はじめに
現地時間2024年12月10日の米国株式市場閉場後には自分の所有しているGEベルノバ(GEV)のInvestor Updateが開催された。
GEベルノバInvestor Update翌日の米国市場は
いずれもやや下落しているが、GEベルノバは
2.34%の下落と市場よりも下落幅が大きくなっている。以下Investor Updateの内容を整理して、GEベルノバ株の下落要因について確認しておく。
2024年12月10日のGEベルノバのInvestor Update
以下はGEベルノバの企業サイトより引用・抜粋。
【財務見通し(Financial Outlook)】
- 2024年の売上、フリーキャッシュフローの見通しは維持
- 2024年の調整後EBITDAマージンの見通し範囲を狭める
- 2024年3月の投資家向け説明会で発表した複数年の財務見通しを引き上げ
【複数年のセグメント財務見通し(Multi-Year Segment Financial Outlook)】
- 2024年の見通しは維持
- 複数年のガイダンスを追加
【資本配分(Capital Allocation)】
- GEベルノバの資本配分に関する戦略原則には、収益性の高い成長を促進するための段階的な有機的投資、現金創出額の少なくとも3分の1を株主に還元すること、厳選された次世代技術への投資とともに、ターゲットを絞ったボルトオン型のM&A*が含まれる
- GEベルノバの取締役会は、2024年12月20日の株主名簿に名を連ねる株主に2025年1月28日に支払われる1株あたり0.25ドルの四半期配当を宣言し、60億ドルの初期株式買い戻しを承認した
*ボルトオン型M&A(Bolt-on mergers and acquisitions):
大企業が戦略的な目的で比較的小規模な企業を買収するM&Aの形態。買収企業の既存の事業に、新しい製品ラインや顧客、地理的な市場、知的財産を追加することを目的とする。フルスケールの合併と異なり業務への影響や複雑さが小さいため、コア業務に集中しながら戦略的に事業を拡大できる
【その他】
- 成長とイノベーションを促進するため2028年までに設備投資に約40億ドル、研究開発に約50億ドルを投資する計画
- 2025年から2028年にかけて少なくとも140億ドルの累積フリーキャッシュフローを生み出す
- タービンの事故による2つの主要プロジェクトの遅れに対処するため、2025年には風力発電部門の損失がさらに拡大する
- ヴィンヤード風力発電プロジェクトで事故を起こしたタービンブレードの設置を再開した
- 悪い案件を追いかけるつもりはなく、今後3年間、陸上風力発電の成長はほとんど期待できない
まとめ
2024年4月にゼネラル・エレクトリック(GE)からGEエアロスペース(GE)とGEベルノバ(GEV)に分割されてから、GEベルノバは初めてとなる配当を発表し、全体としては複数年見通しも分割前の2024年3月から上方修正したのだが、2025年の風力発電事業における既存事業売上の減少や2028年まで陸上風力発電の成長が期待できないとしたことが株価下落の要因となったようだ。
分割来のGEベルノバ株の推移を市場(S&P 500)と比べてみると
分割直後は伸び悩んだものの8月までは20~25%の上昇で推移し、その後急激に上昇して10月31日には300ドル台を突破。11月に一段高となってからは横ばいが続いているものの、分割以来で130%の上昇となっている。
今後のGEベルノバ株だが、11月に入ってからしばらく続く横ばいの状態が続くのか、今回のアップデートを受けて下げに転じるのか、それとも停滞前の上昇傾向に戻るのかが気になるところ。風力発電事業が来年売上減という悪材料はあったが、全体では見通しを上方修正していることから大幅な株価下落圧力にはならないたいと思いたい。何とか市場と同程度の株価パフォーマンスは維持してくれると良いのだが。