はじめに

昨日2021年3月25日（木）にはボーイング（BA）に関してアナリストの目標株価アップデートと787ドリームライナーの納入再開に関する報道がなされた。

以下にその内容を確認するとともに、その2点がボーイングの株価にどのような影響を与えたか整理しておく。

3月25日BofAのボーイング目標株価アップデート

これは米国市場開場前に発信された情報。

投資格付け：Neutralを維持

目標株価：210ドルから265ドルに上方修正

以下はBank of AmericaのアナリストRonald Epstein氏の見解要旨。

• 商用航空株は年初来でS＆P 500のパフォーマンスを大幅に上回っており、ボーイングも例外ではありません
• 商用航空株に対する市場センチメントの改善を考慮して、ボーイングの目標株価を210ドルから265ドルに引き上げます
• ただし、企業固有のリスクがあるため中立の評価はそのままです

目標株価は引き上げているものの、あくまで商用航空分野のパフォーマンスからの判断であり、ボーイングそのものについてはまだリスクがある（risks remain）としている。

787ドリームライナーの納入再開報道

これは米現地時間11時半位にブルームバークが報道。以下はブルームバークの報道より引用・抜粋。

• Boeing Co. is poised to resume delivering its 787 Dreamliners this week, ending a five-month halt while the planemaker’s mechanics searched for tiny structural flaws in the carbon-fiber aircraft, said people familiar with the matter.
  ボーイングは、炭素繊維複合材で作られた構造上の微細な不具合について社内で検査が行われる間5ヶ月に渡り引き渡しが停止されていた787ドリームライナーの納入を週内にも再開する方向だと、事情を知る複数の関係者が明らかにした
• The initial shipment is expected as soon as Friday, with Boeing likely to hand over two or three of the jets this month, said the people, who asked not to be named as the matter is confidential.
  納入再開は早ければ金曜日（26日）と見込まれ、月内に2、3機が引き渡される公算が大きい、と社外秘だとして匿名を条件に話した関係者は述べている

この報道が最初になされた後、FAA（米連邦航空局）のコメントが以下の様に追加されている。

• The U.S. Federal Aviation Administration said late Thursday that it cleared two of the four planes on which it had conducted special inspections, and had yet to complete checks of the other two.
  米連邦航空局（FAA）は木曜日（25日）遅く、特別検査を実施した4機のうち2機は合格し、残る2機はまだ検査を完了していないと発表した

まとめ

上記の様な報道を受けてボーイングの株価は

3.32%の上昇となった。同日のダウ工業平均が0.62%、S&P 500が0.52%、NASDAQが0.12%といずれも上昇していたのに比べても大幅な上昇。

それよりも興味深いのは日中のボーイング株の動き。

開場からはBofAのアナリストが目標株価を上方修正したものの、その内容はセクターのパフォーマンスを評価するもので、ボーイング自体の評価はどちらかというとネガティブだったこともあり、前日比マイナスで市場よりも低パフォーマンスだった。

それがブルームバークが787型機の納入再開報道をした直後にボーイングの株価は一気に跳ね上がり、結果として市場を大きく上回る上昇で取引を終えている。

所有している米国株の動きをチェックしてみると、（自分の情報収集不足のせいかもしれないが）理由がはっきりしない上昇/下落をしているケースがままあるので、今回の様に理由が明確な上昇/下落は納得感があってスッキリする。

こういう日々の情報収集・確認を続けることで、はっきりしない上昇/下落の割合が減少すればいいのだが、その道のりは遠いだろうなあ。