米国がイランの核施設3ヶ所を攻撃(2025/6)

はじめに

2025年6月13日(金)にイスラエルがイランの核関連施設に空爆を行った経緯、そしてその後17日(火)に米国がイランに無条件降伏要求をするまでの主な動きについては

イスラエルのイラン核関連施設空爆直後の米国市場(2025/6)

イスラエルがイラン核関連施設空爆に至る経緯(2025/6)

米国がイランに無条件降伏要求、そして市場の動き(2025/6)

でまとめていた。

そして6月21日(土)には掲題の通り米国がイランの核施設3ヶ所に空爆を行っている。

以下、前回までにまとめた以降6月18日(水)からの主なイスラエル/イラン/アメリカの動きについて整理しておくことにする。


日本時間2025年6月18日(水)からのイスラエル/イラン/アメリカの動き

主なものを時系列順に列挙。日付については特記が無い限りは現地時間。

2025年6月18日(水)

  • イランの最高指導者ハメネイ師がSNSに以下の投稿
    • 高貴なるハイダルの名において、戦いは始まる
      *「ハイダル」はイスラム教シーア派が預言者ムハンマドの後継者で初代イマーム(指導者)とみなすアリの別名として用いられる
    • テロリストであるシオニスト政権に断固たる対応を取らなければならない。シオニストに容赦はしない
  • トランプ大統領の記者団への発言
    • 今と1週間前とでは大きな違いがある。私がこれから何をするか、誰も分からない
    • (イランからの接触に関する質問に対して)イラン側には交渉の意思があり接触はあったが、協議するには非常に遅すぎる
    • (ハメネイ師が無条件降伏要求を拒否したことについて)幸運を祈る
  • ウォール・ストリート・ジャーナル誌が関係筋の情報として以下の報道
    • トランプ大統領が17日にイラン攻撃計画を承認した旨を上級補佐官らに伝えた
    • イランが核開発計画を放棄するかどうかを見極めるため、最終命令は出さず
  • ニューヨーク・タイムズ誌がイラン高官の話として以下の報道
    • イランのアラグチ外相はイスラエルとの停戦を巡り協議するため、米国との会談に応じる可能性がある
  • ロイター通信が当局者2名の話として以下の報道
    • 米海軍第5艦隊が駐留するバーレーンの港から艦艇が移動されたほか、強化シェルターに収容されていない航空機がカタールのアルウデイド空軍基地から移動された
    • 異例の対応ではない(イランの攻撃を受ける恐れのある中東の基地からの)部隊の防衛が優先事項だ
    • ロイターは同週、米軍が多数の空中給油機を欧州に移動し中東地域に戦闘機を追加配備、インド太平洋に展開している空母も中東に向かっていると報じている
  • ブルームバーグ・ニュースが複数関係筋の話として以下の報道
    • 米当局が数日以内のイラン攻撃の可能性に備えている
    • 状況は流動的で変化する可能性がある
    • 一部の関係筋は週末の攻撃の可能性を指摘している

2025年6月19日(木)*米国はジューンティーンスで祝日

  • ロイター通信が外交官3名の話として以下の報道
    • 米ウィトコフ中東担当特使とイランのアラグチ外相が数回にわたり電話で協議
    • アラグチ外相は、イスラエルが攻撃をやめない限り、イランは交渉に復帰しないと述べる
  • ホワイトハウスのレヴィット報道官が記者会見でトランプ氏のメッセージを直接伝えるとして以下の発言
    • 近い将来、イランとの交渉が行われる可能性も、行われない可能性も相当ある事実に基づき、私(トランプ大統領)は今後2週間以内に踏み込むかどうか決断する
    • イランが核兵器の取得にこれほど近づいたことはかつてなかったと確信しており、そのような兵器を製造するには僅か2週間しかかからない
    • (アメリカの参戦を懸念する一般的なトランプ支持者にどんなメッセージを発しているのかという質問に対して)トランプ大統領を信頼せよ。大統領の最優先事項は、イランの核兵器製造を成功させないことだ
  • 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長が以下の発表
    • イスラエルによる軍事作戦開始の前夜、全く偶然だが、イスファハンの新しい濃縮施設について情報があった
    • われわれは直ちに査察を行う予定だったが、軍事作戦の開始により、この査察は延期せざるを得なかった
    • (イスファハンのどこに濃縮施設が計画されていたのかは明言しなかったが)巨大な施設
  • 英外務省は、ラミー外相が20日にジュネーブに赴きイラン核問題の外交的な解決を目指して仏独の両外相、欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表(外相)、イラン外相と協議すると発表
    • われわれはイランが核兵器を決して持ってはならないと確信している。外交的解決を達成するための好機は今後2週間以内に存在する
    • 今こそ、中東の深刻な情勢に歯止めをかけ、誰のためにもならない地域のエスカレーションを防ぐ時だ

