はじめに
2026年7月14日(火)には自分の所有しているシティグループ(C)の2026年第2四半期決算発表があった。
前回2026年4月の2026年第1四半期決算では、売上、EPS、NIIなどが市場予想を上回り、NIIの通期見通しも維持したことで2.61%(市場全体の上昇も影響したかもしれない)。その際には
「今後のシティ株だが、今回の好調な四半期決算内容からすると今後も順調な株価推移が期待出来そうな気がする。気掛かりな点としては決算から2営業日後の昨日、市場が上昇しているにもかかわらず1.78%の下落となっている点だが、特に大きな悪材料が自分には見当たらなかったので、単なる利益確定売りであることを願いたい。」
と書いていた。
その後は上述した期待/想定通りとはならず、市場が上昇する中で下落傾向がしばらく続いていたのだが、5月半ばから上昇傾向に転じて6月の米銀ストレステストも無難に乗り切って増配、自社株買いを発表。しかし何故かそのタイミングでやや下落傾向となり、気掛かりな状況となっていた。
そんな状況の中で今回のシティ2026年第2四半期決算はどうだったのか。その内容、そして決算後の株価について以下に確認して整理しておく。
シティグループ2026年第2四半期の決算概要
以下の内容はシティグループ企業サイトの発表資料より抜粋・引用。
- 収入(Total Revenues)は247億6600万ドルで前四半期比1%増、前年同期比14%増
- 純利益(Net Income)は58億3100万ドルで、前四半期比1%増、前年同期比44%増
- 希薄化後1株あたり利益(Diluted EPS)は3.15ドルで、前四半期比3%増、前年同期比58%増

純金利収入(Net Interest Income:NII)は171億2500万ドルで前四半期比9%増、前年同期比13%増。
今四半期の貸し倒れ引当準備金(ACL(Allowance for Credit Losses)Build and Other)は1億1800万ドルで、前四半期は5億9700万ドル、前年同期比21%減。貸倒引当金(Provision for Credit Losses)は25億2200万ドルで、前四半期比10%減、前年同期比5%減。
2026年通期見通し
2026年通期見通しは以下の通り。

