はじめに
2020年1月29日は、自分が所有しており737MAX関連の問題が続いているボーイング(BA)の2019年第4四半期決算発表があった。概要は既に簡単にまとめているのだが、より詳細な情報についても確認し、再度まとめておくことにする。
2019年第4四半期決算発表
以下の内容はボーイングの企業サイトより引用・抜粋。
- 2019年第4四半期の売上高(Revenues)は179億1000万ドルで、前年同期比37%減少
- 2019年第4四半期の純損失(Net (Loss)/Earnings)は11億6700万ドルの損失、前年同期は34億2400万ドルの純利益
- 2019年第4四半期の一株当たり損失((Loss)/Earnings Per Share)は1.79ドルの損失、前年同期の一株当たり利益は5.93ドル
- 2019年第4四半期の調整後一株当たり損失((Loss)/Core Earnings Per Share)は2.33ドルの損失、前年同期の一株当たり利益は5.48ドル
- 2019年第4四半期のフリーキャッシュフローはマイナス26億6700万ドル、前年同期はプラス24億5200万ドル
- 2019年第4四半期の商用機の引き渡しは79件、前年同期は238件で67%のマイナス
2019年通年(上記画像の右側Full Year)では、
- 売上高(Revenues)は766億ドルで、前年同期比24%減少
- 純損失(Net (Loss)/Earnings)は6億3600万ドルの損失、前年は104億600万ドルの利益
- 一株当たり損失((Loss)/Earnings Per Share)は1.12ドルの損失、前年同期の一株当たり利益は17.85ドル
- 調整後一株当たり損失((Loss)/Core Earnings Per Share)は3.47ドルの損失、前年同期の一株当たり利益は16.01ドル
- フリーキャッシュフローはマイナス42億8000万ドル、前年同期はプラス136億ドル
- 商用機の引き渡しは380件、前年同期は806件で53%のマイナス
ボーイング737MAX機のアップデートに関しては、影響の具体的な数字が出ている。
- 737MAXの運航停止に伴う費用は2019年通期で146億ドル(上記資料のFY19 $6.3BとFY19 $8.3Bを合算した数値)
- Estimated ~$4B abnormal production costs to be expensed as incurred, primarily in 2020
主に2020年に約40億ドルの通常とは異なる生産コストが費用計上される
まとめ
ボーイングの通年での赤字転落は1997年以来22年振りとのこと。上記結果を受けて決算発表後のボーイングの株価は、
1.72%の上昇。どうも737MAXの関連費用が一部の予想ほど膨らまなかった安心感から上昇したようだ(JefferiesのアナリストSheila Kahyaoglu氏は追加コストを154億ドルと見積もっていた)。
決算発表後のアナリストとのカンファレンスコールで気になった点はそれなりあったのだが、
- ~, cash flow recovery is now expected to start until 2021.
キャッシュフローのリカバリーは現時点では2021年までに開始されると見込んでいます - In Commercial Aviation, although we’ve seen some moderation in passenger traffic this year, we saw growth of a solid 4.2% through November. The fundamentals remain intact. However, the impact of the coronavirus on near-term traffic growth is clearly a watch item this year.
商用航空では、今年は旅客輸送量にある程度の減少が見られましたが11月まで4.2%の堅調な成長が見られました。基本はそのままです。しかし、今年のコロナウイルスの短期的な旅客輸送量の成長への影響は、明らかに注目すべき項目です。
とグレゴリー・スミス最高財務責任者(CFO)が発言していた点が特に気になった。737MAX機の運航再開が2020年半ば予定ということを考えれば、2021年までキャッシュフローの改善が見込めそうにないことはある程度仕方がないことか。そしてやはりコロナウイルスの影響がボーイングの業績/株価にも影響を及ぼしそうな事も気にかかる。
737MAXの運航再開時期が確定してはいないし、新型コロナウイルスの影響が他の所有銘柄に比べて高そうであり、そしてキャッシュフローの改善も2021年まで見込めそうにない、といった点をを考えると、次回定期購入のタイミングである2020年3月後半にボーイング株を購入検討対象に入れることはないだろう。このまま様子見が妥当だと思う。望むらくは何とか配当減、無配にならないようにして欲しいところである。