規制当局が大手米銀の破綻処理計画の不備を指摘(2024/6)

はじめに

2024年6月26日(水)の米国株式市場取引終了後の16:30には米銀ストレステストの結果公表がFRB(米連邦準備制度理事会)より行われる予定であり結果が気になるところなのだが、それに先立って掲題の様に米銀に関してやや気になる発表があったので、その内容を確認しておくことにする。


2024年6月21日(金)連邦預金保険公社(FDIC)と連邦準備制度理事会(FRB)の発表

以下は連邦準備制度理事会(FRB)のサイトより引用・抜粋。

  • 連邦預金保険公社(FDIC:Federal Deposit Insurance Corporation)と連邦準備制度理事会(FRB:Federal Reserve Board)は本日、8つの最大かつ最も複雑な銀行の2023年7月に提出された破綻処理計画を共同で検討した結果、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースの計画に弱点(weakness)があることが判明した。その他4行に不備は無かった
  • リビング・ウィルとして知られる破綻処理計画(Resolution plans)には、銀行が重大な財政難や破綻に陥った場合に秩序ある破産処理をするための戦略を記載する必要がある。当局は共同で、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースの2023年計画で特定された弱点はそれぞれ「欠点(shortcoming)」であると判断した。欠点とは、計画の実現可能性に疑問を抱かせる弱点のことである
  • 当局は共同でシティグループが提出した2023年計画の弱点を特定したが、その重大性については異なる結論に達した。FDICは、シティグループの計画は信頼性がなく、米国破産法の下で秩序ある解決を促進するものではないと判断し、その弱点を「欠陥(deficiency)」とみなした。欠陥とは、計画の実現可能性を損なう可能性のある弱点である。一方FRBは、その弱点は単なる欠点であると結論付けた。当局の解決計画規則では、一方の当局が解決計画に欠点(shortcoming)を見つけもう一方の当局が欠陥(deficiency)を見つけた場合、その計画には欠点(shortcoming)があるとみなされる。結果としてシティグループの2023年計画には欠点(shortcoming)があるとみなされる。当局は以前にも、データ品質とデータ管理に関連するシティグループの2021年計画の欠点を特定しており、その欠点は未解決のままである
  • 当局は8行の銀行それぞれにフィードバック レターを提供し、欠点は2025年7月1日までに提出する必要がある次の破綻処理計画で対処される予定である

バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースはコメントを控えたが、シティは

  • 指摘された問題への対応に全力を挙げて取り組んでいく
  • 改革を大幅に進めたが、データの質や規制プロセスなど、特定の部門で取り組みを加速させる必要があると認識している
  • 当行のバランスシートと財務の健全性は依然として強固であり、資本、流動性、準備金は高水準にある。われわれは税金を使用することなく、また金融システムに悪影響を与えることなく、解決できると確信している

と表明している。


まとめ

この発表を確認した際、6月21日(金)に大手米金株が市場に比べて軒並み大きく下落

したのはそれが原因だと思ったのだが、発表は現地時間12時のことであり、欠点があるとされた4行の株価の推移を見てみると

開場直後に軒並み大きく下落して始まり、少し持ち直したものの昼前には再び下落傾向。しかしこの発表後にまたやや持ち直し、前日比下落したものの午前中の底値から下げ幅を縮小して取引を終えるという不可解な動きとなっている。特に米国債の金利にも昼過ぎから顕著な変動は見られなかった。

結果だけ見れば当日の株価に大きな悪影響が無かったことは幸いだったが、自分が所有している米銀株シティグループ、JPモルガン・チェースはいずれも欠点を指摘されており、シティに至ってはFDICから欠陥との判断を受けている。冒頭に挙げた6月26日発表の米銀ストレステスト結果がますます懸念されるが、何とか無難に乗り切ってもらいたい。

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