【色々あったが予想外に持ちこたえた月】2025年8月末米国株資産

投資開始からの期間

2001年7月から数えて290ヶ月目(24年2ヶ月目)。


資産動向考察

2025年8月末の円ベース資産は以下の通り。

2025年8月末の円ベース資産は前月末に比べて約145万円(約0.6%)の増加。2025年は米国がトランプ政権となり関税への懸念で2~4月と3ヶ月連続の減少が続いたのだが、その後は5~8月と4ヶ月連続で円ベースの資産増加となっている。

2025年8月の市場推移

【ダウ工業平均】

2025年7月末終値:44,130.98

2025年8月末終値:45,544.88

2025年7月末/8月末終値差異:3.20%上昇

【S&P 500】

2025年7月末終値:6,339.39

2025年8月末終値:6,460.26

2025年7月末/8月末終値差異:1.91%上昇

【NASDAQ】

2025年7月末終値:21,122.45

2025年8月末終値:21,455.55

2025年7月末/8月末終値差異:1.58%上昇

2025年8月は初日の米雇用統計で大きく下落したものの、最終的にはダウ工業平均が3.20%、S&P 500が1.91%、NASDAQ総合が1.58%と先月に続いていずれも上昇。先月7月とはやや傾向が異なり、7月は指数に占める大型ハイテク銘柄の割合が大きいNASDAQ総合が3.70%、S&P 500が2.17%、ダウ工業平均が0.08%の上昇だったのに対し8月は逆となっている。トランプ大統領のアメリカに輸入される半導体への関税についての発言やハイテク企業の個別決算、米輸出規制で最新半導体を投入できない中国市場で競合が代替品を開発する動きなどが重しとなったようだ。ただ大型ハイテク銘柄でも米国に1000万ドルの追加投資を行うと発表したアップル(AAPL)は月間で10%を超える上昇など銘柄によってまちまちではあるし、NASDAQ総合が下落した訳でもないので、色々な不安要素がありながらも株式市場全体的には比較的落ち着いた月であったと言えるだろう。

8月にあった主な出来事

8月1日に米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)から発表された7月の米雇用統計の非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に下回り、併せて5月、6月のデータも大幅に下方修正されたことで、それまで堅調とされていた労働市場が実はそうではなかった可能性が高いのではという見方が出て来た。

FRBがトランプ政権の再三の利下げ要求に応じず政策金利を維持してきた理由の一つとして労働市場の堅調さに拠る所も大きかったので、前提そのものが崩れる可能性が意識され株式市場は大きく下落し、その後の経済指標が注目される契機となった。

上述の米雇用統計結果を受けて経済指標により注目が集まった8月ではあったが、FRBが注目する米消費者物価指数などの経済指標は概ね市場予想通りの結果となった。

8月の米株式市場が既述のチャートの様に大きく荒れることが無かったのは、これが要因の一つだろう。

8月22日にはFRBパウエル議長がジャクソンホール会議で講演を行った。米雇用統計、その後の経済指標を受けて、パウエル議長が次回9月のFOMCへ向けてどの様なメッセージを発するかが注目されていたが、「(労働市場は)雇用に対する下振れリスクが高まっていることを示唆」、「基本的な見通しとリスクバランスの変化を踏まえると、政策スタンスの調整が必要となる可能性がある」という発言が9月の利下げを示唆したものと受け止められ、CMEフェドウォッチの9月の利下げ確率は講演前の約70%から約85%に上昇し、それに伴い株式市場も上昇となった。

8月1日からカナダ、その他の国/地域は8月7日米国東部時間午前0時1分以降に通関するものから新たな相互関税が適用された。

しかし今回の相互関税措置の発動は、4月の様に株式市場が大きく動くことは無かった。これは4月時は直前で相互関税率が発表されたのに対し、今回の関税は二国間での調整がある程度の期間行われ決裂することがほとんど無かったこと、市場が想定していたよりも低い関税率での合意が多かったことが原因なのだろう。

とはいえ相互関税発動後も相互関税に関する交渉が続いている国/地域は多く(中国とは一時相互関税引き下げ期間を更に90日間延長)、米国は品目ごとの一律関税検討を続けていたりするので、今後も米国の相互関税に関する動きには注意が必要だろう。また8月末に米連邦控訴裁判所はトランプ大統領に関税の大部分は違法であるとの判決を下しており(本件が控訴手続きに入るまで関税の適用は継続)、そちらの動きも気になるところ(米最高裁まで持ち込まれると予想されている)。