- Net interest income excluding Markets(Markets以外の純金利収入):5~6%増(前回と変わらず)
- Efficiency Ratio(効率性比率):60%(前回と変わらず)
- 米カードNCL(Net Charge Loss:純貸倒損失):4.0~4.5%(前回と変わらず)
- Return Target(ほぼRoTCE(Return on Tangible Common Equity:有形自己資本利益率)と同義):10~11%(前回と変わらず)
また2026年第2四半期に40億ドルの自社株買いを実施。2026年の自社株買いは2025年より増加する見通し。
その他
その他決算発表資料及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 第2四半期は上半期の好調を締めくくるものとなった
- 第2四半期の純利益は58億ドル、EPSは3.15ドル、RoTCEは13%
- これはシティグループにとって10年ぶりの四半期収益で、9%を超えるプラスの営業レバレッジで達成
- 会社全体で、そして5つの事業のうち4つで前四半期比2桁の収益成長を達成
- 会社のRoTCEは430ベーシスポイント改善
- 事業売却
- 今四半期には、ポーランドの消費者向け事業の売却を完了
- また、Banamexの株式22.6%の追加売却も完了し、今夏にはさらに1.4%の売却を完了し、合計で49%になる予定
- 国際的な消費者向け事業の売却によるシティグループの簡素化、PPNRの増加、ストレステスト損失の減少が、先月のFRBのストレステストにおける当社の好成績に直接貢献し、配当を12%増額する予定で、第2四半期中に40億ドルの自社株買いを行い、300億ドルの自社株買いコミットメントを開始した
- 当社のCET1比率は12.8%で、現在の規制上の最低基準を約120ベーシスポイント上回っている
- 内部監査の検証を通過する多くの作業により変革は引き続き進展し、変革作業の大部分が終盤を迎えるにつれ、経費削減だけでなく、大規模実装で得た知見を活かし、AIをビジネスや機能に可能な限り統合している
- マクロ経済面
- 中東紛争が世界経済の成長をやや押し下げ、インフレを再び加速させている
- 米国では、成長率はほぼ1年前と同水準で労働市場は安定しているが、この成長がすべての分野に恩恵をもたらしているわけではないため、複雑な状況
- AIとその支援となる半導体、データセンター、関連インフラへの莫大な投資は、米国とアジアの一部地域で追い風となっているが、より脆弱なヨーロッパは、また別の競争上の逆風に直面している
- 明確にしておきたいのは、状況が引き続き良好であればそれを最大限に活用するつもりだということ。中期的に株主の皆様に価値を創造するため、追加投資やその他の施策に積極的に取り組んでいく
- 第2四半期の部門別業績
- Services:純利益25億8400万ドル(前四半期比16%増、前年同期比51%増)
- Markets:純利益23億8700万ドル(前四半期比8%減、前年同期比32%増)
- Banking:純利益3億5000万ドル(前四半期比15%増、前年同期比276%増)
- Wealth:純利益5億8300万ドル(前四半期比35%増、前年同期比51%増)
- U.S. Personal Banking(USPB):純利益8億5200万ドル(前四半期比16%増、前年同期比12%増)
- 財務関連
- CET1比率は12.8%で四半期を終え、規制資本要件である11.6%を約120ベーシスポイント上回った
- 当社は引き続き、既存の規則と要件の下でCET1比率を12.6%前後に維持することを目指していく
- 年初来のRoTCEは13.1%となったが、当社は引き続き通年のRoTCEを10%~11%と目標としていく
- 質疑応答
- 今年のRoTCE目標を引き上げない理由について
- おっしゃる通り、今年はこれまでのところ良好な環境で事業を展開してきた
- より良好な環境は単に報告すべきプラス要因ではなく、当社が活用していく機会であり、当社はそれを最大限に活用するつもりで、積極的に投資を進め、中期的に株主価値を創造するその他の施策を実行していく
- RoTCEの10%~11%という数字には非常に満足している
- RoTCEの上半期が13%、通期が10~11%ということは、下半期は大幅に低くなるということでは
- 一つ目は、私たちが確実に乗り越え、学びを得られるようにしたい不確実性の領域があるということ
- 二つ目は、季節性
- 三つ目は、ジェーンが先ほど話したように、市場が建設的な状況であれば、そうした機会を活かす柔軟性を確保すること
- RoTCEを引き上げない理由が、予想を上回る超過収益を将来の資金調達効率と成長を向上させる構造改革の加速に充てるということに思われるが、問題は上半期のRoTCEが13%ということは、下半期のRoTCEは9%になるということでは
- 我々は下半期が悪化すると予想しているわけではない。季節性があるということ
- 短期および中期的な収益への道筋を確固たるものにするために、チャンスが見えるところで機会を活かすこが我々の究極の目標
- 当局の是正措置に関して、前四半期には90%以上完了したとしていたが、現在の状況について
- 同意命令に関する作業の大部分が、この四半期中に監査検証を無事通過し、規制当局に引き渡すことができる
- ご存知のとおり、特に規制報告に関するデータガバナンスの強化に関連する作業はまだ残っているが、着実に進捗している
- 同意命令の解除時期については、引き渡し時に我々が行った作業をレビューし、その後、規制当局が完了手続きを進めるという点において、完全に規制当局の裁量に委ねられており、これには時間がかかる
- 人員削減に関連した退職金費用の詳細について
- 第1四半期は約5億ドル、第2四半期は3億ドルで、年初来で8億ドル
- 下半期には、生産性向上の機会を加速させるため、退職金をさらに増額する可能性があるが、現時点では具体的な金額はお伝えできない
- 下半期の投資額の増加についてより具体的に
- 投資家向け説明会で、我々が実施している具体的な投資についてかなり詳細に説明しており、それらの投資の一部を前倒しできる機会がないか検討していく予定
- 強調しておきたいのは、既存事業以外への投資は検討していないということ
- また生産性向上を加速させるにつれて、退職金やその他の費用が発生する場合は、それも実施する
- 結局のところ下半期の投資加速が守備のためなのか、それとも攻撃のためなのか
- 冒頭で明確に述べた通り100%攻勢のため
- 株主にとってプラスとなり、中期目標達成への道筋を支える攻めの行動を取る機会がある以上現状に安住するつもりはなく、これは我々にとって容易な決断
- ご覧の通り、当社は順調に成長しており、今後も前進し続けるつもり
- 勢いはついていますが、短期的な数字にこだわるのではなく、投資を前倒しする機会を最大限に活用していく。我々は長期的な視点で事業に取り組んでいる
- 今年のRoTCE目標を引き上げない理由について
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2026年第2四半期の収入(Total Revenues)は247億6600万ドル、市場予想の237億ドルを上回っている
- 2026年第2四半期の調整後1株あたり利益は3.15ドル、市場予想の2.73ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算結果を受けてシティグループの株価は

前日比5.29%の大幅下落。同日の米国市場が

消費者物価指数(CPI)発表があって利上げ時期やや後退からハイテク銘柄を中心に少し上昇したのと比べるとシティの株価下落は急落といっても良い。日中の動きを詳しく見てみると

開場直後は2%を超える上昇で推移していたのものの、現地時間11時過ぎから急落していることが判る。これは11時前後からカンファレンスコールが始まり、その中で最高経営責任者(CEO)Jane Fraser氏が下半期の投資加速を明言し、RoTCEの目標据え置きにつながったことが、市場の失望/困惑を拡大したことが原因だろう。カンファレンスコール中でもRoTCE関連、下半期の見通し/費用についての質問が相次いだが、経営陣の受け答えはアナリスト(そして市場)の疑問を解消するにはに至らなかったようだ。
決算後3営業日を含む年初来のシティグループ株の推移を市場(S&P 500)と比べると

冒頭に書いた米銀ストレステスト以降、今回の決算発表前までは上下動も激しいものの下落傾向。そして今回決算を受けて5%を超える大幅下落となり、決算翌日は続落とはならなかったものの、その後2営業日は続落して下げ幅を拡大し、市場全体が軟調だったこともあって決算からの4営業日で10%程の下落となっている。
今後のシティ株だが、まずは決算以降の下落基調がどこまで続くのかが懸念材料。決算を受けてのアナリストの投資格付けアップデートでは格付け自体を引き下げるものは無かったので、早期に下げ止まることを願いたい。そして決算及びそれ以降での下落の大きな原因となっている経営陣がRoTCEを据え置きしても実施するとした下半期の投資加速施策が、市場の懸念に反して早期に功を奏するものであることを期待したいが、どうなるのだろうか。