はじめに
昨日2021年11月4日(木)はOPECプラス会合が開催された。
日本でもガソリン価格の高騰が問題となっているが、米国でもバイデン大統領がOPECプラスに原油の供給拡大を繰り返し要請しており、OPECプラスの決定に注目が集まっていたが結果はどうだったのか。以下に内容を確認しまとめておく。
2021年11月4日のOPECプラス合意内容
以下は主にロイター、ブルームバークの報道より引用・抜粋。
【会合前】
- 前述の通りバイデン大統領がOPECプラスに原油価格上昇を抑制するため供給の拡大を繰り返し要請
- それに対し会合前の時点でサウジアラビア、クウェート、イラク、アルジェリア、アンゴラ、ナイジェリアなどは、原油市場は需給バランスが十分取れているとして漸進的な減産縮小計画を堅持するべきだと主張
【会合結果】
- 11月4日の閣僚級会合で、協調減産幅を毎月日量40万バレルずつ縮小する現行の計画を12月も維持することで合意
- OPECプラスは声明で「安定的かつバランスのとれた石油市場を確保する」ための合意だと説明。一部エネルギー市場での「極端なボラティリティーと不安定さ」を指摘しつつも、それらの問題は「石油市場の境界線外」にあると結論づけている
- OPECプラスが追加増産を見送った理由についてロシアのノワク副首相は「欧州連合(EU)では10月に石油需要が減少した兆候が見られ、世界の石油需要はCOVID-19のデルタ変異株になお圧迫されている」とコメント
- OPECプラスの関係者は、米国が世界経済の回復加速支援を望むなら米国自身に増産する能力が十分あると指摘
- 次回のOPECプラス会合は12月2日予定
【会合後】
- 米国の国家安全保障会議(NSC)報道官が以下の様に発言
- 「世界的な景気回復が需要と供給のミスマッチで阻害されてはならない」
- 「OPECプラスは世界的な景気回復に向け利用できる力を利用する意思がないようにみえる」
- 「今こそ主要産油国はエネルギー価格を安定させ、高物価が現在の世界経済の回復を妨げることがないようにすべきだ」
- 「バイデン大統領は、米国民はガソリンなどのエネルギーを手頃な価格で利用できるべきだと考えており、市場の監視を続け必要に応じてあらゆる措置を講じる準備を整えるよう指示した」
まとめ
結局バイデン大統領の再三の要請にも関わらずOPECプラスは従来の計画で合意という結果になった。事前にOPECプラス加盟国が従来計画の維持を主張していたので正直驚きは無い。
また米国はOPECプラスの枠組みに参加していないが世界一の産油国であるので、先に挙げたOPECプラスの関係者の発言も理解できる。ただOPECプラス後に米国の国家安全保障会議の報道官が発言している事から判るように、石油には戦略的物資の側面もあるのでなかなか簡単にはいかないのだろう。
それはさておき過去5日間のニューヨーク原油先物価格を見てみると
OPECプラス前まではやや下落傾向にあったが、OPECプラスの決定を受けて11月4日に上昇、ただしその後上述の国家安全保障会議の報道官発言により下落という落ち着かない動き。
年初来では
11月に入ってからやや下がっているが、それを除くと9月以降は右肩上がり。
次回のOPECプラスまでは基本的にニューヨーク原油先物価格の上昇は続くのだろうとは思うが、バイデン大統領が何らかの施策を取ったり(例:戦略石油備蓄(SPR:Strategic Petroleum Reserve)の放出、米石油企業への増産要請、など)、COVID-19が急拡大して原油需要が減少する可能性も無いとは言い切れない。
原油価格の上昇が自分の所有している米国株の決算にもコスト高騰という形で跳ね返ってきており懸念材料であるのだが、ほぼ唯一喜ばしいのはエクソン・モービル(XOM)株に約9万ドル投資しているので、ニューヨーク原油先物価格の上昇に伴ってエクソン・モービル株も
上昇していること。
ただし自分のエクソン株は上記の様に2021年に50%以上上昇しているにもかかわらず
まだ取得価額に比べてマイナス16%。何とか取得価額の@76.77ドルぐらいまでエクソン株が上昇してくれるといいと思う一方で、これ以上エクソン株(つまり原油価格)が上昇するとその他の保有米国株が下落するであろうことは想像に難くない。何とか需要と供給のバランスが取れて、自分の全所有銘柄にとっていい形となってくれればいいのだがなあ。