はじめに
2026年7月30日(木)には自分の所有しているブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)の2026年第2四半期決算発表があった。
前回2026年4月の2026年第1四半期決算では市場予想を上回る売上、EPSに加えて、2026年通期見通しが上限に向かっているとのことから5.21%の上昇。その際には
「今後のブリストル株だが、決算前の不安定な動き、決算を受けて上昇したもののその後3営業日続落し、決算前株価を下回ったことを考えると期待は出来ないだろう。決算後にアナリストの投資格付けや目標株価の引き下げがあった訳では無い様だが、同じく投資格付けや目標株価の引き上げも無かったことが原因かもしれない。早めに下げ止まりとなって、現在の株価水準は維持してもらいたいところだがどうなるだろうか。」
と書いていた。
今回の決算、そしてそれを受けてブリストル株はどうなったのか。以下内容を確認し整理しておく。
ブリストル・マイヤーズ2026年第2四半期決算概要
以下の情報はブリストル・マイヤーズ スクイブの企業サイトより引用・抜粋。
- 2026年第2四半期の総売上高(Total Revenues)は129億7300万ドル、前年同期は122億6900万ドルで前年同期比6%増加(恒常為替ベースでは5%増加)
- 2026年第2四半期のNon-GAAPベースでの1株当たり利益(Earings Per Share Non-GAAP)は2.04ドル、前年同期は1.46ドルで前年同期比40%増加

2026年第2四半期の主力製品の売上は以下の通り。

主力のEliquisは前年同期比22%増(恒常為替ベースでは21%増)の44億8100万ドル、Opdivoは3%減(恒常為替ベースでは4%減)の24億8500万ドル、そして特許保護が失われたRevlimidは前年比49%減の4億2300万ドルとなっている。
Growth Portfolio全体では75億6000万ドルで前年同期比15%増(恒常為替ベースでは14%増)、Legacy Portfolio全体は54億2200万ドルで前年同期比4%減(恒常為替ベースでは5%減)、全体では129億7300万ドルで前年同期比6%増(恒常為替ベースでは5%増)となっている。
2026年通期見通し
2026年の通期見通しは以下の通り。

【Non-GAAPベース】
- 総売上高(Total FY Revenues。レポート/恒常為替ベース):490億ドル~500億ドル(前回の460億ドル~475億ドルから上方修正)
- グロスマージン:69~70%(前回と変わらず)
- 営業経費(Operating Expenses):165億ドル(前回の163億ドルから増加)
- その他収入/経費(Other Income/(Expense)):マイナス7億ドル(前回と変わらず)
- 税率(Tax Rate):18%(前回と変わらず)
- 希薄化後一株当たり利益(Diluted EPS):6.75~7.00ドル(前回の6.05~6.35ドルから上方修正)
前回から通期売上高を上方修正したのは、上半期の好調な業績および現時点での以下の見通しを反映しているとのこと。
- 成長ポートフォリオの継続的な好調
- レガシーポートフォリオの4~6%の減少
- 世界全体でのEliquisの売上高20~25%の増加
また、営業費用の増加は成長志向の取り組みによるものとしている。
その他
その他決算資料及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 第2四半期ハイライト
- 成長ポートフォリオは引き続き力強い業績を上げ、売上高は14%増加
- 成長ポートフォリオ全体で10製品が2桁成長を達成
- 業績の強さに基づいて、2026年度通期の売上高と調整後EPSガイダンスを引き上げ
- 6月のASCO(米国臨床腫瘍学会)では、当社のオンコロジー事業全体にわたるイノベーションの広範さがデータで示された
- CELMoDs(主に多発性骨髄腫(血液がん)などの治療薬)関連の商業化へ向けた進展
- IberdomideのPDUFA(FDA審査完了目標日)は2026年8月17日
- MezigdomideのPDUFAは2027年5月13日
- 新規のがん治療薬であるIza-brenについては、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の一次治療を対象とした4つ目のグローバルピボタル試験を開始
- 新規のがん治療薬(注射剤)であるPumitamigについては、新規のがん免疫療法薬(注射剤)であるImzokitugとの新規併用療法に関する第2相試験を開始する
- 成長ポートフォリオは引き続き力強い業績を上げ、売上高は14%増加
- 2026年下半期以降の新薬パイプライン

