ボーイング(BA)787型機に関するアップデート(2022/2)

はじめに

昨日2022年2月15日はロシア国防省がウクライナとの国境付近での軍事演習を終えた軍の一部部隊が基地に帰還しつつあると明らかにしたことで緊張がやや和らいだ(ただあくまで軍の一部でまだ先行きは不透明)こともあり、米国市場は

いずれも上昇。そんな中でボーイング(BA)株は

3.66%上昇と市場をやや上回る上昇具合。その理由を調べてみたところ、掲題のボーイング787型機のアップデートが影響しているらしいことが判った。以下そのアップデート内容について整理しておく。


FAAのボーイング787 Dreamlinerに関する発表内容

FAAのサイトでは発表内容を見つけられなかったのだが、各種報道では同じ内容が掲載されていたのでそれを引用しておく。

  • The FAA today informed Boeing that the agency will retain the authority to issue airworthiness certificates for all Boeing 787 Dreamliner aircraft
    FAAは本日(2022年2月15日)、ボーイングに対してすべてのボーイング787 Dreamliner機の耐空証明を発行する権限を当局が保持することを通知しました
  • This will allow the agency to confirm the effectiveness of measures Boeing has undertaken to improve the 787 manufacturing process
    これにより当局はボーイングが787製造プロセスを改善するために実施した措置の有効性を確認することができます
  • The FAA says its inspectors will continue to perform final inspections on newly produced 787s until the agency is confident that:
    FAAは当局が以下の点を確信するまで新しく製造された787の最終検査を(FAAの)検査官が継続すると述べています:

    • Boeing’s quality control and manufacturing processes consistently produce 787s that meet FAA design standards
      FAAの設計基準を満たすボーイングの品質管理および製造プロセスにより787が一貫して製造されること
    • Boeing has a robust plan for the re-work that it must perform on a large volume of new 787s in storage
      ボーイングが格納中の大量の新しい787に対する手直しを実行するための堅固な計画を持つこと
    • Boeing’s delivery processes are stable
      ボーイングの納入プロセスが安定していること

これに対するボーイングのコメントは以下の通り。

  • We respect the FAA’s role as our regulator and we will continue to work transparently through their detailed and rigorous processes
    私たちは規制当局としてのFAAの役割を尊重し、詳細かつ厳格なプロセスを通じて透明性のある取り組みを続けていきます
  • Safety is the top priority for everyone in our industry. To that end, we will continue to engage with the FAA to ensure we meet their expectations and all applicable requirements
    安全は私たちの業界すべての人にとって最優先事項です。そのため私たちはFAAと協力し、彼らの期待とすべての該当する要件を確実に満たすようにします

この発表を受けてボーイング株が上昇した理由の考察

上記の内容を見ると、過去20年間通例として航空業界ではメーカーの指定された従業員が最終的な認証検査を実施してFAAの従業員が検査レポートを確認してきたのに対し、今回の発表はFAAがボーイング787 Dreamliner機の耐空証明を発行する権限を当局が保持する/最終検査を実施するとしている点で株価にとってマイナス要因に思える。ちなみに墜落事故が問題となったボーイング737MAX型機も、現在FAAが生産されるすべての新しい737MAX機の最終検査および認証を保持している。

ただ実際には冒頭の通りボーイング株は上昇している。その理由を考えてみると以下の様な点が(間違っているかもしれないが)考えられる。

  • 上述の通り既に737MAX型機もFAAが最終的な認証権限を保持していることから、787 Dreamlinerについても運航再開に向けてFAAが最終的な認証権限を持つことが予想されていた可能性
  • 今回FAAが最終検査(final inspections)に関する指針を提示しており、それにより787 Dreamlinerの運航再開への道筋がより明確になったと考えられた可能性

まとめ

FAAのボーイング787 Dreamlinerに関する発表のまとめとそれを受けてのボーイング株上昇の理由について考えてみた。

FAAの発表を受けてボーイング株が上昇した理由については今一つ自分でも納得感が無いのだが、実際結果として株価が上昇している以上市場には好意的に取られたということなのだろう。

過去1年のボーイング株と市場の推移を見てみると

基本的には2021年3月から右肩下がりの様に見えるが何とも言えない動き。737MAX型機は運航再開されたものの、787型機の納入がストップしていることが業績が上向かない理由の一つなのだろう。

今回のFAAの発表でfinal inspectionsという言葉が使われていることから787型機の運航再開が最終段階に入ったと推測されるが、そのタイムラインははっきりしておらず、FAAが最終権限を持つことからまだ株価上昇のきっかけにはならない気がするのだがどうだろうか。

最後になるが相変わらず自分がそれなりに所有しているGE株も、GEがボーイングの航空機エンジンへ供給をしておりその利益率が高いことからボーイング株と類似の株価推移をしている。

ボーイングは2020年以来配当停止GEは2021年8月の8対1の株式併合前まで数年は一株当たり@0.01ドルの四半期配当(併合後は0.08ドル)と、現在の配当金生活にほとんど寄与していない。両社ともそれなりの株数を保有しているので何とか業績・株価が上昇して早く配当再開、配当増となってもらいたいのだがいつになる事やら。

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