はじめに
昨日2022年9月8日(木)には、以前にもまとめた掲題のシティ誤送金問題訴訟について連邦第2巡回区控訴裁判所(日本でいう所の高裁)が判決を下している。
以下、判決の内容とそれを受けて自分の所有銘柄であるシティグループ(C)の株価がどうなったかについて確認しておくことにする。
2022年9月のシティ5億ドル誤送金問題の高裁での判決
これまでの経緯
これまでの経緯については2021年2月の連邦地裁で判決が下った際に
シティグループ(C)が誤送金訴訟で連邦地裁敗訴(2021/2)
で詳しくまとめているが、簡単に再整理しておくと
- 2020年8月にシティが融資事務を代行している化粧品会社レブロン(NYSE:REV)と取引している債権者に誤って9億ドルを送金
- シティの要請で返金した債権者もあったが、一部のレブロン債権者は返金を拒否したため約5億ドル訴訟に発展
- 2021年2月に連邦地裁の判決でシティが敗訴したが、シティは不服として控訴
今回の判決
- シティに約5億ドルの返還請求権を認める判決が下され、一審で主張を退けられたシティが逆転勝訴
- 判決は3人の裁判官による合議制
- Michael Park裁判官の見解
- 「私の見解では、これは多くの賢明な人々が非常に複雑になりすぎた単純なケースであり何ヶ月も前に決定すべきだった」
- 「簡単に言えば、とにかく受け取る権利がない限り誤って送金されたままにしておくことはできません」
- Pierre Leval裁判官の見解
- 「(判決を)下すのに長い時間がかかってしまった」
- 「私はその責任を単独で負う」
- 「我々にはPark氏のように、答えが単純明快で簡単なものであることがわかりませんでした」
- 「非常に有能な弁護士によって当事者のために進められた議論は、注意と研究を必要とする複雑で微妙な問題を提起します」
- Pierre Leval裁判官とRobert Sack裁判官は当初州の最高裁判所であるニューヨーク控訴裁判所に判決を求めることを決定したが、控訴裁判所のルートが1年以上の遅延を追加する可能性があると感じたためコースを変更した、と述べている
- レブロン債権者の弁護士は現時点ではコメント要請に回答なし
判決を受けてのシティの株価
2022年9月8日のシティ株は
2.61%上昇しており、この判決が影響したのかと思ったのだが同日の主要米銀株自体が
といずれも上昇しており、この判決がシティの株価に影響したのではなさそう。日中のシティの動きを見ても特に顕著な変化は見られなかった。
そこで念のためレブロン(REV)の日中の動きを見たところ
となっているので恐らく14時半前後の一瞬の急落/回復の頃に誤送金問題に関する判決が下されたのだろう。
まとめ
ということで昨日のシティ株の上昇は掲題の5億ドル誤送金問題での勝訴が原因かと思って調べてみたのだが、影響は無かったことが判った。
これは判決が一審を覆して勝訴したものの高裁のものであり、更に訴訟が進む可能性もあることから反応が無かったのか、判決の如何にかかわらず既にシティの株価に織り込み済みなのかはよく分からない。
何となく釈然としないのだが、もし今回の判決がシティの敗訴だった場合にシティ株が下落したかもしれないので、それを考えると良かったと捉えておくべきなのだろう。そして今後のこの訴訟の行方については気を付けておくことにしたい。最終判決がシティに有利な判決となり、シティ株が上昇してくれるといいのだがなあ。