はじめに
2023年2月14日(水)に2023年1月の米消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)が米労働統計局から発表された。
前回まで米消費者物価指数は3ヶ月連続で前年比伸び率が大きく鈍化していたのだが、今回もその傾向が続いたのか、それとも何か変化があったのか。
以下発表された米消費者物価指数の内容を確認し、それを受けて市場がどう変動したかについて整理しておく。
2023年2月14日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2023年1月消費者物価指数(CPI)
以下の情報は米労働省労働統計局の発表資料より引用・抜粋。
- 2023年1月の前月比消費者物価指数(季節要因調整済)は0.5%上昇、市場予想も0.5%の上昇
- 2023年1月の前年比消費者物価指数(季節要因調整済)は全品目では6.4%上昇、市場予想は6.2%の上昇で2021年10月以降最小の伸び率となってはいるが3ヶ月続いた大きな鈍化ペースが落ちている。変動の大きい食品及びエネルギーを除くと前年比5.6%上昇、市場予想は5.5%の上昇
- 家庭用食品(Food at home)は前年比11.3%上昇。2022年12月は前年比11.8%上昇
- 電気代(Electricity)は前年比11.9%上昇。2022年12月は前年比14.3%上昇
- 住居費(Shelter、主に家賃。サービス分野で最大の構成要素でCPI全体の約3分の1を占める)は前年比7.9%上昇。2022年12月は7.5%上昇
CPIに占める割合の大きい住居費の伸びが前回に続いて増加。CPI発表のほぼ最初に「月間全体の伸びに大きく貢献したのは住居費の指数で月間全体の伸びの半分近くを占めており~」と記述されており、やはり影響が大きいのが判る。
変動の大きい食品及びエネルギーを除いたいわゆるコアCPIは前月比0.4%の上昇で市場予想と同じ。前年同月比では5.6%上昇で2021年12月以来の低い伸びではあるが、市場予想は5.5%の上昇。
同日の市場の動き
米国市場
開場前にあったCPI発表を受けて市場はまちまちの動き。消費者物価指数の伸びは更に鈍化したものの市場予想からは大きく外れていなかったので、市場も判断に悩み方向感が定まらなかったのだろう。
米国10年債
米国10年債は
前日に比べてやや上昇。CPI結果を受け複数のFRB当局者がインフレに打ち勝つために段階的な利上げを続ける必要があるとの考えを示したことが影響した模様。
ドル円為替
ドル円為替は
CPI発表直後(上記チャートはGMTなので13:30の辺り)はその内容の判断が難しく激しく上下動。その後FRB関係者の発言などもあり日米金利差が縮まらないとの思惑からややドル高の流れとなっている。
まとめ
引き続きCPIに鈍化傾向が見受けられたもののその鈍化は前月までから大幅に減速、一方で市場予想とはそれほど大きな乖離はなかったこともあって概ね市場の予想範囲内で大きなサプライズはなく無難にCPIイベントを通過したと言えるだろう。
自分の資産も米国株ドル資産は
前日比でやや下落したものの、円ベース資産はドル高の恩恵を受けて上昇する結果
となっている。
気になるのはこの結果を受けてのFRB/FOMCの判断だが次回は3月21、22日の予定であり、その前の3月14日に2023年2月の米消費者物価指数が発表されるので、今回のCPIそのものよりも次回との流れ/関係性が重要視されることになるだろう。
最近はCPI及びFOMCは市場の想定内に収まることが大きい気がする(FOMC後のパウエル議長会見を受けて大きく動くことはあった)ので、次回も予想の範囲内に収まって急激な変動がなく穏当な動きとなってくれるといいのだが。