イスラエルとハマスの武力衝突翌営業日の米国市場(2023/10)

はじめに

日本時間2023年10月7日(土)に、パレスチナ自治区ガザ地区からイスラエルに向けて大量のロケット弾が発射されたほかガザ地区から武装組織ハマスのメンバーがイスラエル内に侵入し、イスラエル軍は翌8日に戦闘機数十機でこれに応戦し17カ所以上のハマス拠点を空爆した。

今後はイスラエル軍がガザ地区で地上戦を開始すると予想されており状況がどう変化するかは予断を許さないが、とりあえず武力衝突が発生した翌営業日の米国市場の動き等について確認しておくことにする。


イスラエルとハマスの武力衝突翌営業日10月9日(月)の米国市場の動き

米国株式市場

寝る前は予想通りに地政学リスクの懸念から下落して始まり起きた時にはどこまで下がっているのかと思って就寝したのだが、実際には主要3市場とも午後に持ち直して前日比プラスで終えていた。

調べてみると前月9月のFOMC時に市場が想定していたよりも高い金利水準が続く見通しとなったことが9月下旬以降の米国株式市場低迷原因だったのだが、昨日はダラス地区連銀のローガン総裁が講演で以下の様に追加利上げの必要性低下について言及したことが原因らしい。

以下は全米企業エコノミスト協会(NABE)での米ダラス地区連銀のローガン総裁の講演より引用・抜粋。

  • 持続可能かつタイムリーな方法で物価の安定を回復するためには、引き続き制約的な金融情勢が必要になると考えている
  • われわれの責務の両面におけるリスクに引き続き注意を払っている。私の見解では高インフレは依然として最も重要なリスクだ。高インフレの定着や再燃を容認するわけにはいかない
  • タームプレミアム*の上昇によって長期金利が高止まりするのであれば、フェデラル・ファンド(FF)金利を引き上げる必要性は低下するかもしれない
  • ただ長期金利の上昇の背景に経済の力強さがあるのであれば、FOMCで一段の措置が必要かもしれない
  • FOMCの責務達成に向けどの程度の追加的な政策引き締めが適切かを評価するため、経済と金融の動向を注意深く見極めていきたい

*タームプレミアム:同じ期間に短期債を連続して購入する代わりに、期間が長めの債券を保有する場合、価格変動リスクや流動性リスクが高まる分だけ、投資家が求める上乗せ金利

ニューヨーク原油先物価格

これは予想された動き。イスラエルは原油をほとんど生産していないが、紛争が激化すれば中東地域からの供給が途絶えるとの懸念が広がったためだろう。それに伴い自分が所有しているエクソン・モービル(XOM)株も

前日比3.50%上昇。ただエクソン株は先日OPECプラス会合と同じ日に発表された1週間の米石油在庫統計で下落傾向にあった株価がその頃と同程度に戻ったに過ぎない。ここから上昇が見込めるのかどうか。

ドル円為替

ドル円為替はイスラエルとハマスの武力衝突では特に目立った変化はなし。ただ米国株式市場が追加利上げの必要性低下で上昇したのとは逆にドル円為替はドル安に。その後は有事のドル買いの意識からか再びドル高傾向となっている。

その他

2023年10月9日(月)の米国はコロンブス・デー(Columbus Day)のため、米主要株式市場は普通に取引があったが、ニューヨーク外為市場と米債券市場は休場であった点には注意が必要かもしれない。


まとめ

米国株式市場が前日比プラスで終えていたのはかなりの驚き。イスラエル/パレスチナの地政学リスクよりも、FRB当局者の利上げ必要性低下への言及が重要視されたようだ。そして原油先物価格及びドル円為替についてはまずまず想定の範囲内に収まってくれた。

とりあえず昨日に限っては自分にとっては無難に乗り切ってくれたが、昨日はニューヨーク外為市場及び米債券市場が休場だったことも割り引いて考える必要があるかもしれず、イスラエル/パレスチナという新たなリスク要因が現れたことで、今後の市場動向についてはより不透明さが増したことを覚悟しておく必要があるだろう。

早めにこの武力衝突が収束し、今週から本格化する米国企業の四半期決算が堅調な結果となって自分のポートフォリオが順調に推移してくれることを願いたい。

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