はじめに
一昨日2021年8月18日の米国市場閉場後に自分の所有銘柄の一つであるシスコ・システムズ(CSCO)の決算発表があった。ひと月近く続いた自分の所有米国銘柄の決算発表もこれで一段落したことになる。ちなみにシスコは4~6月ではなく5~7月が今回の決算対象期間。
これまでは概ね無難に決算発表は乗り切ったものの次四半期のインフレ(コスト高)が気になるものが多かった気がするが、シスコはどんな決算となったのか。
以下決算内容を確認し整理しておくことにする。
2021年第4四半期決算概要
以下はシスコ・システムズの企業サイトより引用・抜粋。
- 2021年第4四半期の売上高(Revenues)は131億2600万ドル、前年同期は121億5400万ドルで前年同期比8%の増加
- 2021年第4四半期の純利益(Net Income)は30億900万ドル、前年同期は26億3600万ドルで前年同期比14%の増加
- 2021年第4四半期の一時項目を除く一株あたり利益(EPS diluted)は0.71ドル、前年同期は0.62ドルで前年同期比15%の増加
- 2021年第4四半期のNon-GAAPベースの一時項目を除く一株あたり利益(EPS diluted)は0.84ドル、前年同期は0.80ドルで前年同期比5%の増加
製品カテゴリごとの売上は以下の通り。売上全体に占める割合は製品74%、サービス26%となっている。
Infrastructure Platforms部門:
製品売上全体の77.7%を占めたこの部門の売上は前年同期比13%増の75億4600万ドル。
この部門はSwitchig、NGN Routing、Wi-Fi、Data Centerソリューションからなるが、Data Center以外の事業は前年同期比2桁成長。Data Centerは前四半期と同様にサーバー製品の需要減が響いてマイナス。
Applications部門:
製品売上全体の13.8%を占めたこの部門の売上は前年比1%減の13億4400万ドル。
この部門はCollaboration portfolio of Unified Communications(UC)、 Conferencing and TelePresence (TP)、 IoT and application software businesses(AppDynamicsやJasperなど)からなるが、今四半期はCollaboration portfolio of Unified Communications(UC)がやや低調だったとしている(slight decline in our collaboration portfolio)。
Security部門:
製品売上全体の8.5%を占めたこの部門の売上は前年比1%増の8億2300万ドル。
クラウドセキュリティとゼロトラストソリューションが好調だったとしている。
Other Products部門:
製品売上全体の0.1%を占めたこの部門の売上は前年比42%減の400万ドル。
Services部門:
前年比3%増の34億1000万ドル。ソフトウェアサブスクリプションが、ソフトウェア売上の81%を占めている。
その他第4四半期にシスコはSocio Labs の買収(金額公表されず)をしている。
2022年度第1四半期の見通しについては以下の通り。
- 売上(Revenue):前年同期比7.5~9.5%の成長率
- 非GAAPベースのEPS:0.79~0.81ドル
2022年度通年の見通しについては以下の通り。
- 売上(Revenue):前年比5~7%の成長率
- 非GAAPベースのEPS:3.38~3.45ドル
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2021年第4四半期の売上高(Revenues)は131億2600万ドル、市場予想の130億3000万ドルを上回っている
- 2021年第4四半期のNon-GAAPベースの一時項目を除く一株あたり利益(EPS diluted)は0.84ドル、市場予想の0.82ドルを上回っている
- 2022年第1四半期のNon-GAAPベースの一時項目を除く一株あたり利益(EPS diluted)見通しは0.79~0.81ドル。市場予想は0.81ドル
- 2022年通年のNon-GAAPベースの一時項目を除く一株あたり利益(EPS diluted)見通しは3.38~3.45ドル。市場予想は3.39ドル
となっている。
まとめ
上記の様な決算内容を受けてシスコの株価は
3.84%の上昇。同日のダウ工業平均が0.19%の下落、S&P 500が0.13%、NASDAQが0.11%それぞれ上昇とあまり前日と終値が変わらなかった市場に比べると大幅な上昇だった。
正直この決算内容と見通しからは、なぜ昨日これ程シスコ株が上昇したのは不可解でもある。実際シスコの決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールがあった18日米国市場閉場後の時間外取引では株価が下落していたようだ。
18日閉場後の時間外取引でシスコ株が下落したのは、2022年第1四半期の見通しが市場予想の範囲内であったことと、アナリストとのカンファレンスコールで
- 世界的な半導体不足に起因するサプライチェーンの問題が引き続き部品コストを押し上げ、納入遅延を少なくとも上半期(8~1月)もしくは下半期(2~7月)まで続くと見込んでいる
としたことが影響したのだろう。
ただ繰り返しになるが翌19日が上記の様に3.84%の上昇となった理由は不明。恐らくは決算内容を受けてアナリストがポジティブな見解をしたためではないかと推測されるが、現在自分が調べた範囲では見つからなかった。
年初来のシスコの株価は
と市場(S&P 500)を上回っており、この調子が今後も続くと良いのだが。
シスコは現在自分が所有している銘柄の中では唯一のテクノロジーセクター株(10年前は他にもあったが、現金買収などで無くなってしまった)。配当率もテクノロジー株としては悪くない税引前2.5%程度あるので、もし自分が現在も働いていて定期的な投資をする資金的余裕があったら購入検討をしているかもしれない。