はじめに
2024年10月29日(火)の米国市場閉場後には自分の所有株の一つであるモンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)の2024年第3四半期決算発表があった。
前回の四半期決算では売上は市場予想に届なかったものの、EPSは市場予想を上回り、通年見通しも堅持したことからか上昇し
「堅調な決算だったことや市場の下落にかかわらず上昇している事を考えると、まずまず堅調な株価推移が期待出来そうではある。ただし、8月に入ってからの米国株式市場の急落を考えると、それにつられて冴えない動きをする可能性も拭えない。早く米国株式市場が落ち着きを見せて、モンデリーズも決算を受けての上昇が長続きしてくれるといいのだが。」
と書いていたのだが、今回の決算そして株価はどのような結果となったのか。以下にモンデリーズの決算内容を整理しておくことにする。
モンデリーズ2024年第3四半期決算概要
以下はモンデリーズ・インターナショナルの企業サイトより引用・抜粋。
- 2024年第3四半期のレポートベース純売上高(Reported Net Revenues)は92億400万ドルで前年同期比1.9%増
- 2024年第3四半期の調整後希薄化1株当たり利益(Adjusted Diluted EPS)は0.99ドルで前年同期比28.6%増(恒常為替ベースでも28.6%増)
2024年通期見通し
2024年通期の見通しは以下の通り。
- 既存事業純売上成長率(Organic Net Revenue growth):3~5%
- 調整後EPS成長率(恒常為替ベース):HSD(High Single Digit、一桁台後半)
- フリーキャッシュフロー:35億ドル超
- 自社株買い:~20億ドル
- インフレ上昇率:HSD(High Single Digit、一桁台後半)
以上の主な項目はいずれも前回四半期決算時と変わらず。
その他
その他決算発表/アナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 2024年9月20日に中国でケーキとペストリーを製造するEvirthの株式過半数を取得することに合意したと発表
- この分野は現在30億ドルの市場規模
- 中国の消費者はスナックを食べる機会がますます多様化していることから、革新的で洗練された味のプロファイルを備えた新鮮で高級な選択肢を求めるようになっている
- 2024年第3四半期は好調な売上成長を達成できた
- 先進国市場は、北米のビスケットの堅調な成長と年間価格設定の成功に伴う欧州の回復により1桁台半ばの成長
- 新興国市場も、一部の市場で西洋ブランドのボイコットが続いているにもかかわらず1桁台半ばの成長
- 多くの同業他社とは異なり、北米では当社のコアスナックカテゴリに対する消費者の継続的な支持が見られ、インフレが沈静化するにつれて販売量成長が回復し始めている
- 同様に、ヨーロッパでは年間価格設定が定着した年初に大きな混乱があった後、多くの同業他社とは異なり出荷量と売上の両方が好転し始めている
- 新興国市場では季節商品も堅調に推移し、インド、ブラジル、メキシコでは消費者の信頼感は安定しており、中国経済全体が依然として厳しい状況にある一方で景気刺激策が効果を上げている中、楽観的な見方が戻り始めている
- カカオのコストは過去最高値から下がっており先物は最終的に正常化を示唆している。ただし、新たな収穫を前に物理的な供給が逼迫しているため、市場は依然として不安の兆候を示している。現段階では新たな収穫の見通しは昨年に比べて大幅に回復しており、引き続き明るい見通し
- カカオのピーク価格は2025年上半期に反映される見込みで、安定化は2026年を想定
- 質疑応答
- 来年カカオが直面するであろう課題を踏まえて、それが貴社の戦略やチョコレートの将来にどのような影響を与えるかについて
- 2025年のカカオ価格は現在作業中
- 価格が上昇し、余分なプレッシャーがかかることは承知してるが、全体としてチョコレートは傑出したカテゴリーであり、私たちはそれに全力を尽くす
- カカオの価格はまだ非常に不安定であり状況が変わる可能性があるため、来年は機敏に対応し、そうした状況にどう対処するかが、私たちにとっての重要な点になる
- 他の同業他社と異なる消費者の継続的な支持の要因について
- 全体的には高価格が依然として大きな懸念事項であることは確かであり、消費者は明らかに購買力が低下していると感じている。特に、低所得層の消費者は最もプレッシャーを受けている
- そのため特に3~4ドルの価格帯が非常に重要になり、我々の商品は消費者が絶対に手放したくないカテゴリであると共に、適正な価格帯を実現していることが市場シェア獲得の要因と考えている
- 2025年の見通しについて
- 当社の事業の70%はチョコレート以外の製品で、その部分は通常のアルゴリズムに沿うものと予想しているが、チョコレート部分はアルゴリズムに沿わないものになる可能性もある
- カカオ価格の決定時期について
- カカオのコストは今年末、2025年第1四半期の初めまでに明らかになるはず。特にヨーロッパの価格は第1四半期の終わりから第2四半期の初めにかけてさらに明確になる
- 来年カカオが直面するであろう課題を踏まえて、それが貴社の戦略やチョコレートの将来にどのような影響を与えるかについて
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2024年第3四半期の純売上高(Reported Net Revenues)は92億400万ドル、市場予想の91億1000万ドルを上回っている
- 2024年第3四半期の調整後希薄化1株当たりの利益(Adjusted Diluted EPS)は0.99ドル、市場予想の0.85ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算内容を受けてモンデリーズ・インターナショナルの株価は
前日比0.93%の上昇。同日の米国市場が
いずれも前日比マイナスとなっていることを踏まえるとまずまずの結果だったと言える。売上、EPS共に市場予想を上回ったことや同業他社との違いが評価されたのだろう。
決算翌日を含めた年初来のモンデリーズ株の推移を市場(S&P 500)と比べてみると
2024年2月からは市場の上昇に比べて下落傾向が続いていたものの、前回第2四半期決算を受けてから市場の8月頭、9月頭の大幅下落にもかかわらず上昇傾向。しかし9月中旬からは再び下落傾向に転じ、今回決算翌日の株価は第2四半期決算後の株価と同程度の水準となっている。
今後のモンデリーズ株だが堅調な決算で合ったことは確かだが、これから策定されていく来年のカカオ価格が不透明であることから上昇傾向には転じにくいだろう。何とか9月中旬からの下落傾向に歯止めがかかり、年初来安値を更新する様な事態にならないことを願いたい。