ワーナーブラザース(WBD)が分社化を発表(2025/6)

はじめに

2025年6月9日(月)には自分が所有しているワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)が、掲題の通り分社化を行う計画を発表した。

分社化自体は1ヶ月前の2025年第1四半期決算発表時のまとめでも「会社分割や部門売却などで株価上昇の可能性も無くは無い」と書いており、ある程度は想定していたことであった。

以下、ワーナーブラザースの発表内容を確認すると共に、株価がどう動いたかについて整理しておくことにする。


2025年6月9日のワーナーブラザース発表内容

以下の内容は、ワーナーブラザース・ディスカバリーの企業サイトより引用・抜粋。

【概要】

  • ワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)は本日、非課税取引により当社を2つの上場企業に分割し、それぞれの潜在能力を最大限に発揮させる計画を発表した
    • Streaming & Studios
      • ワーナーブラザース・テレビジョン、ワーナーブラザース・モーション・ピクチャーグループ、DCスタジオ、HBO、HBOマックス、各社の映画・テレビ番組ライブラリーで構成
    • Global Networks
      • 米国のCNN、TNTスポーツ、欧州無料チャンネルのディスカバリーなど、世界中のプレミア・エンターテインメント、スポーツ、ニュースのテレビブランド、そして収益性の高いDiscovery+ストリーミングサービスやブリーチャー・レポート(B/R)などのデジタル製品で構成
  • 分社化により、以下の方法で成長機会が創出される
    • 各社がより迅速かつ積極的に機会を追求し、競争力を強化できるよう備える
    • 各社が業務目標と財務目標に投資し、それを追求できるよう、戦略的な柔軟性と焦点を高めることに重点を置いた世界クラスの管理チームを結成する
    • 各社がより機敏になり、成長見通しと財務プロファイルに合った株主基盤を獲得できるようにする

【Streaming & Studios】

  • 同社は現在77の市場で展開しており、ダイナミックかつ持続可能な収益、利益、フリーキャッシュフローの成長を実現する
  • 2026年には重要な新市場への参入を予定しているHBO Maxの継続的な規模拡大に注力し、世界的な勢いを基盤としてプラットフォームを差別化し推進するHBOの世界クラスの番組制作に投資し、年間調整後EBITDAを少なくとも30億ドルにするという目標を優先する

【Global Networks】

  • 同社は200の国と地域、68の言語で11億人の視聴者にサービスを提供しており、業界をリードする利益率と堅調なフリーキャッシュフロー転換率を誇る
  • ライブテレビの世界的リーダーとして、グローバル・ネットワークスは、国際的な成長機会への投資、スポーツとニュースにおけるライブコンテンツの拡充、そしてDiscovery+、B/R、CNNの新しいストリーミングサービスといった強力なネットワークブランドのデジタル展開の拡大といった機会を追求するための専門知識及び継続的な財務基盤を有する

【分社計画】

  • 米国連邦所得税の観点から、非課税で事業を分割する予定
  • 両社は事業分割後、円滑な移行と継続的な事業効率の維持のため、独立企業間(arm-lengance)の移行サービスおよび商業契約を締結する予定
  • 両社は事業を支える十分な資本基盤を構築を目的とし、本日発表された別のプレスリリースにおいて、既存の資本基盤全体にわたる175億ドル規模の公開買付けおよび関連する同意勧誘の開始を発表
  • Global NetworksはStreaming & Studiosの株式を最大20%保有し、税効率の高い方法で現金化することで、バランスシートのレバレッジ削減を推進する予定
  • 分割は2026年半ばまでに完了する予定

2025年6月9日のワーナーブラザース株価推移

開場直後は分割の発表を受けて前日比10%を超える上昇となり、その後やや下がったものの午前中は前日比7.5%前後上昇での推移。しかし現地時間12時から下落傾向となり、結局前日比3%近い下落で取引を終えている。

調べてみたところ、ウォール・ストリート・ジャーナル誌が事情に詳しい関係者の話として、WBDが分離計画の一環として投資家協力協定を禁止することを提案していることを受け、法律事務所Akin Gump Strauss Hauer & Feldが債券保有者を組織してWBDの提案に反対し、より良い条件で交渉を進めている、と報じたことが原因らしい。


まとめ

以上ワーナーブラザース・ディスカバリーの会社分割発表、それを受けての株価について確認してみた。

発表直後は前日比上昇したものの、ウォール・ストリート・ジャーナル誌の報道を受けて結局下落。またワーナーブラザースは報道についてコメントをしておらず、アナリストの投資格付けのアップデートも今のところないため、今後の状況/株価がどうなるかは不透明。

今後しばらくはこのワーナーブラザース分社化の動きを睨んで不安定な株価が続きそうだが、分社化が進んだ場合は経営陣の目論見通りに物事が進むことを願いたい。それにしても分社化発表当日に結局下落となってしまったのは、せっかくの株価上昇要因だっただけに残念である。ここで株価上昇にならなかったことを考えると、今後の株価には分社/分割完了が予定されている2026年半ばまでの約1年は(更に計画が変わってどちらかの事業を売却するなどが発生しなければ)株価上昇は期待できない気がする。


追記

上述の様に分割発表当日6月9日には約3%下落したが、その翌日6月10日には

アナリストのアップデートはあったものの、投資格付け/目標株価は据え置きのものが多く様子見という感が強かったのだが約5%上昇しており、続落しなかったのは幸い。

ちなみに6月9日にはS&Pグローバルがワーナーブラザースの発行体格付けをBB+からBBに、6月10日にムーディーズがBaa3(投資適格の最低レベル)からBa1(投資不適格の最上位)に引き下げたことを発表している。株価には直接的な影響が出ている様には見えないが、上述した様に債券保有者が今回の分割に対してどう反応するかへの影響はあるのだろう。

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