クラフトハインツが2018年Form10-K(年次報告書)を提出

はじめに

表題の様にクラフト・ハインツ(KHC)が201967日にようやく20181229日まで)年度について、証券取引委員会(SEC)にForm 10-Kの年次報告書を提出したと発表した。Form 10-Kは、米国市場において株式公開企業や登録証券の発行体、株主数500人以上の企業、総資産100万ドル以上の企業に対して、米国証券取引委員会(SEC)への提出が義務付けられている年次報告書(日本での有価証券報告書にあたる)。

これを受けてか週明けの2019610日の株価は5%以上上昇している。

自分の定期的な米国株購入のタイミングが近づいているので、この背景を整理しクラフト・ハインツ株の購入可能性を検討してみる。


株価上昇の背景

そもそもクラフト・ハインツは2018年の年次報告書の提出が遅れていた。流れを整理してみると、

2019年2月21日:

2018年第4四半期決算発表で、クラフト・ハインツの会計に関する方針、手続き、調達関連の内部統制を巡り米証券取引委員会(SEC)から召喚状を受け取ったことを発表。また「クラフト」、「オスカー・マイヤー」の商標などに関連し、のれん代の減損処理費用154億ドルを計上。翌日の株価は27.46%の急落

2019年3月1日:

のれんや無形資産の減損処理および調達関連の文書請求に関連する新たな召喚状を米証券取引委員会(SEC)から受け取る

これらにより、同社は第1四半期(331日まで)決算を予定通りに発表できないとしていた。そして、

2019年5月6日:

過去の決算を修正すると発表した。一部従業員による調達に関する慣行の過失で生じた誤りを訂正する。修正するのは2016年期、17年期および181 – 9月期の決算。修正箇所は主に調達分野での契約に関する時期や認識に関連している。調査によると、販売済み製品のコストに関連して約2800万ドルの修正が必要となるが、同社の幹部チームに不正行為はなく、修正内容は「定量的に重要ではない」とのこと

2019年6月7日:

証券取引委員会(SEC)にForm 10-Kの年次報告書を提出

となる。株価が6月10日に上昇したのは、財務統制が修正されたことに対して、投資家がポジティブな反応を示したものと思われる(他に目新しい要因が無いので)。


問題は解決されたのか

株価が上昇したので、年次報告書の中に目新しいことがあったのかと思ったのだが、残念な事にそんなことはなかった。以下、主要な項目を抜粋。

  • 昨年の売上高は0.7%増の263億ドル。ほぼ横ばい
  • いくつかの大手ブランドで数十億ドルの評価減を受けた結果、102億ドル(1株当たり8.36ドル)の損失
  • 一時的な評価損を調整した場合でも、調整後EBITDA(利息控除前利益、税金、減価償却費、償却費)は8%減の70億ドル

結局のところ、ここ数年クラフト・ハインツが直面している消費者の嗜好の変化に対して、何らかの方向性が示されている訳ではなく、問題解決んはまだまだ時間がかかるであろうし、不確実性があると思われる。実際少し前に、明確な理由もなくクラフト・ハインツの株価が5%も下がっていたこともある。

また4月22日に、ベルナルド・ヒース最高経営責任者(CEO)に代わり、ビール大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)(ABI)のマーケティング責任者ミゲル・パトリシオ氏がCEOに就任すると発表している(就任は7月1日)のは、課題の深刻さを経営陣と取締役会が理解していることを示しているためだろうが、実際にどのような施策をとるのかはまだ分からない。


まとめ

この状況を受けて6月下旬に予定している米国株の購入対象としてクラフト・ハインツを組み入れるかどうかだが、個人的には6月7日の発表の中で、731日までに延期された第1四半期の10-Q報告を提出すると述べた(The Company currently expects to file its Quarterly Report on Form 10-Q for the fiscal quarter ended March 30, 2019 on or before July 31, 2019)点が重要。

結局直近四半期の業績などが自分の購入タイミングでは明らかにならないことが確定したので、6月下旬のクラフト・ハインツ購入は無くなった。

もしかすると、7月31日までに発表される2019年第1四半期決算の内容が良いかもしれないが、それを期待するのはちょっと危険な気がする。自分が50代より若く、リストラの可能性も無ければ長期投資という点で検討しなくもないだろうが、年齢を考えるとより即効性のある銘柄に投資した方が良いだろう。

また配当の面でも2月に36%削減してはいるが、その後株価が大幅に下落したため2019年6月10日の配当率は5%を超えている。上に述べた様にCEOが来月から変わることもあり、フリーキャッシュフローの点から更なる配当の削減も可能性としてはあるしなあ。

いずれにせよ、2019年7月末までに2019年第1四半期決算が発表される予定とのことなので、不確かな情報で購入するのは避けて、素直に開示された正式情報をもって検討を購入することにしておこう。


おまけ

クラフト・ハインツ株とは直接関係ないのだが、6月5日は「National Ketchup Day」と呼ばれているらしい。それに合わせてエド・シーラン(Ed Sheeran)とハインツがコラボして「EDCHUP」を発売していた。以下はその画像。

2枚目の画像に「All bottles have been purchased」とあるように既に完売。クラフト・ハインツのコーポレート・サイトでは言及していないが、Twitterでは触れているので詳細はそちらで。エド・シーランはハインツケチャップの愛好者で、肩にハインツケチャップのタトゥーも入れている。

個人的にエド・シーランのCDアルバムを全て持っているのでちょっと言及してみた。

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