はじめに
現地日付2026年1月9日(金)には2025年12月の米雇用統計が米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)から発表された。
米2026会計年度のつなぎ予算成立が遅れ一部政府機関の閉鎖が長引いた影響で、2025年10月以降の政府機関の経済指標は発表が遅れたり/発表できなかったりしており、12月発表の米雇用統計も通常の初旬ではなく中旬に発表されたため、通常のスケジュールであれば間に合っていた12月のFOMCより後となっている。
その12月のFOMCでは市場予想通り金利引き下げが行われ、経済予測要旨からは2026年の利下げ回数予測の中央値は1回となったが、パウエル議長の会見では更なる利下げに含みを持たせていた。
その後クリスマス休暇前には公的機関から11月の米消費者物価指数(CPI)が発表されたが、前日に労働統計局が一部データは完全には信頼できない可能性があると警告していたこともあってか大きな動きは無く、2026年になってからの民間機関の経済指標も特に大きな影響を市場には与えていない。
そんな状況の中、正常化して初めてとなる政府機関の主要経済指標である米雇用統計は、2026年の利下げ回数/時期を推し量るものとして市場に非常に注目されていた。
以下、今回発表された2025年12月の米雇用統計の内容、及びそれを受けて市場がどう反応したのかについて確認し、整理しておく。
2026年1月9日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2025年12月米雇用統計
- 2025年12月の季節調整済み失業率は4.4%(前回11月は4.5%)、市場予想は4.5%
- 2025年12月の非農業部門雇用者数は前月比5万人増、市場予想の7万人増を下回っている

また2025年12月発表の2025年11月の季節調整済み失業率は速報値の4.6%から4.5%に、非農業部門雇用者数は速報値の6万4000人増から5万6000人増にそれぞれ下方修正されている。
同日の市場の動き
米国株式市場

米雇用統計の発表は米国株式市場開始の1時間前。
失業率は市場予想を下回ったが、非農業部門雇用者数は市場予想を下回るという判断の難しい内容だったためか、主要3株式指数の変動は限定的。
また同日は米ミシガン大学が1月の消費者信頼感指数(速報値)を発表しており54.0と市場予想の53.5を上回っている(12月確報値は52.9)。
米国10年債

米雇用統計が発表された米国東部標準時8:30は上記チャートのCST(米国中部標準時)では7:30。
米雇用統計発表後は方向感が定まらない動きが続いていたが、上記チャートでは変動が大きい様に見受けられるが実際にはその範囲は極めて限定的。その後変動幅は更に縮小し、前日比やや利回りが低下した程度で取引が終了している。
ドル円為替

米雇用統計が発表された米国東部標準時8:30は上記チャートのGMT(英国標準時)では1:30PM。
発表前は1ドル=157.6~7ドル辺りでの推移だったが、米雇用統計を受けてややドル安となり1ドル=157.5円を割り込む。しかしその後2:00PM過ぎにドル高が進み1ドル=158円を超えた。その後はややドル安となったものの1ドル=157.9円近辺での推移で週の取引を終えている。
上記チャート2:00PM過ぎにドル高となったのは、米雇用統計やミシガン大消費者信頼感指数とは関係が無く、日本で1月23日召集が予定されている通常国会で衆院を解散する検討に入ったとの報道があったためでドル高というよりは円安要因によるものだったようだ。
まとめ
以上、2026年1月9日発表の2025年12月米雇用統計と市場の動きについてまとめてみた。
最初に書いた通り2026年の利下げ回数/時期を推し量るものとして市場に非常に注目されていた米雇用統計だが、失業率は低下、非農業部門雇用者数は伸び悩むという結果で、労働市場が軟化しているという明確な兆候は見られなかったかったことから、少なくとも1月のFOMCでの利下げは無いだろうという見方が主流となったためか、株式、債券、為替とも反応は薄かった(為替は別の要因で円安がやや進んだ)。
CMEのフェドウォッチツールでも1月FOMCでの金利据え置き確率が95.6%と1日前の88.9%から上昇している(1週間前は83.4%、1ヶ月前は73.9%)。
自分も身構えていただけに米雇用統計発表を受けて市場に大きな変動がなかったことでホッとしており、この後の経済指標で余程大きな変化が無ければ1月のFOMCは金利据え置きとなるのだろう。
とはいえ1月は1月末に切れる米つなぎ予算の動向、いわゆるトランプ関税の合法性についての米最高裁判断、地政学リスクへの懸念、本格化する米企業の四半期決算、1月末のFOMCと何かと気にかかる出来事が多い。何とか穏当に各種出来事を乗り切って堅調な株価推移を継続してもらいたいものだ。