トランプ氏がグリーンランド巡り一部EUへ関税表明(2026/1)

はじめに

現地時間2026年1月17日(土)、トランプ大統領が自身のSNSにグリーンランドを巡ってEU8ヶ国に関税を課すと投稿を行った。

以下、その内容を確認すると共に投稿前後のグリーンランドを巡る動きについて整理しておくことにする。


2026年1月17日(土)のトランプ大統領のSNS投稿

以下はトランプ大統領のSNS(Truth Social)への投稿より引用・抜粋。

  • We have subsidized Denmark, and all of the Countries of the European Union, and others, for many years by not charging them Tariffs, or any other forms of remuneration.
    我々は長年、デンマークやEU加盟国、その他の国々に関税やその他のいかなる形の報酬も課さないことで補助金を出してきた
  • China and Russia want Greenland, and there is not a thing that Denmark can do about it.
    中国とロシアはグリーンランドを欲しがっており、デンマークにできることは何もない
  • Only the United States of America, under PRESIDENT DONALD J. TRUMP, can play in this game, and very successfully, at that!
    ドナルド・J・トランプ大統領率いるアメリカ合衆国だけがこのゲームに参加でき、しかも非常に成功出来るのだ!
  • On top of everything else, Denmark, Norway, Sweden, France, Germany, The United Kingdom, The Netherlands, and Finland have journeyed to Greenland, for purposes unknown.
    その上、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、イギリス、オランダ、フィンランドが、目的は不明だがグリーンランドに移動した
  • This is a very dangerous situation for the Safety, Security, and Survival of our Planet. These Countries, who are playing this very dangerous game, have put a level of risk in play that is not tenable or sustainable.
    これは地球の安全、安心、生存にとって非常に危険な状況だ。この非常に危険なゲームを行っているこれらの国々は、維持または継続できないレベルのリスクをゲームに投入している
  • Therefore, it is imperative that, in order to protect Global Peace and Security, strong measures be taken so that this potentially perilous situation end quickly, and without question.
    したがって、世界の平和と安全を守るため、この潜在的に危険な状況を迅速かつ疑問の余地なく終結させるための強力な措置が講じられることが不可欠だ
  • Starting on February 1st, 2026, all of the above mentioned Countries (Denmark, Norway, Sweden, France, Germany, The United Kingdom, The Netherlands, and Finland), will be charged a 10% Tariff on any and all goods sent to the United States of America. On June 1st, 2026, the Tariff will be increased to 25%.
    2026年2月1日より、上記のすべての国々(デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、英国、オランダ、フィンランド)は、アメリカ合衆国に送られるすべての商品に10%の関税を課せられる。2026年6月1日には関税は25%に引き上げられる
  • This Tariff will be due and payable until such time as a Deal is reached for the Complete and Total purchase of Greenland.
    この関税は、グリーンランドの完全かつ全面的な購入に関する取引が成立するまで、支払いが求められる

