はじめに
米国の株式情報を見ていたら5月も近いこともあり、表題の通り「Sell in May」について書かれていた記事があったのだが、自分が認識していたのと相違があったので、自戒の意味を込めて整理しておく。
セルインメイ(Sell in May)の意味
恥ずかしながら自分は言葉通り「Sell in May(5月に売れ)」だと思っていたのだが、上記の記事を見ていると「Sell in May and go away (5月に売却して去る)」という言葉が使われていた。上の言葉だと買いのタイミングが分からないのだが、記事を見てみるとQ4という言葉が使われていたので更に調べてみたところ、
Sell in May and go away, and come on back on St. Leger’s Day「5月に売却して去り、セントレジャーの日に戻ってくる」
というのが本来のフレーズだったようだ。
このフレーズは元々イギリスの慣用句で、貴族、商人、銀行家などの投資家が暑い夏の間にロンドンの街を離れて地方に避暑に行く間は、市場に大きな動きが無いことから生まれたようだ。St. Leger’s Day(セントレジャーディ)とは、世界競馬に詳しい人は承知しているかもしれないが、イギリスのクラシック/牝馬クラシック三冠の最終戦(日本の菊花賞のモデル)であるセントレジャーステークスが行われる9月中旬の土曜日のことを指している。
アメリカでは少し期間が変わって、5月にポートフォリオを売却し「秋」になって市場に再参入するという風に使われている。メモリアルデー(5月の最終月曜日)からハロウィン(10月31日)あるいはレイバーデー(9月の第1月曜日)の期間を指していることが多いようだ。
セルインメイの参考データ
以下は、セルインメイに関するデータとして恐らく最も引用されているであろうStock Trader’s Almanacのものを引用して掲載する。
これは1950年から2015年までのダウ平均(Dow Jones Industrial Average)の5~10月、11~4月のパフォーマンスを示したもの。5~10月の平均リターンは0.4%(上昇39回/下落27回)、11~4月の平均リターンは7.4%(上昇52回/下落14回)となっている。
最初に1万ドル投資した場合どうなるかも掲載されているが、それには多分税金や手数料が勘案されていないので、割り引いて考えるべきなのだろう。
まとめ
元々Sell in May(5月に売れ)という言葉が含まれている記事に違和感を感じたので調べてみたら、Sell in Mayは自分が思っていた単に「5月に売れ(何故なら5月に株価が下がりやすいから)」ということではなく、「5月に売却し、秋口に再び市場に参入する」という意味で使われているという事が分かった。
Sell in Mayの妥当性については触れないが、ここで自分が考えさせられたのは、自分がそうだと思っていた格言/セオリーを正しく理解していない可能性があるということ。定義を正しく理解できていないのでは、セオリーの妥当性以前の問題になってしまう。
日本語の慣用句の誤用は自分が恥ずかしいぐらいで済むのだが、株式投資に関する格言の誤用は資産に直接影響してくるので、今後はより一層の注意を払うことにしよう。この他にも間違って認識しているものがあるかもしれないので。
補足
あくまでセルインメイ(Sell in May)という用語を自分が誤って認識していたことの反省と、その意味合いの再確認をまとめたもので、セルインメイ自体が有効であると言っている訳ではない点に注意すること。