- これらのパイプラインの機会はそれぞれ、治療基準を再定義し、十分な治療を受けていない多くの患者に対応し、当社の長期的な成長軌道を加速させる可能性を秘めている
- これらを合わせると、数十億ドル規模のピーク時売上高の可能性を秘めている
- 業務の在り方の根本的見直し
- 過去数年間、AIの活用を拡大し、チームのスピードアップ、業務遂行能力の向上、そして業務効率化を図ることを含めBMSはより機敏で、集中力が高く、効率的な組織へと大きく変革を遂げてきた
- AI機能の規模と成熟度が増すにつれて、コンピューティングに対する需要も高まってきており、これを支援するため、最近(2026年5月)Anthropic社およびNVIDIA社とのパートナーシップ契約を発表した
- これにより、当社の科学者は、疾患生物学をより深く理解し、候補分子をより迅速に設計・試験し、どのプログラムを進めるべきかについて、より早期に、より情報に基づいた意思決定を行うことができる
- またリソース管理において規律を維持し、生産性への注力することで引き続き大きなコスト削減につなげている
- 強力なフリーキャッシュフロー創出能力と健全なバランスシートと相まって、これらの取り組みは当社の財務基盤をさらに強化する
- 強固な財務基盤によって、成長の原動力となる分野への投資、事業開発機会の追求、そして株主への還元を継続するための選択肢と柔軟性が確保されている
- 第2四半期の業績
- 第2四半期の総売上高は前年同期比5%増の約130億ドル
- 成長ポートフォリオの売上高は14%増の76億ドルとなり、現在では総売上高の約60%を占めている
- レガシーポートフォリオでは、ELIQUISが需要主導で21%の成長を達成し、レガシーポートフォリオの残りの部分におけるジェネリック参入による減少をほぼ相殺
- 当四半期の希薄化後1株当たり利益は2.04ドル、粗利益率は71.4%
- 第2四半期の総売上高は前年同期比5%増の約130億ドル
- 財務関連
- 6月30日現在、約115億ドルの現金同等物と有価証券を保有しており、引き続き強固な財務状況にある
- 第2四半期には約34億ドルの営業キャッシュフローを生み出し、さらに12億ドルの負債を返済
- 質疑応答
- ADEPTプログラム(Cobenfyの適応拡大試験)が2027年まで続く見通しである点について(以前は2026年だった)
- タイムラインが2027年の第1四半期にずれ込んだのは、単に試験の被験者の募集、ペースを反映しているだけ。精神病の再発などの事象を被験者として募集しているが、予想よりも募集ペースが遅くなっている
- 治験に含める患者と治験の実施に関して最高品質を確保することが最優先事項であるため、この状況はこれらの治験の成功の可能性を最大化する最良の方法の1つであると捉えている
- また現在、この登録を加速するためのいくつかの措置を実施してもいる
- ADEPTプログラム全体について、基礎となる科学、根拠、 ADEPTプログラムで実施している研究デザインに対する私たちの自信には何ら変化はない
- milvexian(次世代の経口抗凝固薬で臨床中)とEliquisの関係について
- 大きな商業的機会を秘めており、現在の主力製品であるEliquisよりも出血リスクが低く、心房細動とSSPの両方に効果を発揮する薬へのニーズがあることを認識している
- 将来的には患者の治療の可能性を広げるだけでなく、医師がEliquisを使用した場合よりも自信を持ってmilvexian治療を選択できるようになると期待している
- COBENFYと承認された統合失調症の適応症の現状について
- COBENFYは着実に成長を続けており、今後の適応拡大によって大きな成長が見込まれる
- 統合失調症の分野では好調な先行指標が数多く見られ、引き続き自信を深めている
- 実際、今四半期は前四半期比で処方箋総数が約15%増加
- 今年後半の主要な臨床イベントになると思われるamilparant(新規の抗線維化薬(経口薬))について
- ご存じの様に第2相試験の結果は良好で、その結果に基づき第3相試験にも強い自信を持っている
- この薬剤のプロファイルはIPF(特発性肺線維症)とPPF(進行性肺線維症)の両方の患者にとって非常に役立つ可能性があるため、これらの結果が本当に楽しみ
- 現在市場に出回っている薬剤では、消化器系の忍容性が依然として大きな課題となっている
- 実際IPF患者の50~60%は、現在の標準治療を受けても12ヶ月以内に服薬を中止している
- amilparantの様な忍容性が高く、より効果的な新しい治療選択肢は、大きなシェアを獲得する機会を秘めている
- CELMoDsが実際に会社の収益成長にどのように貢献すると考えているか
- 明らかに大きな商業的機会であり、IberdomideとMezigdomideの両方が当社に非常に力強い成長をもたらすと確信している
- 数週間後に迫ったIberdomideのPDUFA期日を非常に楽しみにしており、当社の営業チームは発売準備が整っている
- 我々の目標は、IberdomideとMezigdomideを多発性骨髄腫治療の基盤とし、将来的には二次治療においてPomalystとRevlimidに取って代わること
- また、市場に登場予定の3番目のCELMoDであるgolcadomideの今後のデータ発表にも期待しており、これら3つの医薬品が当社の成長に大きく貢献すると確信している
- milvexianの販売について
- 素晴らしい点は、Eliquisで長年培ってきたインフラを活用できること
- ご存じの通り2028年4月にはEliquisがLOE(Loss of Exclusivity:独占権の喪失)となるが、これはmilvexianの申請および発売スケジュールと非常にうまく合致している
- 念のため申し上げるが、milvexianの発売と商業化を成功させる上で、ファイザー社との関係に制約は一切ない(Eliquisはブリストル・マイヤーズとファイザーが戦略的グローバル提携を結んで販売している)
- ADEPTプログラム(Cobenfyの適応拡大試験)が2027年まで続く見通しである点について(以前は2026年だった)
いつもは臨床中のものについての質疑は最小限にとどめているのだが、今回は重要そうなものが多かったので、ある程度は含めてみた。
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると
- 2026年第2四半期の総売上高(Total Revenues)は129億7300万ドル、市場予想の117億5000万ドルを上回っている
- 2025年第2四半期の調整後1株当たり利益(Non-GAAP Diluted EPS)は2.04ドル、市場予想の1.59ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算内容を受けてブリストル・マイヤーズ スクイブの株価は