  • 米主要企業の4~6月期決算が概ね終了

7月半ばから本格化した米企業の主に4~6月期決算が概ね終了。

LSEGによると8月29日時点でS&P 500構成企業のうち489社が決算を発表、うち80%で利益、79%で売上高がアナリスト予想を上回っているとのことで、概ね堅調な四半期決算だったと言える。

ただし期間中は米国の相互関税措置がほとんど停止されていたため、ほとんどの企業が見通しに関税の影響を含めているとはいえ、次回7~9月期決算で関税の影響がどの様な形で決算結果に表れてくるかには要注目だろう。

  • トランプ大統領がFRBのLisa Cook理事の解任を発表

8月25日にトランプ大統領がSNSでFRBのCook理事を解任すると発表した。大統領によるFRB理事の解任は史上初の事となる。

クック理事がミシガン州とジョージア州の2ヶ所で住宅を購入する際いずれも居住用として申請し、双方とも居住用の低金利で住宅ローンを契約した可能性があるとされており、トランプ大統領はこれが解任の「十分な理由(sufficient cause)」に当たるとしている。

その後Cook理事は、トランプ大統領は私を「正当な理由(for cause)」によって解任しようとしたが、法の下でそのような理由は存在せず、大統領に権限もない。私は辞任せず、2022年から取り組んできたように米経済を支える職務を引き続き果たしていく、との声明を発表し、8月28日には解任の仮差し止めを求めてトランプ大統領を提訴、29日にはワシントンの連邦地裁で緊急審理が行われている。

先行きは不透明だが、仮にクック理事が解任されトランプ大統領によって新たに後任者が選定される場合、その意向がFRBの方針により強く反映される可能性があり、今後には注意が必要だろう。

ポートフォリオ

2025年7月末と8月末の自分の米国株ポートフォリオは以下の通り。

【2025年7月31日】

【2025年8月29日】

2025年8月に10%を超える上下動のあった銘柄は以下の2銘柄。

ケマーズ(CC):28.5%上昇

ワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD):11.6%下落

ケマーズはサムスンのデータセンター向け第4世代SSDの冷却液として、同社のOpteonが二相液浸冷却として初めて認定されたことが上昇の要因。ワーナーブラザースは決算での大幅下落が影響している。

自分の所有27銘柄中では上昇が20銘柄、下落が7銘柄と上昇銘柄が多く、ポートフォリオ全体では前月比資産が約5万ドル、割合では3.1%の増加となっている。8月1日の米雇用統計で大きく下落して始まった8月だったが、結果的には10%を超える上下動が2銘柄に留まり、ドルベース株式資産も増加と悪くなかったと言える。また月末ベースの米国株ドル資産が2001年に投資を開始して以来初めて160万ドルを超えた月となっている。


為替

先月終値:2025年7月31日 1ドル=150.76円

今月終値:2025年8月29日 1ドル=147.05円

2025年7月末のドル円為替レートは前月に比べて1ドルあたり3.71円、割合で言うと2.46%のドル安。

何度も挙げている8月1日の米雇用統計で1ドル=150円台から147円台前半までドル安になった後は、方向感に定まらない動きが続いたが概ね147円台での推移となり比較的安定した推移であったように思う。9月FOMCでの利下げを織り込んだ上で、こういった落ち着いたドル円為替の推移が続くようだと良いのだが。


まとめ

累計投資:80,000,000円(今月追加投入なし)

米国株:240,670,325円

外貨MMF:54,614円

USドル:2,133,695円

日本円:3,941,323円

資産:245,350,166円

累計損益(累計投資と資産より):166,799,957円/208.5%

累計引落額:16,200,000円(今月引き落とし無)

2025年8月は初日の米雇用統計を受けて株安、ドル安となり、その後の米相互関税発動を控えていただけにどうなることかと不安が募るスタートだったのだが、結果的には円ベースでは約145万円(0.6%)、米国株ドル資産が約5万ドル(3.1%)の増加。ドル円為替も月初に大きくドル安となった後は割と落ち着いた動きで、全体的に悪くない結果で乗り切ることが出来た。

ただ発動した米国の相互関税が米企業の次回決算にどの様な影響を及ぼすのか、そしてその法的根拠の行方はどうなるのか、9月のFOMCで有力視される利下げはどうなるか、そして市場がどう反応するのか(結果市場予想通りの利下げで市場への大きな影響は無し)、またトランプ政権がFRBに限らず各独立行政機関への影響力を行使しようとしている(8月下旬には米CDC(疾病対策センター)長、米陸上運輸委員会の委員も解任している)点など気になる点は多い。

4ヶ月連続で資産は増加しているが、そろそろ反動が起こってもおかしく無い状況である事は心にとどめておくべきだろう。

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