はじめに
昨日2020年2月18日は、前日17日の米国市場閉場後にアップル(AAPL)が、新型コロナウイルスの感染拡大が中国での同社製品の生産と需要の両方に影響を与えているため、2020年第2四半期(1~3月)の売上高が会社予想に届かない見通しだと発表したことから、市場が大きく下がるのではないかと思っていたのだが、S&P 500がマイナス0.29%、ダウ工業平均が0.56%のマイナス、そしてNASDAQが0.02%のプラスと自分が想定していたよりは下がらなかった。
そんな中で所有銘柄に関してアップルの発表の影響がないかを見ていたところ、それとは関係なく掲題のデュポン・ドゥ・ヌムール(DD)のCEO、CFOの交代が発表されていた。以下にその内容をまとめておく。
デュポン・ドゥ・ヌムールのアナウンス
以下はデュポン・ドゥ・ヌムールの企業サイトより引用・抜粋。発表は2020年2月18日の米国市場開場前。
- DuPont today announced that its Board of Directors has appointed current Executive Chairman Edward D. Breen to the additional role of Chief Executive Officer. Lori D. Koch, Vice President of Investor Relations and Corporate Financial Planning and Analysis, is named Chief Financial Officer. Both appointments are effective immediately.
デュポンは本日、取締役会が現会長のエドワード D.ブリーンを現職に加え最高経営責任者(CEO)に任命したことを発表しました。投資家向け広報および企業財務計画・分析担当副社長のロリ・D・コッホが最高財務責任者(CFO)に任命されました。双方の任命は即日有効となります。 - The Board of Directors has made these leadership changes to accelerate operational performance improvement and to more directly tap Ed Breen’s significant management experience.
取締役会は、業績の改善を加速し、エド・ブリーンの高度な経営経験をより直接的に活用するため、これらのリーダーシップの変更を行いました。 - “While we made some progress in 2019, we did not meet our own expectations and we now need to move aggressively to secure our foundation for growth,” said Ed Breen.
「(デュポンは)2019年にいくらか進捗を遂げましたが、私たちの期待に応えることはできませんでした。成長の基盤を確保するために積極的に行動する必要があります」とエドブリーンは述べた - “We have solid businesses, but, as we discussed on our recent earnings call, we need to accelerate operational improvement and make sure we are taking appropriate action to deliver on our commitments for the year.”
「当社には堅実なビジネスがありますが、直近のカンファレンスコールで述べたように、業務改善を加速し、年間のコミットメントを達成するために適切な措置を講じていることを確認する必要があります」
エドワード D.ブリーン氏とは?
2015年11月9日からデュポン(当時はダウ・ケミカルとの合併前)の会長兼CEOだった。2017年9月にデュポンとダウ・ケミカルが合併したダウ・デュポンでもCEO職。ダウ・デュポンの三社分割が行なわれた2019年4月~6月にかけては再び会長兼CEOとなり、2019年7月からはCEOをMarc Doyle氏に引き渡して会長職のみであったが、今回の人事で再び会長兼CEOということになる。
デュポン以前の略歴は以下の通り。
1997年:ジェネラルインスツルメント会長兼社長兼CEO
2002年1月:モトローラ社長兼COO
2002年7月:タイコ・インターナショナル会長兼CEO
2015年2月:デュポン取締役
2015年10月:暫定会長兼CEO
まとめ
正直この発表には驚かされた。上にも書いたようにMarc Doyle氏は半年と少しで最高経営責任者から退くことになってしまった。期間の短さからしてもクビなのだろう。それにしても米国企業とはいえ思い切ったことをしたものだ。
先日1月30日の決算発表では確かに2019年通期は低調(とはいえ一応見通しの範囲内)だったし、2020年の見通しが市場予測を大幅に下回っていたりして、パッとしない感じではあったが、ナイロン価格の下落や為替の影響、税率などの自社では如何ともし難い部分もある。これは誰がCEOになっても変わらないと思うのだが、デュポンの発表にもあったように、より一層業績改善の加速化をしなければならない、という決意の結果なのだろう。
これを受けてのデュポンの株価は、
0.64%の上昇。冒頭の様にS&Pやダウがマイナスだったことを考えると、このCEO、CFO交代はそこそこ市場に評価されたということだろうか。
個人的にはこの発表があっても、デュポン株に対するスタンスは先日の2019年第4四半期決算時のまとめと同じ。少なくとも次回3月の購入時には見送るべきだろう。まずは2020年第1四半期の結果を見ないと何とも言えまい。ただ、エドワード D.ブリーンCEOは、デュポンとダウ・ケミカルの統合やその後の三社分割に深く関わっている人であり、更なる動きがあるかもしれないので注意深く見守る必要はあるだろう。