はじめに
2022年7月27日には自分の所有しているクラフト・ハインツ(KHC)の2022年第2四半期決算発表があった。
7月26日にはゼネラル・エレクトリック(GE、整理済み)、コカ・コーラ(KO)、マクドナルド(MCD)、モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ、米国市場閉場後)、27日にはボーイング(BA)、ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)、28日にはアルトリア・グループ(MO)の決算発表が集中しどれから整理するか迷ったのだが、27日の米国市場が
大きく上昇したにもかかわらず、同日のクラフト・ハインツ株が決算を受けて
6%近い大幅下落となり、その理由が非常に気になったのでクラフト・ハインツの決算内容を確認し整理しておくことにする。
クラフト・ハインツ2022年第2四半期決算概要
以下はクラフト・ハインツの企業サイトより引用・抜粋。
- 2022年第2四半期の売上高(Net Sales)は65億5400万ドル、前年同期は66億1500万ドルで前年同期比0.9%減
- 2022年第2四半期の同社帰属の純利益(Net income/(loss) attributable to common shareholders)は2億6500万ドル、前年同期はマイナス2700万ドル
- 2022年第2四半期の希薄化後一株あたり利益(Diluted earnings/(loss)per share)は0.21ドル、前年同期は0.02ドルの損失
- 2022年第2四半期の一時項目を除く調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は0.70ドル、前年同期は0.78ドルで前年同期比10.9%減
Gross profit(粗利益)、Adjusted EPS(一時項目を除く調整後一株あたり利益)、Adjusted EBITDA(調整後EBITDA)が前年同期比でマイナスとなっている主な理由としては、半分以上は前年の事業売却の影響で、残りは為替の影響や原材料及びサプライチェーンのコスト上昇によるものとしている。
2022年見通し
2022年の見通しについては以下の通り。
- Organic Net Sales Growth(既存事業成長率):一桁台後半の増加(前四半期は一桁台半ばの増加)
- Adjusted EBITDA(調整後EBITDA):58億ドル~60億ドル(前四半期と変わらず)
その他
上に挙げた売上高や一時項目を除く調整後一株あたり利益は後述するように市場予想を上回り、2022年見通しの既存事業成長率も上方修正しているのだが、冒頭に挙げたクラフト株大幅下落の要因が以下のGross Margin %(粗利益率)。
複数回値上げを実施してるにもかかわらず粗利益率が前年比で減少しており、市場予想の32.6%も下回っている。
決算発表資料では第2四半期までに年間の予定価格引き上げの約99%が発表され、既にこれらの大部分が実施されているとし同社がこれ以上の価格設定を行う場合は「外科的」であると述べている。そのため、これ以上インフレによるコスト上昇の価格への転嫁が困難になったと捉えられたことがクラフト株が大幅下落した要因らしい。
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2022年第2四半期の売上高(Net Sales)は65億5400万ドル、市場予想の63億9000万ドルを上回っている
- 2022年第2四半期の一時項目を除く調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は0.70ドル、市場予想の0.68ドルを上回っている
- 2022年第2四半期の粗利益率(Gross Margin %)は30.3%、市場予想の32.6%を下回っている
となっている。
まとめ
こうして決算内容を確認してみると、なるほどクラフト株の大幅下落もやむを得ないのかという感じがする。
確かに第2四半期決算の売上、一時項目を除く調整後一株あたり利益は市場予想を上回ったものの、主にインフレに起因する粗利益率は低下。そしてこの続いているコストインフレを相殺するにはより多くの価格設定とコスト削減が必要になるのだろうが、既に今年度の価格設定はほぼ終了していることを考えると今後粗利益率が更に低下する可能性は高そうだ。
とはいえ年初来のクラフト株の動きを市場(S&P 500)と比べてみると
5月にウォルマート決算等につられた大幅下落や投資格付け引き下げがあり、今回の決算でも大きく下落したものの年初来ではほぼ変わらずでS&P 500の下落に比べると悪くないパフォーマンスとなっている。ただ先に書いた様に今後の事を考えるとあまりクラフト株に期待しない方が良さそうだ。何とかインフレ状況が落ち着いてくれて自分の想定を裏切ってくれると良いのだがなあ。