2026年9月発表の米雇用統計と市場の動き(2026/9)

はじめに

現地日付2026年9月4日(金)には2026年8月の米雇用統計が米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)から発表された。

前回8月発表の米雇用統計は、市場予想では8万人増だった非農業部門雇用者数が2万3000人減と市場予想を大きく下回ったことで9月FOMCでの利上げ観測は発表前の55%から44.4%へと後退したものの、株式市場はそれほど大きな動きとはならなかった(国債利回り、ドル円為替はやや反応)。

その後翌週に発表された米CPIも市場予想と一致して大きな動きは無く、9月FOMCでの利上げ確率は6:4で据え置きが優勢のまま。そして8月19日にはその頃の米長期金利の上昇を受けて米財務省が長期国債買い戻し強化を発表し、9月FOMCでは据え置きが67.3%で有力となっていた。

しかし8月28日にウォーシュFRB議長がジャクソンホールでの講演でインフレ抑制に強い姿勢を示したことで利上げ可能性が高まったと市場が判断し、9月FOMCでの利上げ確率は前日の据え置き優勢から利上げ確率57%と利上げが有力となった。

ただその後はFRB理事会メンバーの金利据え置き支持ともとれる発言などがあり、今回の米雇用統計発表前日のCMEフェドウォッチツールでの2026年9月の金利政策確率は

  • 3.50%~3.75%(金利据え置き):50.6%
  • 3.75%~4.00%(0.25%利上げ):49.4%

とほぼ据え置きと利上げの確率は拮抗していた。

そんな状況の中、今回発表された2026年8月の米雇用統計の内容、及びそれを受けて市場がどう反応したのかについて確認し、整理しておく。


2026年9月4日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2026年8月米雇用統計

  • 2026年8月の季節調整済み失業率は4.1%、市場予想も4.1%
  • 2026年8月の非農業部門雇用者数は前月比16万2000人増、市場予想の5万6000人増を大きく上回っている

また2026年6月の非農業部門雇用者数は2万人増から1万1000人上方修正されて3万1000人増となり、7月も2万3000人減から4万4000人上方修正されて2万1000人増となっている。


同日の市場の動き

米国主要3株式指数

米雇用統計の発表は米国株式市場開始1時間前の米東部夏時間8:30。主要3株式指数ともに概ね似たような動きで前日比やや下落して取引を終えている。

今回発表の米雇用統計で労働市場が予想外に堅調であることが示唆され、FRBがインフレ抑制(利上げ)に動くのではという見方が強まったことが原因だろう。雇用統計を受けてCMEのフェドウォッチツールにおける9月FOMCでの政策金利確率は

  • 3.50%~3.75%(金利据え置き):40.6%
  • 3.75%~4.00%(0.25%利上げ):59.4%

と、冒頭に示した前日の利上げ/据え置きが拮抗する状況から利上げが有力に変わっている。

米国10年債

米雇用統計が発表された米国東部夏時間8:30は上記チャートのCDT(米国中部夏時間)では7:30。

市場予想を上回る米雇用統計を受け前日比0.75%程度まで利回りが上昇。ただその後は徐々に利回りは低下し、結局前日比0.46%の利回り上昇で取引を終えている。株式市場同様に9月FOMCでの利上げ確率が上昇したことが、利回り上昇の要因だろう。

ドル円為替

米雇用統計が発表された米東部夏時間8:30は上記ドル円チャートのGMT+1の13:30。

米雇用統計発表前は1ドル=156.2~5円の狭い範囲を中心とした動きが続いていた。そして発表を受けて1ドル=156.7円近くまでドル高となったが一瞬のことで、逆に1ドル=155.5円台までドル安に。しかしそれも一瞬のことで再び1ドル=156円台に。その後も上下動が繰り返され方向感が定まらなかったが、時間経過と共にドル高基調が優勢となり、結局1ドル=156.2円と米雇用統計発表前とほぼ変わらない水準で週の取引を終えている。


まとめ

以上、2026年9月4日発表の2026年8月米雇用統計と市場の動きについてまとめてみた。

市場予想では5万6000人増だった非農業部門雇用者数が16万2000人増と市場予想を大きく上回り、過去2ヶ月分も上方修正するなど雇用環境が堅調であることが示される結果となった。ただしCMEのフェドウォッチツールでの9月FOMCでの利上げ確率は上昇したものの、市場自体は冷静な反応をしており、総じて大きな変動はなかった。

これは元々8月末のジャクソンホール会合でウォーシュFRB議長が雇用面は安定しているとしてインフレ抑制に注視しているしていたこと、そして来週の米消費者物価指数(CPI)でのインフレ動向の見極め待ちという面が、市場の反応が薄かった要因であったと思われる。

ちなみに米雇用統計発表後に米トランプ大統領はTruth Socialに「金利を引き下げなければ、米国が貿易赤字を抱える国との取引を停止する」、「高金利は米国を極めて不利な立場に置いている。そうしたことは容認しない!米国の金利は世界のどの国よりも低くあるべきだ」などと投稿したが、特に市場への影響は見られていない。

今回の米雇用統計というイベントは無難に乗り切ったが、こうなってくると9月11日の米消費者物価指数(CPI)、それを受けての9月15、16日のFOMC結果がより一層注目される。それらの内容/結果次第によっては市場に大きな変動が起こり得ることは頭に入れておきたい。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする