ボーイング(BA)2019年第3四半期決算発表(2019/10)

はじめに

昨日2019年1023日はボーイング(BA)の2019年第3四半期決算発表があった。予想していた通り低調な業績だったのだが、何故か以下の様に1%ではあるが株価が上昇していた。

10月18日に、ボーイングが737MAXに搭載された機体の姿勢を自動で制御する「MCAS」と呼ばれるシステムに関して、社内の技術責任者がうまく機能しない可能性があることを運航の認可を受ける前に指摘していながら、アメリカ連邦航空局(FAA)に報告していなかったことが明らかになったために、株価が大きく下落したことは既にまとめたのだが、その後も昨日の四半期決算発表までに、以下の様な動きがあった。

【10月21日】

  • クレディ・スイスがボーイングの投資判断を「アウトパフォーム」から「ニュートラル」に引き下げ、目標株価も23%減の323ドルとした
  • 同様にUBSも目標株価を375ドルへと100ドル程下げ、投資判断を「バイ」から「ニュートラル」に変更した
  • バンク・オブ・アメリカ・メリル・リンチは目標株を400ドルから370ドルに引き下げたが、投資判断は据え置いた
  • これを受けて18日金曜日に続き、ボーイングの株価は大きく下落
  • 欧州航空安全局(EASA)のエグゼクティブディレクター、パトリック・キー氏が、墜落事故を受け運行が停止されている米ボーイングの旅客機「737MAX」について、早ければ来年1月にも運航再開を認める可能性があると述べた

【10月22日】

  • 米連邦航空局(FAA)のスティーブ・ディクソン局長は、墜落事故を受けて運航停止となっているボーイングの旅客機「737MAX」の運行再開を巡る検証に少なくとも数週間が必要との見方を示した
  • ディクソン局長は、FAAが737MAXの最終的な修正ソフトウエアや詳細なシステムの説明を受け取ったことを明らかにした上で、「やるべきことがかなりある」とし、「手続きの全行程を完了するまでにはさらに数週間かかるだろう」とも述べた
  • また認証飛行試験の前に手続きが完了すれば、運行再開はかなり容易としたが、安全性が確認されるまでは737MAXの運行再開を許可しないと改めて指摘している

  • ボーイングは現地時間10月22日午後、民間航空機部門社長兼CEO(最高経営責任者)ケビン・マカリスター氏が同日付で退任したと発表。後任にはサービス部門トップのスタン・ディール氏が就任

そして昨日の決算発表。その内容について以下にまとめる。


2019年第3四半期決算発表

以下の内容はボーイングの企業サイトより引用・抜粋。

  • 売上高(Revenues)は199億8000万ドルで、前年同期比21%減少
  • 純利益(Net Earnings)は11億6700万ドル、前年同期比51%減少
  • 一株当たり利益(Earnings Per Share)は2.05ドル、前年同期の一株当たり利益は4.07ドル
  • 調整後一株当たり利益(Core Earnings Per Share)は1.45ドル、前年同期の一株当たり利益は3.58ドル
  • フリーキャッシュフローはマイナス288900万ドルに減少、前年同期はプラス41億ドル
  • 商用機の引き渡しは62件、前年同期は190件で67%のマイナス


まとめ

予想していた通り各種数値は前年同期比で大幅に悪化している。前四半期と比べても同様。売上高に関しては、市場予想は197億ドルだったので上回っていたが、調整後1株当たり利益の市場予想は2.17ドルだったので、大きく下回っている。

それにもかかわらず昨日のボーイングの株価はわずかながらも上昇。これは結果からすると以下のような理由だろうか。

  • 決算数値が悪いのはある程度織り込み済みだった
  • 前日のFAA、前々日のEASAのコメントからすると、ボーイング737MAX機の運航再開がある程度早い段階で見込まれる
  • 決算資料の中にとあり、ボーイングが737MAXについて、年内にFAAから運航再開の認可を得られると引き続き見込んでいると明らかにしており、それを踏まえて737MAXの月間生産機数が2020年後半までに36%増の57機になるとの見通しを示したこと

ただ、これらはあくまで見通しであってこれが予定通りに進むかどうかは不明。今年3月の墜落事故以降、再開見通しについては何度か語られてはきたが、様々な理由で遅れているからなあ。現時点ではここが底だと判断し、ボーイング株の購入を検討するにはまだ情報が足りない気がする。

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