はじめに
2021年2月20日(米現地時間)のボーイング777-200型機のエンジントラブルを受けてまとめをして以来他の所有銘柄に重きを置いてきたせいもあり、ボーイング(BA)株についてはあまり目が行き届いていなかったのだが、3月12日(金)の終値が
6.82%の大幅上昇。同日ダウ工業平均が0.90%、S&P 500が0.10%それぞれ上昇、NASDAQが0.59%下落といった状況からすると突出した上昇具合。
掲題が原因らしいが、以下にその内容を整理しておく。
2021年3月12日のボーイング社の発表
以下はボーイングの企業サイトより引用・抜粋。
タイトルは、
- Investment Firm 777 Partners Orders 24 Boeing 737 MAX Airplanes Agreement includes purchase rights for 60 additional airplanes
投資会社777パートナーが24機のボーイング737MAX機を注文
で、
- Agreement includes purchase rights for 60 additional airplanes
契約には60機の追加飛行機の購入権が含まれています - 777 Partners will lease the 737-8s to its affiliated operating ultra-low-cost carriers
777パートナーは、737-8型機を提携している超低コスト航空会社にリースします
と続いている。この後777パートナーの説明、両社のコメント、737-8型機の特徴などが説明されているのだがここでは割愛。
この発表は確かにボーイング株上昇の要因だと思うのだが、少し上がり過ぎの様な気もしたので調べてみると、この週にあった以下の報道の流れによって増幅されたのではないかと思う。
2021年3月9日のボーイング社受注/納入情報更新
以下の様に2021年2月末までの受注/納入情報が更新されている。
この情報はWebのタブやダウンロードできるExcelで提供されており、色々なカットで見ることが出来るのだが、各種報道によると以下の点がポイントと捉えられている。
- 年初来の受注件数は86件。うち2月の新規受注は82件
- 2月の旅客機受注件数は競合のエアバスの11件を上回っている
- 2月のキャンセルを差し引いた純受注は31機で、2019年11月以来の14ヶ月振りのプラス
これが好感されて同日3月9日のボーイング株は前日比2.93%上昇。
2021年3月10日のロイター通信報道
以下はロイター通信の報道より引用・抜粋。
- Boeing Co is close to a multibillion-dollar deal to sell dozens of its 737 MAX 7 jets to Southwest Airlines Co, in potentially the company’s largest 737 MAX order since the aircraft’s safety ban was lifted, people familiar with the matter said on Wednesday.
ボーイング社は737型機の安全禁止が解除されて以来、同社の最大の737 MAX機受注となる数十機の737 MAX 7ジェット機をサウスウエスト航空に販売する数十億ドルの取引に近付いている、とその問題に詳しい人々は水曜日に述べた - The order would include dozens of firm orders and potentially significant options, the sources said.
関係筋によると、数十件の確定注文に加え大規模なオプションも含まれる可能性がある - The exact terms of any deal and the timing of a possible announcement were not clear.
取引の正確な条件と発表のタイミングは明確ではない - U.S. carrier Southwest said it does not comment on fleet decisions and has nothing to announce. Boeing declined comment.
サウスウエスト航空は航空機に関する決定についてはコメントしないとし発表もないと述べ、ボーイングはコメントを控えた
この報道がされた同日3月10日のボーイング株は9日に続いて前日比6.39%上昇。
まとめ
年初来のボーイングの株価の動きは以下の様になっている。
2021年に入ってからはいくつかポジティブなニュースもあったものの、今一つの内容だった1月の2020年第4四半期決算や冒頭に述べた2月の777型機のエンジントラブル、そして2月25日には安全対策の不備で米連邦航空局(FAA)に罰金660万ドルを支払うことで合意するなどのネガティブな要素もあって、パッとしない株価の動きだった。
それが先週は先に挙げた様な報道も相まってダウ工業平均も上昇しているが、先週だけで約20%の株価上昇となっている。
問題はこの上昇傾向が一時的なものなのか、それとも今後も続くのか、という点。
個人的には期待込みではあるが、先週程の急激な上昇では無いにしてもまだボーイング株の上昇余地はある様な気がする。2月の受注増に加えて先週の更なる受注関連報道を見ると、まだ欧米のCOVID-19による旅客需要に懸念はあるものの、受注数が今後も増えていく可能性は高いのではないだろうか。財務状況は明らかではないものの悪材料となる事は考えにくいだろう。
このまま業績回復・株価の上昇が続いて配当再開をしてもらいたいものだ。思えばボーイングが配当停止したのは約1年前の3月だったよなあ。