はじめに
2022年10月20日には自分が所有しているフィリップ・モリス(PM)が2022年第3四半期決算発表を行ったのだが、同日掲題の発表もあった。
現在米国でのIQOS販売権を所有しているアルトリア・グループ(MO)も自分の所有銘柄であるので、この発表とその影響について整理しておくことにする。
2022年10月19日閉場後のアルトリア・グループ発表
以下はアルトリア・グループの企業サイトより引用・抜粋
- アルトリアは2024年4月30日付けで、IQOSシステムに対する米国での独占的な商品権を割り当てと引き換えにフィリップ・モリス・インターナショナルから約27億ドル(税引前)の現金支払いを受け取る契約を本日締結しました
- 契約締結時にPMIから10億ドルの支払いを受け取りました。契約の条件に基づきPMI は2023年7月までに17億ドル(および利息)の追加支払いを行う義務があり、合計で約27 億ドル(税引前)の現金支払いが行われます
- 2022年の第4四半期に、連結貸借対照表に繰延利益として27億ドルの税引前取引額を計上する予定です。この利益はIQOSシステムに対する権利を譲渡した時点で利益として認識されます
【背景】
- 2013年にアルトリアとPMIはタバコ製品に関する一連の契約を締結し、これにはアルトリアの子会社であるPM USAのIQOSに対する米国での独占的な商品化権が含まれていました
- PM USAのIQOS商品化権は2019年4月に米国食品医薬品局(FDA)から認可を受けたときに始まり、2024年4月まで続く最初の5年間が対象でした。2013年の合意の一環として、PM USAは2022年4月までに最初のマイルストーンを達成した時点で、独占的な米国での商業化の権利を維持する権利を有していました。追加のマイルストーンを達成すると、PM USAは2029年4月までの追加の5年間を更新するオプションを持っていました
- PM USAはこれらの各マイルストーンを達成したと考えています。しかしPMIは私たちの立場に同意しませんでした。両当事者は長期的な合意に達することができず、移行のために合意を締結し最終的に関係を終了することを決定しました
【今後の商品販売について】
- 現在IQOSとマールボロ・ヒートスティックは特許紛争に関連し米国で販売出来ません
- PMIは引き続きIQOSシステムとマールボロ・ヒートスティックの製造を担当し、2023年前半に製品供給を再開することを目標としています
- 2024年5月より前に特許紛争に関連しないFDA認可製品の供給が可能になった場合、PM USAはIQOSシステムとマールボロ・ヒートスティックを米国で再導入するオプションを有し、2024年4月30日にIQOSシステムに対する米国での商品化権はPMIに移行します
- PM USAは米国でマールボロの商標を所有しているため、PMIはマールボロのブランド名やその他のブランド資産にアクセスすることはできません
アルトリアの発表は10月19日閉場後。フィリップ・モリスは10月20日に同様の発表をしているが、上記アルトリア・グループの方が詳細に触れている。
発表を受けてのMOとPMの株価
前提として同日2022年10月20日の米国市場は
下げ基調。
アルトリア・グループ
フィリップ・モリス
アルトリア・グループが市場、フィリップ・モリスに比べて下げ幅が大きいのは、現在IQOSが米国内で販売出来ない状況であるものの、やはりアルトリアにとって既存紙巻きタバコ製品市場が縮小傾向にある中での代替品としてのIQOS販売権が無くなるのは痛手ということだろう。
フィリップ・モリスは同日この発表に加えて、決算発表、買収のアップデートと大きいニュースが重なったため、IQOSの件がどの程度株価に影響を及ぼしたのかは今一つ不明。
まとめ
米国内でのIQOS販売権がアルトリアからフィリップ・モリスに移行する件に関して整理してみた。
アルトリアにとっては長期的には先に挙げた様に悪材料と思うのだが、株価の下落は自分が思ったよりも少なく済んでいた。フィリップ・モリスにとっては米国内での販路という点でスウェディッシュ・マッチ買収の件とも関連してくるので評価は難しい。
また両社とも翌22日の株価は米国市場が上昇したこともあるが
といずれも上昇しているので、この米国でのIOQS販売権に関しては継続して下落が続く要因とはならなかったようだ。
両社ともこれらを受けてアナリストの投資格付けアップデートの可能性もあるし、アルトリアは10月27日に2022年第3四半期決算発表があるので、この件に関する影響具合に関する情報には気を付けておくことにしたい。