フィリップ・モリス2023年第3四半期決算(2023/10)

はじめに

2023年10月19日(木)には自分の所有銘柄の一つであるフィリップ・モリス(PM)の2023年第3四半期決算発表があった。

前回の四半期決算の際はあまり株価変動がなく

「今回の決算を受けてフィリップ・モリス株がどう動くのかは想像しづらいのだが、市場には及ばないのは当然としてもこれ以上の下落とならないでくれることを期待したい。」

と書いていたのだが今回の決算結果はどうなったのか。以下フィリップ・モリスの決算内容を確認し整理しておく。


フィリップ・モリス2023年第3四半期決算発表概要

以下の情報は、フィリップ・モリス・インターナショナルのサイトより引用・抜粋。

  • 2023年第3四半期の純収入(Net Revenues)は91億4100万ドルで、為替や買収を除いて前年同期比9.3%増加
  • 2023年第3四半期の調整後営業利益(Adjusted Operating income)は37億3400万ドルで、為替や買収を除いて前年同期比11.3%増加

  • 2023年第3四半期の調整後希薄化1株あたり純利益(Adjusted Diluted EPS)は1.67ドルで為替の影響を除くと前年同期比20.3%増加

  • 2023年第3四半期のタバコ製品(Cigarettes)と加熱式タバコ製品(Heated Tobacco Units)の出荷量は、タバコ製品が前年同期比0.5%の減少、加熱式タバコ製品が前年同期比18.0%の増加。トータルでの出荷量は2.2%の増加

2023年通期見通し

2023年通期の見通しは以下の通り。

  • HTU Shipment Volumes(加熱式タバコ出荷量):1250~1275億ユニット(前回の1250~1300億ユニットから上限を下方修正)
  • Net Revenue Growth(既存事業成長率):~8.0%(前回の7.5~8.5%から上限をを下方修正)
  • Adj. Diluted EPS Growth(調整後希薄化1株あたり利益成長率):10~10.5%(前回の8~9.5%から上方修正)
  • Adj. Diluted EPS(調整後希薄化1株あたり利益):6.05~6.08ドル(前回の6.13~6.22ドルから下方修正)
  • Adj. Diluted EPS, ex-currency(為替の影響を除く調整後希薄化1株あたり利益):6.58~6.61ドル(前回の6.46~6.55ドルから上方修正)

その他

その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 加熱式タバコの通年出荷量を下方修正した要因は、ロシアとウクライナでの成長が限定的であること及び加熱式タバコのフレーバーに関する規制*が開始される中、欧州での「在庫水準に関する不確実性」を挙げている
  • EUの禁止措置による変動は一時的なものだと考えている
  • 2023年中の自社株買いは実施しない
  • 為替の悪影響は大きい
  • 2023年第3四半期純収入の36%以上が無煙製品
  • 四半期純収入が90億ドルを超えたのは今四半期が初めてで、成長の原動力としてIQOS、Zynニコチンパウチなどを挙げている

* 欧州連合(EU)は10月末、2040年までにEU全域でタバコの使用を最小限に抑える計画の一環として加熱式フレーバータバコの禁止を実施する予定


市場予想との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2023年第3四半期の純収入(Net Revenues)は91億4100万ドルで、市場予想の91億7000万ドルを下回っている
  • 2023年第3四半期の調整後希薄化1株あたり純利益(Adjusted Diluted EPS)は1.67ドルで、市場予想の1.62ドルを上回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算結果を受けてフィリップ・モリス株は

前日比2.66%の下落。同日の米国市場が

パウエルFRB議長がニューヨークのエコノミック・クラブで昼過ぎから行った講演で、米経済の力強さと労働市場の引き締まりを踏まえると、FRBの一段の利上げが正当化される可能性があると指摘したことを受けて下げ幅を広げて取引を終えたことを考慮に入れてもフィリップ・モリス株の下落幅は大きい。

株価が市場に比べて大きく下落したのは、まちまちな決算結果や通気見通しが嫌忌されたのかもしれない。特に紙巻きタバコからの移行を進めている加熱式タバコの出荷量見通しをEUの規制を踏まえて下方修正しているのは、今後の懸念材料とも考えられる。カンファレンスコールでは「EUの禁止措置による変動は一時的なものだと考えている」としているが、禁止措置が実施されるまで実際の影響は不透明だろう。

年初来のフィリップ・モリス株の推移を見てみると

市場(S&P500)が最近下落傾向にありながらも年初来10%を超えているのに対して、フィリップ・モリスは10%を超える下落幅。前回四半期決算時よりも下落幅が拡大しており、冒頭に挙げた希望は叶わなかったことになる。

今後のフィリップ・モリス株だが、決算発表を受けての市場の反応を見る限りは厳しい状況が続くのだろう。あまり期待せずにしばらくは我慢をするしかないか。

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