はじめに
2023年8月24日(木)の米国市場は、同日発表された米新規失業保険申請件数が市場予想を下回り労働市場が力強く更なる利上げの可能性が意識されたこともあってか
いずれも1%を超える下落。そんな中で自分の所有しているボーイング株が
前日比約5%と市場に比べて大きく下落していた。
確認してみたところ掲題の通り、またボーイングの737MAXに新たな不具合があったとのこと。以下、その内容について確認し整理しておく。
2023年8月23日(水)スピリット・エアロシステムズ・ホールディングスの発表
以下はスピリット・エアロシステムズ・ホールディングスの企業サイトより引用・抜粋。
- Spirit AeroSystemsが製造した737型機の特定モデルの後部圧力隔壁にある細長いファスナー穴(elongated fastener holes on the aft pressure bulkhead)に関連する品質問題を認識している
- 後部圧力隔壁に複数のサプライヤーを使用しているため、一部のユニットのみが影響を受ける
- この問題に対処するために製造プロセスの変更を実施した
- 現在わかっている限りでは、この問題に関連して今年の納入範囲に重大な影響はないと考えている
- ボーイングは、この問題に関連した飛行の安全性に関する当面の懸念はなく、就航中の機群は運航を継続する可能性があると判断した
Spiritの発表後の関係者の反応
以下は各種報道より引用・抜粋。
【FAA(米連邦航空局)】
- 23日、737MAXを巡る今回の問題については安全を脅かすものではないと発表
【ボーイング(BA)】
- 23日、電子メールで「工場での検査中に一部の737の後部圧力隔壁に当社の仕様に適合しないファスナー穴を確認した」と説明
- 検査を実施し影響を受けた機種の数や必要な作業について判断しているため、今回の製造上の不具合により当面737の納入の一部に遅れが生じる見込み
まとめ
ボーイング737MAXの新たな不具合について確認してみたが、安全性に影響を及ぼす様な問題ではないらしい。ただその対応への影響は、Spiritは
- 現在わかっている限りでは、この問題に関連して今年の納入範囲に重大な影響はないと考えている
としているのに対し、ボーイングは
- 検査を実施し影響を受けた機種の数や必要な作業について判断しているため、今回の製造上の不具合により当面737の納入の一部に遅れが生じる見込み
と温度差があり、影響度が正確には分からない事が冒頭の様にボーイング株の大幅下落に繋がったのだろう。ちなみに自分は所有していないSpirit株は
10%を超える急落となり年初来最安値を更新(付け加えると8月初旬の第2四半期決算では31ドル台から22ドル台へと30%近い急落だった)。
またボーイングにエンジンを供給している自分が所有しているゼネラル・エレクトリック(GE)も
市場に比べて下落幅が大きいのは、この問題の影響なのだろうか。
それにしてもSpiritは今年2023年春に
ボーイング(BA)737MAX等の納入が一部中止(2023/4)
でまとめた様に不具合を報告してその影響でボーイングは約5%下落、その後も2023年7月のボーイング第2四半期決算でも触れられたストライキ、そして今回の不具合と短期間に問題が多発している。。この様な状況が今後も続くようであればボーイングだけでなく、Spiritの状況も注意深く見ていく必要があるのかもしれない。
今回の問題の影響度によっては、第2四半期決算で改善したボーイングのキャッシュフローが懸念される。しばらくはボーイング/Spirit関連の情報に気を付けておきたい。それにしてもボーイング737MAXは不具合が今回も含めて多すぎるよなあ。