前日比2.79%の上昇。同日の米国市場が

マイクロソフト(MSFT)がAIインフラへの巨額投資を巡る懸念を和らげる好調な見通しを示したことがAIへの懸念をやわらげ、市場全体が大きく上昇していたことを考えると、売上、EPSが市場予想を上回り、通期見通しも引き上げたブリストルの株価上昇はやや物足りない気もする。
決算後数日を含めた年初来のブリストル株の推移を市場(S&P 500)と比べると

前回決算以降は冒頭に書いた想定通り、6月中旬過ぎまでは下落傾向となって一時年初来15%近辺まで上昇していた株は年初と同等の株価水準まで落ち込む。しかしそこから上昇傾向に転じ今回決算前には年初来高値を更新、そして迎えた今回決算でも上昇となった。
ただ今回決算後には
と英アストラゼネカとブリストルの合併報道が英フィナンシャル・タイムズによりなされ、取引開始直後にブリストル株は3%を超える上昇となったものの最終的には0.24%の上昇(アストラゼネカは米国預託証券で6.88%下落)となった。そしてその数日後には
アストラゼネカとブリストルの合併協議無しとの報道(2026/8)
とロイター通信が両社の合併協議はそもそも無かったと報じたことで、ブリストル株は3.43%の下落(アストラゼネカは米国預託証券で3.78%上昇)となっていた。
その後は現在まで両社からの正式コメントは無く、後追い報道も無い状況が続いており、ブリストル株はやや上昇傾向にある。
今後のブリストル株だが、今回決算前の株価上昇傾向、そして今回決算内容を受けての上昇を考えると堅調な株価が期待できるかもしれない。と思っていたのだが、その後のアストラゼネカとブリストルの合併報道が不確定要素として浮かび上がってきた。現時点ではロイター通信が合併協議そのものが無かったという後追い報道が最新であり、その後のアップデートも無いことから合併可能性は低いとみられている(ロイター報道の後ブリストル株は3連騰)が、全くなくなったと判断するのも時期尚早な気がする。このまま合併報道が立ち消えになり、決算前からの上昇の流れが継続してくれることを願いたいが、どうなるだろうか。