正式発表は3月20日)から大きく上昇。その後は市場よりも大きい下落が続いていたが4月半ばからは持ち直して今回決算も無難に乗り切り、決算翌日はやや下がったものの市場(S&P 500)と同程度のパフォーマンスとなっている。
今後のアルトリア株だが、気になるのは既述した昨年買収のNJOYがどれほど実際の業績に影響を及ぼすか。アルトリアが説明している通りの結果を出してくれることを願いたい。それまでは方向感に乏しい動きが続くような気がしている。