はじめに
先日2020年5月5日に、自分が所有しているウォルト・ディズニー(DIS)の2020年第2四半期決算発表があった。以下にその決算発表内容を整理しておく。
2020年第2四半期決算概要
以下は、ウォルト・ディズニーの企業サイトより引用・抜粋。
- 2020年第2四半期の売上高(Revenues)は180億900万ドル、前年同期は149億2200万ドルで前年同期比21%の増加
- 2020年第2四半期の特定項目を除く一株当たり利益(Diluted EPS excluding certain items affecting comparability)は0.60ドル、前年同期は1.61ドルで前年同期比63%の減少
2020年第2四半期の各事業セグメントごとの売上(Revenues)、営業利益/損失(operating income/loss)は以下の通り。
メディア・ネットワークス部門
売上は72億5700万ドルで前年同期比28%増、営業利益は23億7500万ドルで前年同期比7%増。
テーマパーク部門
売上は55億4300万ドルで前年同期比10%減少、営業利益は6億3900万ドルで前年同期比58%減少。
予想通りCOVID-19の影響が顕著に反映されてしまっている。決算資料の中では、
- We estimate the total impact of COVID-19 on segment operating income in the quarter was approximately $1.0 billion.
当四半期の(テーマパーク部門)セグメント営業利益に対するCOVID-19の影響は合計で約10億ドルと推定しています
映画部門
売上は25億3900万ドルで前年同期比18%増、営業利益は5億600万ドルで前年同期比8%減少。
- The decrease in operating income was due to lower results at our legacy operations, partially offset by the consolidation of the TFCF businesses.
営業利益の減少は、TFCF(Twenty-First Century Fox:21世紀フォックス)事業の統合により一部相殺されましたが、当社のレガシー事業における業績の低下によるものでした
具体的にはCOVID-19の影響で3月中旬にアメリカ国内で劇場が閉鎖され、1月下旬から国際的に劇場が閉鎖されたことを理由として挙げている。
ディレクト・トゥ・コンシューマー・アンド・インターナショナル部門
売上は41億2300万ドルで前年同期比100%超増加、営業損失は8億1200万ドルで前年同期比100%超拡大。
営業損失の理由は前四半期と同じ様に、
- The increase in operating loss was due to costs associated with the launch of Disney+ and the consolidation of Hulu.
営業損失の増加は、Disney+の開始とHuluの統合に関連するコストによるものでした
としている。
以下はディズニー・プラス、ESPN+、Huluの2019年3月末有料視聴者数と月平均利用額。
【有料視聴者数(単位100万)】
【月平均利用額】
ESPN+と月平均利用額が前年比で減少しているのは、2019年11月に開始したディズニー・プラス、ESPN+、Huluのバンドルサブスクリプションサービスに視聴者が移行した影響、HuluのSVOD(Subscription Video on Demand) onlyの利用額減少は、販売価格の値下げによるもの。
ディズニー・プラスの加入者数については決算資料の中では触れていないが、アナリストとのカンファレンスコールの中で最高財務責任者(CFO)のChristine M. McCarthy氏が、
- As of May 4th, we estimate we had approximately 54.5 million Disney+ subscribers reflecting a subscriber mix generally similar to our mix at April 8.
5月4日現在、Disney +の加入者は約5450万人と推定され、加入者の構成は4月8日の構成とほぼ同じです
と述べている。4月8日に5000万人の突破を発表してからも順調に加入者数が伸びている。
まとめ
ウォルト・ディズニーの決算発表は米国市場閉場後に行われたので、この決算内容が株価にどのような影響を及ぼすかは不明。
主要数値を市場予測と比較してみると以下の様になる。
- 2020年第2四半期の売上高(Revenues)は180億900万ドル、市場予測の178億ドルを上回った
- 2020年第2四半期の特定項目を除く一株当たり利益(EPS excluding certain items affecting comparability)は0.60ドル、市場予測の0.89ドルを下回った
また決算発表資料以外にもアナリストとのカンファレンスコール及び別の発表で以下の内容が明らかにされている。
- we and our government partners Shanghai Shendi Group plan to open Shanghai Disneyland on May 11
私たちと政府パートナーである上海シェンディグループは、5月11日に上海ディズニーランドを再開する予定です - we estimate the adverse impact of COVID-19 related disruption on our second quarter operating income was as much as $1.4 billion with the majority of that impact at our Parks, Experiences and Products segment.
COVID-19関連の混乱が第2四半期の営業利益に及ぼす悪影響は、パーク、エクスペリエンス、および製品セグメントでの影響が大部分で14億ドルに上ると推定しています(うち10億ドルは上述の通りテーマパーク部門) - This is obviously a very fluid situation and given the lack of visibility around when some businesses will reopen fully or partially and the conditions under which they reopen, we don’t intend to provide specific guidance around our expectations for the remainder of the year.
これは明らかに非常に流動的な状況であり、一部のビジネスが完全にまたは部分的に再開する時期と、再開する条件に関する可視性の欠如を考えると、今年の残りの期間についての見通しについて具体的なガイダンスを提供するつもりはありません - The Walt Disney Company Board of Directors today announced that it will forgo payment of a semi-annual cash dividend for the first half of fiscal 2020, given the significant operational and financial disruption caused by COVID-19.
ウォルト・ディズニーカンパニーの取締役会は本日、COVID-19によるオペレーションおよび財務上の大きな混乱を踏まえ、2020年度前半の半期現金配当の支払いを行わないと発表しました
こういった状況を踏まえると、本日のウォルト・ディズニーの株価がどうなるかは不明(個人的には下がるのではないかと思うが)。
株価よりも自分にとって気になるのは、半期配当の停止。とはいえ冷静に考えてみると自分のディズニー所有株は150株に過ぎず、元々ディズニーの配当率は高くないため、年間での配当は約2万円程。自分の配当全体から見れば許容範囲ではある。
- The Board’s action is one of several measures the Company has taken in the wake of the pandemic, including reducing capital spending, cutting salaries for senior management, and making the difficult decision to furlough employees. By not issuing a semi-annual dividend, the Company will preserve about $1.6 billion in cash, based on the 88 cents a share previously paid to shareholders in January.
取締役会の行動は、設備投資の削減、上級管理職への給与の削減、従業員の一時休職という困難な決定など、パンデミックに対応して当社が講じた対策の1つです。 半期配当を発行しないことにより、1月に株主に以前に支払われた1株当たり88セントに基づいて、当社は約16億ドルの現金を維持します
そしてこのように個人的には納得感のある説明がされている。それでも配当がないよりはあった方が当然いいので、下半期には配当を復活してくれることを期待したいがどうだろうか。ディズニーの配当は四半期ではなく半期なので、その間に状況が改善へ向かってくれているといいのだが。