はじめに
昨日2021年12月2日(木)はOPECプラス会合が開催された。
前回11月のOPECプラス会合ではバイデン大統領の供給拡大の要請にも関わらず従来の協調減産計画を維持することを決定したのだがその際には
「次回のOPECプラスまでは基本的にニューヨーク原油先物価格の上昇は続くのだろうとは思うが、バイデン大統領が何らかの施策を取ったり(例:戦略石油備蓄(SPR:Strategic Petroleum Reserve)の放出、米石油企業への増産要請、など)、COVID-19が急拡大して原油需要が減少する可能性も無いとは言い切れない。」
と書いていた。
珍しく
石油備蓄放出合意、が原油先物価格は下らず(2021/11/24)
と戦略石油備蓄放出とCOVID-19の再拡大が書いた通りになってしまい、それに加えて新変異株の出現
新コロナ変異株と原油需要予測の影響想定(2021/11/26)
もあり、原油需要そして価格が極めて不透明な状況。そんな中で行われた昨日のOPECプラス会合はどのような結果になったのか。以下にまとめておく。
2021年12月2日のOPECプラス合意内容
以下は主にロイター、ブルームバークの報道より引用・抜粋。
【会合前】
- 関係筋の話としてOPECプラスは市場の不確実性を理由に来年1月の増産停止や増産幅の縮小などを検討しているとの報道
【会合結果】
- OPECプラスは1月も協調減産幅を毎月日量40万バレルずつ縮小するという現行の計画を維持することで合意
- ただし市場動向に変化が生じた場合は直ちに供給を調整する余地も残した
- OPECのウェブサイトには以下の項目が記載
- Agree that the meeting shall remain in session pending further developments of the pandemic and continue to monitor the market closely and make immediate adjustments if required
パンデミックの更なる推移を勘案して会議を継続し、市場を注意深く監視し、必要に応じて直ちに調整することで合意
- Agree that the meeting shall remain in session pending further developments of the pandemic and continue to monitor the market closely and make immediate adjustments if required
- 上記英語項目はこれまでのOPECプラス会合合意では無かった項目
- 次回OPECプラス閣僚級会合は2022年1月4日予定
まとめ
会合を受けて昨日のニューヨーク原油先物価格は
計画維持となった事から一時的に1バレル63ドルを割るまで急落。しかしその後は上に挙げた今までに無かった供給調整に関する項目が合意されたこともあってか、結果的にはやや上昇して終わる結果となった。
繰り返しになるがCOVID-19の再拡大、新変異株の出現、石油備蓄放出などの要素が複雑に絡み合う中で従来の計画を維持するという今回のOPECプラス会合は、COVID-19の状況を見て原油供給に迅速に対応する旨も合意されたこともあり、結果を見ると悪くは無かったと言えるだろう。
ここ1ヶ月のニューヨーク原油先物価格の推移は
COVID-19の再拡大の一方で米国での原油供給不足という原油価格にとって相反する要素のため横ばいからやや下落気味だったのが、11月26日に新変異株の出現報道で大幅下落。そこからは方向性に乏しい動き。
原油価格との連動性が高い傾向にある自分が所有するエクソン・モービル(XOM)株は
5.5%下落してはいるもののニューヨーク原油先物価格程の下落までには至らずで助かった。
今後の原油価格だが、昨日のOPECプラス会合で今後の原油価格の方向性が定まることを期待していたのだがそこまでには至らず。市場も方向感に乏しい動きとなっており、原油先物は12月も神経質な動きが続きそうだ。原油先物が上下しても自分の資産ポートフォリオに影響がなければいいのだがなあ。