トランプ大統領がSNS投稿に至るまでの直近のグリーンランド関連の主な出来事とその後の動き

  • 前提としてグリーンランドは以前はデンマークの植民地で、現在は領有権がデンマークにある自治領。外交と防衛はデンマークが担っている
  • アメリカは第2次世界大戦以降、グリーンランド北西端のPituffik Space Base(旧名Thule Air Base)に兵100人以上を恒久的に駐留させている
  • 2019年8月トランプ政権1期目の際、グリーンランド買収に関心があると発言していたが、デンマークのフレデリクセン首相が、グリーンランドをアメリカに売るつもりはないと発言したことを受けて、デンマーク訪問を中止
  • 2025年12月中旬以降からトランプ大統領は、グリーンランドについて安全保障上の理由から必要としているとの主張を繰り返す
  • 2025年12月21日、トランプ大統領はグリーンランドを担当する特使を任命(特使は非公式に任命されるもので、正式な外交官とは異なり受け入れ国の承認は必要ない)
  • 2026年1月4日、Stephen Miller米大統領次席補佐官の妻Katie Miller氏が、アメリカ国旗の色で塗られたグリーンランドの地図にSOON(もうすぐ)という言葉を添えてSNSに投稿
  • 2026年1月4日、デンマークのフレデリクセン首相が以下の発言
    • アメリカがグリーンランドを支配する必要があるなどと語ることは、まったく意味をなさない
    • アメリカには、デンマーク王国の三つの構成国のいずれかを併合する権利などない
  • 2026年1月5日Stephen Miller米大統領次席補佐官が、グリーンランドはアメリカの一部であるべきだというのが米政府の公式の立場だ、と発言
  • 2026年1月6日、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、ポーランド、スペイン、デンマークの首脳らは「グリーンランドはその土地の人々のものであり、デンマークとグリーンランドだけが両国の関係を決定できる」との共同声明を発表
  • 2026年1月6日、ホワイトハウスがトランプ大統領がデンマーク自治領グリーンランドの領有に向け、軍の活用を含む様々な選択肢について検討していると明らかに
  • 2026年1月9日、ホワイトハウスのレヴィット報道官が以下の発言
    • 大統領は、北極圏でのロシアと中国の侵略を抑止することがアメリカの最善の利益であると考えていると、あなたたち全員と世界に対してとてもはっきり伝えている
    • 大統領のチームは現在、購入の可能性がどのようなものか話し合っている
    • 常にすべての選択肢が準備されているが、トランプ大統領の最初の選択肢は常に外交だ
  • 2026年1月9日、トランプ大統領の記者団への発言
    • 国というのは、9年契約や、たとえ100年契約でも、そのようなもの(リース契約)を結ぶことなどできない
    • NATOはそれを理解しなくてはならない
  • 2026年1月9日、グリーンランドの野党を含む政党幹部が以下の共同声明
    • 我々はアメリカ人になりたいわけではないし、デンマーク人になりたいわけでもない。我々はグリーンランド人でいたいのだ
    • グリーンランドの未来は、グリーンランドの人々が決めるべきだ
  • 2026年1月14日、グリーンランドのニールセン首相とデンマークのフレデリクセン首相が共同記者会見を実施
    • グリーンランドのニールセン首相
      • 自分たちは地政学的危機に直面している
      • もし今ここでアメリカとデンマークのどちらかを選ばなくてはならないなら、私たちはデンマークを選ぶ
      • すべての人に対して、はっきりさせておかなくてはならないことが一つある。グリーンランドは、アメリカに所有されることを望まない。グリーンランドは、アメリカに統治されることを望まない。グリーンランドは、アメリカの一部になることを望まない
    • デンマークのフレデリクセン首相
      • 我々は最も近い同盟国から全く容認できない圧力を受けている
      • 最も困難な局面はこれからだという兆候がたくさんある
  • 2026年1月14日、上記共同記者会見を受けてのトランプ大統領の発言
    • それは彼らの問題だ、私は彼に同意しない
    • それは彼にとって大きな問題になる
  • 2026年1月14日、デンマークとグリーンランドの外相がホワイトハウスでアメリカ側と協議
    • デンマーク自治領のグリーンランドの将来について協議するハイレベルなワーキング・グループを設置することで合意
    • 協議後のデンマークのラスムセン外相コメント
      • ヴァンス米副大統領とルビオ米国務長官との協議は、率直だが建設的なもの
      • しかしトランプ米大統領がグリーンランド征服を主張していることについては、完全に受け入れられない
      • これはデンマークの利益にならないと、我々は非常に、非常に明確に伝えた
      • アメリカが越えられない「レッドライン」があるが、ワーキング・グループが数週間以内に会合を開き、妥協点を模索するだろう
      • グリーンランドに米軍事基地を増設する可能性については、デンマークとグリーンランドはオープン
  • 2026年1月14日、上記協議後のトランプ大統領の記者団への発言
    • 国家安全保障のためにグリーンランドが必要だ
    • 問題は、ロシアや中国がグリーンランドを占領したいと考えた場合、デンマークには何も手段がないということだ。しかし、我々にはあらゆる手段がある
  • 2026年1月15日からデンマークの要請に応じて、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、英国、オランダ、フィンランドが少数の兵員を偵察任務としてグリーンランドに派遣
  • 2026年1月16日、トランプ大統領が医療関連会議で以下の発言
    • グリーンランドは国家安全保障上必要だ。従わない国には関税を課すかもしれない
  • 2026年1月17日、トランプ大統領が先述のSNS投稿
  • 2026年1月18日、関税対象とされた8ヶ国が以下の共同声明
    • 関税の脅威は大西洋横断関係を損ない、危険な下降スパイラルを引き起こす恐れがある
  • 2026年1月18日、欧州連合(EU)のアントニオ・コスタ欧州理事会議長がトランプ大統領がグリーンランド問題を巡って一部欧州諸国に追加関税をかけると表明したことへの対応を協議するため、数日中に緊急首脳会議を開催することを決定したとSNSに投稿
  • 2026年1月18日、英フィナンシャル・タイムズが、欧州連合(EU)は米国に対し930億ユーロ(1077億1000万ドル)相当の関税を課したり、米国企業のEU市場アクセスを制限したりする可能性がある、と報道
  • 2026年1月19日(月)はMartin Luther King, Jr. Dayで米国市場は閉場。欧州株式市場は欧州全域の株価を反映するSTOXX600が1.19%の下落

まとめ

以上、トランプ大統領のグリーンランドを巡るEU8ヶ国への関税に関する投稿、及びその前後の主な出来事について整理してみた。

問題はこの件がいつ、どういう結末を迎えるかという点。上述した情報からは、米国とデンマーク/グリーンランド及びEU間の隔たりは大きいように思われ、また関税についてはトランプ大統領のSNS投稿のみで詳細が不明なため、早期に妥協点が見出せるかは微妙な状況。そもそも2025年のいわゆるトランプ関税自体が適法かどうかについても現在最高裁で審議中で、早ければ本日1月20日(火)にも判決が下る可能性がある。

少なくとも休場明けの1月20日(火)の米国市場はこの状況を受けて大きく下落すると想定されるが、今後も事態の推移によって大幅下落となり得ることを覚悟しておいた方がいいだろう。何とか早めに事態が鎮静化してくれることを願いたい。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする