はじめに
昨日現地時間2020年3月4日に一昨日にも触れたゼネラル・エレクトリック(GE)のInvestor Callがあった。以下にその内容をまとめておく。
GE Investor Callの内容
以下はGEの企業サイトより引用・抜粋。
2020年見通しに関して
- GE reaffirmed the following total company outlook for full-year 2020, with additional commentary on the expected impact of COVID-19 outlined in the next section:
GEは次のセクションで概説するCOVID-19の予想される影響に関する追加の解説とともに、以下の2020年通年の見通しを再確認しました- GE Industrial revenues to grow organically* in the low-single-digit range.
- Adjusted GE Industrial profit margin* to expand organically in a range from 0 to 75 basis points.
- Adjusted earnings per share* of $0.50 to $0.60.
- GE Industrial free cash flow* of $2 billion to $4 billion.
Key variablesとして新型コロナウイルスに言及しているが、数値自体は2019年第4四半期決算時の発表と同じ。
COVID-19 Impact
- GE is closely monitoring the COVID-19 outbreak as an evolving variable. For the first quarter of 2020, GE anticipates a negative impact to GE Industrial free cash flow* of approximately $300 million to $500 million, as well as a negative impact to operating profit of approximately $200 million to $300 million, from COVID-19, based on information to date. This is incorporated in GE’s full-year 2020 outlook. Further impact beyond the first quarter is not incorporated.
GEは注意深く変化する変数としてCOVID-19をモニターしています。2020年第1四半期において、GEはCOVID-19に関するこれまでの情報に基づきGE Industrialのフリーキャッシュフローに約3億ドルから5億ドルのマイナスの影響、および営業利益に約2億ドルから3億ドルのマイナスの影響を予想しています。 これはGEの2020年通期見通しに組み込まれています。 第1四半期以降の影響は含まれていません。 - GE also shared that it expects to generate approximately $0.10 in adjusted earnings per share*, as well as approximately negative $2 billion of GE Industrial free cash flow*, in the first quarter of 2020. This incorporates the above expected impact of COVID-19.
GEはまた、2020年第1四半期に調整済み1株当たり利益が約0.10ドル、GE Industrialのフリーキャッシュフローが約マイナス20億ドルになると予想していることを共有しました
* Non-GAAP Financial Measure
セグメントごとの見通し
プレゼンテーション資料にはセグメント毎に様々な視点で分析・説明されている(プレゼンテーション資料は60ページある)のだが、詳細は割愛。2020年の見通しを簡潔にまとめているのは以下。
そしてフリーキャッシュフローに関しては2022年までの見通しを発表している。
この中で個人的に目に付いたのは電力部門(Power)が2021年からフリーキャッシュフローを生み出すとしている点(2021F:Positive)。
1年前の同じGEのInvestor Callの際には、電力事業の不振(2018年の赤字220億ドル)に関してツサ氏に突っ込まれていたことを思えば、よく1年でここまで改善したものだと思う。
カンファレンスコール
カンファレンスコールで気になった点は、カルプCEOが現在の状況を
- “It’s a volatile, fluid situation, unpredictable in many respects.”(不安定で流動的な状況であり、多くの点で予測不可能です)
とある意味正直に述べた点と、一昨日のFRBの利下げの影響にに関するアナリストの質問に対して
- 25ベーシスポイント(0.25%)引き下げごとに年金に関する約23億ドルの債務が発生する(25 basis point in the discount rate with respect to the pension generates about $2.3 billion of obligation)
と述べた点。GEの年金問題は前からあるのは知っていたが、FRBの利下げでGEの債務が具体的にいくら膨らむかについて回答していた。これも今後フリーキャッシュフローに関して課題になる様な気がする。
まとめ
ということでGEは2020年第1四半期の見通しは下げた一方、それを組み入れた2020年通年の見通しは維持したということになる。
また、上にあげたGE発表の2020年第1四半期の調整済み1株当たり利益が約0.10ドルというのは、アナリストの予想の0.13ドルを下回っている。
昨日のGEの発表を受けて株価は、
と0.64%増。ただダウが4.53%、S&P 500が4.22%と大幅に上昇していたことを考慮すると、実質的にGEの株価は下落に近いのではないかと思う。発表のタイミングに助けられた気がする。
個人的には、前々からの①ボーイングの運航再開、②新型コロナウイルスによる中国関連の事業/サプライチェーン、③利下げによる年金債務への影響、という3点が不安、不確実な要素として懸念される。2020年1月末の四半期決算の時点ではボーイングだけだったのが、更に2つの可変要素が増えたことになる。
そして新型コロナウイルスの影響は、2020年第2四半期以降に「unpredictable」ということもあり組み込まれていないことから、GEへの中長期的な影響を評価するにはまだ早すぎるだろう。
問題はGEだけではなく、これからより具体的な現状が自分の所有銘柄から発表されてくること。ただ、逆に考えると発表してくれるだけマシなのかもしれない。こういった情報を元に今月下旬の定期購入タイミングで買い足す銘柄を検討しているのだが、この状況では正直何を購入するべきなのか、全然定まらない…。