2025年6月20日(金)

  • ロイター通信の報道によると欧州各国の外相とイラン外相がジュネーブで開催した協議は、進展の兆しがほとんど見られずに終了

2025年6月21日(土)

  • 米国がフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンを含むイランの核施設3つを攻撃
  • トランプ大統領がSNSに以下の投稿
    • 我々は、フォルドゥ、ナタンズ、イスファハンを含むイランの核施設3つに対する攻撃を成功させ、完了した。すべての飛行機はもはや、イラン領空の外に出ている
    • これはアメリカ合衆国とイスラエルと世界にとって、歴史的な瞬間だ
    • イランは今や、この戦争終結に合意しなくてはならない
  • 米CBSニュースが以下の報道
    • 米国が外交チャンネルを通じてイランに接触し、米国が計画しているのは攻撃であり、体制転換は意図していないと伝えた
  • 米FOCニュースが以下の報道
    • イランの核施設フォルドゥに米軍が6発の地中貫通弾(バンカーバスター)を投下
    • 他の核施設にはトマホーク巡航ミサイル30発を使用
  • トランプ大統領がホワイトハウスで以下の演説
    • 攻撃は壮大な軍事的成功だった
    • イランの主要な核濃縮施設は完全かつ全面的に消滅した
    • イランには平和が訪れるか、あるいはこの8日間で我々が目撃したよりもはるかに大きな悲劇が訪れるかのどちらかだ
    • もしイランがすぐに和平に応じなければ、我々は他の標的を緊密、迅速、巧みに攻撃する。攻撃対象のほとんどは数分で排除できるだろう
    • 中東の暴君であるイランは、今こそ和平を果たさなければならない。そうでなければ、将来の攻撃ははるかに大規模になり、はるかに容易に行われるだろう

2025年6月22日(日)

  • イスラエルのネタニヤフ首相が以下の録音声明
    • おめでとう、トランプ大統領。イランの核施設を、米国の凄まじく正しい力で攻撃するというあなたの大胆な決断は、歴史を変えるだろう。歴史は、トランプ大統領が世界で最も危険な政権に世界で最も危険な武器を持たせないために行動したことを記録するだろう
  • イランの原子力庁が以下の声明を発表
    • 敵の邪悪な陰謀にもかかわらず、この国策産業の発展の道を、核の殉教者たちの血の結晶であるこの道を止めることはないと、偉大なイラン国民に保証する
  • イランのアラグチ外相がSNSに以下の投稿
    • 今朝(21日の米国による攻撃)の出来事は言語道断であり、永続的な結果をもたらす
    • イランには自国の主権や権益、国民を守るため、あらゆる選択肢がある
  • イランがアメリカによる核施設攻撃の後、初めてイスラエルへの攻撃を行う
  • 国連の核監視機関は、米国によるイランの核施設への攻撃を受けてウィーンで緊急会議を開く予定
  • 米ヘグゼス国防長官が国防総省での記者会見で以下の発言
    • 我々の最高司令官から受けた命令は焦点が絞られ、力強く、そして明確だった。我々はイランの核開発計画を壊滅させた
    • (米軍のB-2ステルス爆撃機が)ミッドナイトハンマー作戦と呼ばれる任務で、世界に全く知られることなく出撃した。その意味で歴史的な出来事だった
    • イランの核施設に対する米軍の攻撃は実行に何ヶ月、何週間もの準備期間を要したにもかかわらず、信じられないほど圧倒的な成功だった
    • 今回の攻撃はイランの軍隊や国民を標的としたものではないが、イランの核開発の野望を消滅させた
    • トランプ大統領が計画した作戦は大胆かつ素晴らしいもので、アメリカの抑止力が戻ってきたことを世界に示した。大統領の発言に世界は耳を傾けるべきだ

まとめ

以上、6月18日(水)以降から日本時間6月22日(日)21時前後までの、主なイスラエル/イラン/アメリカの動きを中心に整理してみた。

6月16日週のS&P 500の推移を見てみると

週明けはトランプ米大統領がイスラエルに即時停戦に合意するよう圧力をかけるよう要請したとの報道でイスラエルとイランの休戦に対する期待が台頭して上昇したものの、その後はトランプ大統領がイランに無条件降伏を促すなどで下落傾向となり、結局6月20日(金)の時点では前週末とほぼ変わらずで取引を終えていた。

しかし上述の通り、この週末にアメリカがイランの核施設を爆撃し、イランもイスラエルへの攻撃を行ったことで中東情勢は緊迫の度合いを更に増しており、週明けの米市場がどう動くかが注目される。6月23日週には米国市場が大きく変動し、自分の資産も大幅減少となることも覚悟しておいた方がよいだろう。関係各国はどの位の期間で、どんな妥協点を見いだせるのだろうか・・・。

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