米大統領選後の市場と自分の米ポートフォリオ考察(2024/11)

はじめに

2024年11月5日(火)には米国で大統領選挙が行われトランプ前大統領が勝利した。また上院では共和党が多数派を奪還している(下院は更に数日かかる見込み)。

それに伴い市場には大きな変化があったので確認しておくと共に、併せて自分の米国株ポートフォリオについても考察しておくことにする。


米大統領選後の市場の動き

米国主要3株式市場

主要3市場はいずれも大きく上昇し過去最高値を更新し、ダウ工業平均とS&P 500は2022年11月以来、NASDAQ総合は2024年2月以来の大幅上昇となった。

トランプ氏が掲げる政策の中で新たな関税はインフレ加速などにつながる可能性があるものの、市場では減税(法人税率を現在の21%から15%に引き下げ)や規制緩和への期待が高まったことで全体的には大幅上昇につながったのだろう。

米国10年債

米10年国債利回は一時4.479まで上昇して7月以来の高水準となり、前日比1.53上昇して4.441で取引を終えている。

トランプ氏が公約に掲げる減税が経済を活性化させる一方で財政赤字拡大につながり、新たな関税の導入がインフレを高進させて利下げ余地を狭めることになるとの見方から国債利回りが上昇したものと思われる。

ドル円為替

投票後にトランプ氏の優勢が伝わるにつれてドルが急騰し、1ドル=154円台前半での推移となっている。

トランプ氏が勝利したことでインフレがさらに高まり、米連邦準備理事会(FRB)が金利緩和ペースを弱めることを余儀なくされる可能性があり、日米金利差が大きい状況が大統領選前より長く続くとの見込みからドル高となったのだろう。

ただしトランプ氏は選挙戦で「ドル安を好む」としてFRBに金利引き下げも要求しており、前回の在任中も輸出と経済活動の促進に向けドル安を好んでいたことから、政策が具体化し始めるとドル安が加速する可能性もある。


2024年米大統領選後の米国株ポートフォリオ

2024年米大統領選後の自分の米国株ポートフォリオは以下。

自分のポートフォリオはハイテク銘柄が極めて少ないので、その点はあまり参考にならないのだが、大統領選後の主な変化を以下に整理してみる。

【Industrialsセクター:ボーイング(BA)、GE(GEエアロスペース)、ワブテック(WAB)】

GEエアロスペースとワブテックは大きく上昇している一方で、ボーイングは2.54%下落。ただしボーイングは大統領選結果の影響というよりは、主要サプライヤー企業のスピリット・エアロシステムズ(SPR)が継続企業として継続できるかどうか「かなり疑わしい」と警告を発表したためと思われ、セクター全体では上昇傾向。

【Healthcareセクター:ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)、GEヘルスケア・テクノロジーズ(GEHC)】

自分が所有しているヘルスケアセクター2銘柄は下落。その他主要ヘルスケア銘柄も概ね下落している(理由は不明)。

【Financial Servicesセクター:シティグループ(C)、JPモルガン・チェース(JPM)】

シティが8.42%、JPモルガンが11.54%の大幅上昇。トランプ氏が公約に掲げていた減税と業界の規制緩和(銀行規制強化を推進していた規制当局についての抜本的な改革を公約)から、期待感が高まったのだろう。

【Consumer Defensiveセクター:ケラノバ(K)、クラフト・ハインツ(KHC)、コカ・コーラ(KO)、WKケロッグ(KLG)、モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)、アルトリア・グループ(MO)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)、フィリップ・モリス(PM)】

Consumer Defensiveセクターは市場が大きく上昇しているのにもかかわらず、ほぼ横ばいか下落。セクター以下の分類は多岐に渡っているので一括りにするのは危険だが、消費者向けの生活用品を販売し、直近の決算でもエンドユーザーのインフレ圧力が未だ根強い点は共通しており、トランプ氏が当選したことでインフレ圧力が続く可能性が高くなり、業績への悪影響が懸念されることから下落銘柄が多かったものと思われる。

【Basic Materialsセクター:ケマーズ(CC)、コルテバ(CTVA)、デュポン・ドゥ・ヌムール(DD)、ダウ・インク(DOW)】

ケマーズ(CC)が大きく上昇しているがこれは同日に2024年第3四半期決算を受けてのアナリストアップデートがあったためだろう(内容は未確認)。全体としてはまちまち。

【Communicationsセクター:ウォルト・ディズニー(DIS)、AT&T(T)】

ディズニーとAT&Tが同じCommunicationsセクターであるのは今一つ納得感が薄いが、両銘柄共に上昇。

【Energyセクター:エクソン・モービル(XOM)】

市場の上昇には及ばないが同業の米シェブロン(CVX)も上昇している。

トランプ氏はエネルギー安全保障の強化を目指しており、国内の化石燃料産業に追い風となる可能性が高いことから上昇したのだろう。


まとめ

以上、2024年米大統領選後の市場及び自分の主なポートフォリオ銘柄の動きについてまとめてみた。米株式市場は大きく上昇し、自分のポートフォリオに占める割合の大きい銘柄も概ね上昇しているが、ヘルスケアやディフェンシブ銘柄が横ばいあるいは下落しているのは気にかかるところ。

そして、これはあくまで1日の出来事であり、しばらくは上下動がある可能性も気にかけておき、短期的な傾向を把握していきたい。また実際に来年トランプ氏が大統領に就任して、公約と政策実現のバランスをどう取っていくのかが中長期的なポイントになるのだろう。

1日で見る限りではドル高、ポートフォリオ銘柄の上昇に助けられてドル/円資産は共に大きく増加したのだが

政権が変わることによる影響が今後どう出てくるのか、しばらく落ち着かない日々が続きそうだ。

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